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「延長戦の本盗」は珍しいけれど…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホゼ・ラミレス(左)とサルバドール・ペレス Jun 29, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月29日、ホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)は、10回表にホーム・スティール(本盗)を成功させた。

 球審にはアウトとコールされたものの、ビデオ判定により、セーフとなった。映像を確認すると、ラミレスは、サルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)のミットをうまくかわし、右手でホームベースにタッチしている。

 MLBのオフィシャル・ツイッターは、その映像とともに、こう綴っている。「ホゼ・ラミレスは、ア・リーグとナ・リーグの球史において、延長戦で本盗を記録した8人目の選手」

 延長戦に限らず、本盗はレアだ。とはいえ、8人というのは少なすぎる。例えば、1950年以降のサヨナラ本盗に限っても、12度中10度は、10回裏以降だ。範囲を1949年以前に広げ、サヨナラ以外も含めれば、延長戦の本盗は、20度あるいは30度を超えるのではないだろうか。

筆者作成
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 MLBのツイートは、数え間違えているのではなく、「何年以降」など、範囲や条件を限定する表記が抜けているのだと思われる。

 ちなみに、ラミレスの本盗はキャリア初。それまでの通算182盗塁は、二盗が157と三盗が25だった。もっとも、本盗を試みたのは初めてではなく、2020年9月18日の4回表に続く2度目だ。3年前はアウトになっているので、本盗の成功率は50%ということになる。

 なお、ラミレスが成功させた、延長戦の本盗がいつの誰以来なのかは不明だが、今世紀に入ってから、サヨナラ本盗を記録した選手は、延長戦でなくとも皆無だ。昨年9月に試みて失敗した選手については、こちらで書いた。

「オリックスにいる選手の弟が「サヨナラ本盗」を試みる。成功していれば25年ぶり」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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