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オリックスにいる選手の弟が「サヨナラ本盗」を試みる。成功していれば25年ぶり

宇根夏樹ベースボール・ライター
A.バーンズ(左)とJ.マッカーシー Sep 14, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月14日、アリゾナ・ダイヤモンドバックスは、ロサンゼルス・ドジャースを相手にサヨナラ勝ちを収めた。1点ビハインドの2対3で迎えた10回裏、2死二、三塁の場面に、セルジオ・アルカンタラクレイグ・キンブレルからホームランを打った。

 ただ、アルカンタラには申し訳ないが、1イニング前のプレーがサヨナラ勝ちになっていれば、もっと注目されていただろうし、トリビアとしてもおいしかった。

 9回裏の先頭打者、ジェイク・マッカーシーは、ヒットで出塁した後、二盗を決め、三塁ゴロを挟み、二塁ゴロの間に三塁へ進んだ。この時点のスコアは、2対2。マッカーシーがホームインすれば、サヨナラ勝ちだ。

 マッカーシー、あるいはダイヤモンドバックスは、ドジャースの捕手、オースティン・バーンズの「癖」に気づいていたらしい。山なりのゆっくりとした返球だ。カウント1-1の直後、バーンズの返球とほぼ同時に、マッカーシーはスタートを切った。

 メジャーリーグ最後のサヨナラ本盗は、今から25年前まで遡る。1997年10月11日だ。ア・リーグのリーグ・チャンピオンシップ・シリーズで、第3戦の12回裏に、マーキス・グリッソムが決めている。レギュラーシーズンに限ると、1982年8月22日のグレン・ブラマーが最後。こちらは、40年前だ。ちなみに、1970年代のサヨナラ本盗は4度。記録した4人のうち、トミー・エイジーを除く3人、ロッド・カルージョージ・ブレットエディ・マリーは殿堂入りしている。

 マウンドにいたエバン・フィリップスは、バーンズからの返球を、小さくジャンプして捕り、間髪入れず間髪を入れずに投げ返した。プレートの前で送球を受けたバーンズが、マッカーシーにタッチ。上の写真は、その直前だ。球審は、アウトを宣告した。トーリ・ルベロ監督がチャレンジを要求したが、判定は覆らなかった。

 なお、マッカーシーは、オリックス・バファローズにいるジョー・マッカーシーの弟だ。兄のジョーは2015年のドラフト5巡目・全体148位、弟のジェイクは2018年の1巡目・全体39位。2人とも、バージニア大からプロ入りした。メジャーリーグ2年目のジェイクは、今シーズン、83試合に出場し、打率.300(257打数77安打)と出塁率.360、8本塁打と18盗塁を記録している。サヨナラ本盗を試みるまで、盗塁失敗は1度しかなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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