お盆の飲食店は儲からない? 利用者が注意しておくべき重要なこと
2019年のお盆
今年もお盆に入りました。
8月10日から11日にかけて帰省ラッシュや出国ラッシュを迎え、高速道路も連日下りのピークを記録しているということです。
お盆は一般的に、「盆入り」となる8月13日から、「盆明け」となる8月16日の4日間を指します。少なからぬ会社で、お盆期間を夏休みにしていますが、夏休みがない会社でも社員が自分で有給休暇を取得してお盆休みにしていることが多いでしょう。
今年は祝日である「山の日」が8月11日(日)となっており、12日(月)が振替休日となっています。
こういった状況を鑑みると、2019年のお盆休みは最長で8月10日(土)から18日(日)の9連休となっているのです。
お盆の期間中、飲食店はどのような状況になっているのでしょうか。加えて、飲食店を利用する客はどのような注意が必要であるかも、説明していきます。
8月の売上
まず、お盆を含めた8月は、飲食店にとってどのような月でしょうか。
地域や業態にも左右されますが、一般的に飲食店にとって8月は、2月と並んで閑散期とされている月であり、忌み嫌ってニッパチと呼ばれているほどです。これらに加えて、1月も閑散期とされています。
反対に売上が高いとされているのは、圧倒的に12月であり、歓送迎会がある3月と4月も飲食店は好調です。7月や11月もまずまずよいとされています。
2月は売上が低いものの、節分やバレンタインデーといったイベントがあり、メディアもよく取り上げるので、アクションを起こしやすいでしょう。しかし、8月は、花火大会などがあるものの、日本全体を通して大きなイベントもないだけに、飲食店は対応が難しいといえます。
8月は売上が落ちる理由
では、どうして8月に売上が落ちるのでしょうか。
8月はお盆の期間に会社が休みとなったり、従業員が有給休暇で夏休みを取得したりするので、オフィス街の人口が減ってしまいます。そうなると、当然のことながらオフィス周辺にある飲食店を利用する人も少なくなってしまうのです。
飲食店を利用する人が少なくなるのは、お盆期間だけではありません。
お盆休みをとる会社員は、お盆までに業務を終わらせる必要があります。そのため、お盆前は仕事が忙しくなり、外食する機会が減ってしまうのです。
お盆後も飲食店にとっては受難の期間であるといえます。
お盆休みに帰省したり、旅行したりした人は、交通費や宿泊代などにたくさんお金を使っていることでしょう。そのため、お盆後は倹約しなければと考えて、外食を控えようとするのです。
さらに今年は、5月のゴールデンウィークが、10連休にも渡る大型連休となっていました。ゴールデンウィークに旅行やお出かけで例年よりも多くのお金を消費しており、その代わり夏休みは節約しようと思う人も少なくありません。
8月に売上が増す飲食店
もちろん例外もあり、8月に売上が好調となる飲食店も存在します。
会社員の利用に依存しない地元密着型の飲食店であれば、売上はそこまで減りません。花火大会の会場やアミューズメントパークの近くにあったり、観光地にあったりする飲食店であれば、むしろ売上は増すでしょう。
業態によっても違います。
焼肉やエスニック料理、かき氷やパフェなど氷菓をウリとするカフェ、ビアガーデンやバーベキューなど、夏や暑さと相性がよいものは売上が増えます。
ただ、こういったところは、全体的にみて多くはないので、一般的な8月の飲食店と分けて考える必要があるでしょう。
飲食店の対策
飲食店は8月に売上が減ると述べてきましたが、どのような対策を練ればよいのでしょうか。
8月にできる施策はいくつかあります。
学生は夏休みなので、家族向けのイベントを行ったり、プランを設けたりするのがよいでしょう。
例えばホテルのレストランでは子供向けのマナー教室と親子で食べられるコースがセットになったイベントが行われています。同じような食育の文脈では、調理体験の後に食事をとるイベントも人気です。
子供が好きなメニューを増やしたり、お得なキッズプレートを用意したりするのも有効でしょう。
コト消費を意識したり、体験型イベントを開催したりと、ひと夏の思い出作りのために、飲食店に訪れてもらえるようにするのがよいです。
レストラン予約サイトのプランを強化するのも効果があります。長い連休の時くらいは外食しようと思う人に対して、レストラン予約サイトの限定プランは訴求力があるのです。
ビールやシャンパーニュ、カクテルやハイボールなど、涼し気で爽やかなドリンクを期間限定で格安の値段で提供するのも、来店の動機につながります。
あえて無理をしないのも手
売上を増やすために、飲食店がとれる方法はありますが、それでもやはり環境的な要因をひっくり返すのは難しいものがあるでしょう。
その場合には、あえて無理をしないのも手です。
お盆期間は休業したり、営業時間を短縮したりして、社員やアルバイトなど従業員に休暇をとってもらうのは意味があります。有給取得率を上げて従業員満足度を高めたり、アルバイトの人件費を削減したりすることにつながるからです。
従業員が休むことによって、リフレッシュしてやる気が充填されたり、次なるクリエーションへのインスピレーションが得られたりもするでしょう。
外食産業では人材不足が喫緊の課題となっていますが、しっかり休暇がとれて福利厚生が充実している飲食店であると認知されれば、スタッフの離職率が低下したり、優秀な人材を確保できたりします。
閑散期であることを逆手にとって、普段はできないことを行うのもよいでしょう。
たとえば、挑戦的な新メニューを提供したり、テーブルウェアを交換したり、テーブル配置を調整したり、内装デザインをアレンジしたり、メンテナンスしたりするなど、客が少ないからこそできることもたくさんあります。
利用者の立場から
利用者の立場からすると、お盆期間に飲食店を訪れる際に、何を注意すればよいでしょうか。
まず、訪れたい飲食店の営業時間をよく確認しておくことが重要です。なぜならば、お盆期間は休業していたり、営業時間を短縮および変更していたりする可能性が高いからです。
当初は営業する予定でいたとしても、予約が全く入らず、ウォークインの客も望めないとなれば、臨時休業するかもしれません。
内容も確認しておく必要があります。
なぜならば、平日の昼に訪れても、普段と同じようにお得なランチメニューが用意されておらず、グランドメニューしかオーダーできないことがあったりするからです。
食材やスタッフの関係でメニューを制限していたり、反対に、観光地やアミューズメントパークであれば、普段よりもアップグレードされた高価なメニューしか準備されていなかったりすることもあるでしょう。
先程紹介した通り、呼び込みのために、お得なプランを打ち出している場合もあります。
訪れてから、がっかりしないためにも、提供されている内容を把握しておいた方がよいです。
予約がベスト
私はいつも、飲食店に訪れるのであれば予約しておいた方がよいと勧めています。
理由は、満席で入店できなければ訪れても無駄足となったり、ウォークインだと事前の仕入れや仕込みが必要なものを食べられなかったりするからです。
他にも、テーブルの希望を述べたり、料理や食材について詳しく尋ねたり、自身や同行者の好みについて伝えたりするなど、予約する時に色々なことができます。
飲食店にとっても利用者にとっても、予約はメリットが大きいです。
お盆に飲食店へ訪れるのであれば、営業時間や内容を確認すると共に、普段以上に予約しておくことを勧めます。
お盆期間の飲食店の楽しみ方
訪れた飲食店が、人が集まる立地にあり、混雑しているようなら、利用者はオペレーションに苛々せず、少し気持ちに余裕をもって過ごしましょう。
閑散としているようであれば、あまり売上が見込めないと分かっているのに営業していることに感謝の念を抱けるとよいのではないでしょうか。なぜならば、飲食店に感謝の念を抱くことができれば、料理をよりおいしく食し、その空間をより楽しく過ごせると思うからです。
客が少なければ飲食店もオペレーションに余裕があるので、普段は話さないようなことも話してくれるかもしれません。
お盆の期間中はいつもと状況が異なることを念頭において、えその普段との違いを楽しむつもりで飲食店に訪れていただけたら幸いです。