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久保建英。目指すべきは左右両刀遣いの強シューター

杉山茂樹スポーツライター
左右両刀遣いの強シューターと言えばルク・ニリス 写真:杉山茂樹

 レンタル移籍先がビジャレアルからヘタフェに移った久保建英。1月11日に行われたエルチェ戦がデビュー戦となった。登場したのは後半19分で、ポジションは右ウイングというかサイドハーフだった。評価するならば、10段階で6.5と言いたくなる、上々のプレーを披露した。

 昨季プレーしたマジョルカは2部に降格。今季移籍したビジャレアルは現在4位と、チャンピオンズリーグ出場圏内を堅持する。そして年明けに移籍したヘタフェは、このエルチェ戦の勝利で、スペインリーグ1部20チーム中、13位へと浮上した。

 19歳の久保は、適正値と言うべく落ち着き先を、中位と下位の中間あたりに見つけ出したという感じだ。この位置から今後、どこまで出世の階段を上り詰めることができるか。期待7割、不安3割。ちょっとしたミステリーである。

 サッカー選手の将来を占うことはかなり難しい。10代選手の場合はとりわけだ。この欄でも幾度となく述べてきたが、失速していく割合は思いのほか高い。太鼓判はそう簡単には押せないのである。

 しかも、久保の場合は左利きだ。メッシやマラドーナの例はあるが、過去の選手とイメージを重ね合わすことができるサンプルの絶対数が不足している。

 左利きは、ポジションが限られる場合がある。右利きに比べ左利きは、総じて「逆足」での操作を得意としない。右利きは左足を使えるように練習するが、左利きは利き足に固執しがち。左足ばかりを使いたがる。必要以上に癖のある選手に見えてしまう。

 久保がビジャレアルで、思ったほど出場機会に恵まれなかった理由のひとつに、ジェラール・モレノという絶対的エースと、久保と同じポジションを争う2歳年上のナイジェリア代表選手、サミュエル・チュクウェーゼが左利きだったことがある。4-4-2の布陣ではいわゆるアタッカーは4人だ。そこで左利きが2人以上存在することは、バランス的に多いと言うべきだろう。

 もちろん、左利きと一口に言っても、見るからに左利きという選手もいれば、パッと見、そこまでハッキリしない左利きもいる。見るからに左利き、言い換えれば、極端な左利きの代表は、日本では中村俊輔になる。かつての名波浩も左利きであることを誇示するようにプレーした。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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