基本【発達障害とは何か?】 ID(知的能力障害群)と ASD(自閉スペクトラム症)
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、「発達障害とは何か?」というテーマでお話したいと思います。
まず、「障害とは何か?」ですが、
障害とは、「心身機能」「活動」「参加」のいずれかに制限がある状態のことを言います。障害への支援とは、この制限をできるだけ少なくすることです。援助者は、その軽減を実現するための視点として、「環境因子」と「個人因子」を持たなければなりません。
環境因子とは、人々が生活し、人生を送っている物的・社会的・態度的環境のことです。
個人因子とは、個人の人生や生活の特別な背景のことです。
次に、病気と障害の違いですが、
病気は、基本、治癒する。一時的な状態です。
障害は、基本、治癒しない。状態が継続します。
ただし、ICF(国際生活機能分類)モデルに基づいて考えれば、環境によって障害が障害でなくなる可能性もあります。
続いて、「発達障害とは何か?」ですが、
発達障害とは、生まれつきの脳の機能的障害のために、ものの見方や感じ方に偏りが生じ、他者との相互的コミュニケーションが難しくなったり、こだわりや注意の問題、多動や不器用などが生じたりして、その結果、社会適応に困難をきたすことを言います。環境によって、適応の程度には差が生じます。
発達障害の診断はDSM(精神障害の診断と統計マニュアル)やICD(疾病および関連保健問題の国際統計分類)に基づいて行われます。
次に、発達障害の種類ですが、全部で5つあります。
1.知的能力障害群 ID
2.自閉スペクトラム障害 ASD
3.注意欠如・多動性障害 ADHD
4.限局性学習症 SLD
5.運動症群 DCD
今言った障害は、重複して存在することが多いです。よって、症状を連続体(スペクトラム)として捉えることが妥当です。診断までは至らないが、その特徴のある人(グレーゾーン)も数多くいます。発達障害というと、とかく自閉スペクトラム障害とか、ADHDとか、思われがちなのですが、実は5種類あるということです。
続いて、発達障害の実態ですが、
2012年、文部科学省の調査によると、通常学級に在籍し知的障害がない児童・生徒のうち、SLD(限局性学習障害)は、4.5%,AHDH(注意多動症候群)は、3.1%,ASD(自閉スペクトラム症候群)は、1.1%。重複を除くと、合計で6.5%(15.4人に1人)にあがるという結果が出ました。
ID(知的能力障害群)の特別支援教育は、古くからありましたが、2007年からID以外の発達障害者の特別支援教育が開始されました。
発達障害者の中には、二次障害として、不安障害や抑うつ神経症になる人も少なくなく、統合失調症と誤診断される人もいますので、そのあたりは十分に注意して見極めたいところです。また、ASD(自閉スペクトラム症候群)は、早期発見によって、予後の改善が大きく見られるという特徴があります。
次に、発達障害者を理解する9つのカギですが、
1.安易にレッテル貼りをしない。
2.環境によって特徴の現れ方が変わる。
3.代償的機能が特徴を隠す。
4.極端に頑張ることがある。
5.うつ病などの二次障害に陥ることがある。
6.自己肯定感・自尊感情が低い。
7.親子関係からも影響を受けている。
8.嫌な記憶を溜めやすい。
9.難しいことが出来て、簡単なことが出来なかったりする。
などがあります。
続いて、ASD(自閉スペクトラム症)の診断基準ですが、有病率は、現在、1~2%と言われています。現在は、「社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応」と「行動,興味,また活動の限定された反復的な様式(こだわり)」の2領域で診断されるようになっております。さらに、感覚刺激に対する過敏さや鈍感さの項目が作られました。これは、音や光、臭いや味、肌触りに対して、さらに相手の気持ちに対して、非常に敏感もしくは鈍感という意味です。
ちなみに、「自閉性障害」「アスペルガー障害」「特定不能の発達障害」という分類は、2014年に廃止されております。
思いのほか、長くなってきましたので、この続きは、また明日お話しいたします。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。