実はラーメンよりもうどんが愛される街 福岡のうどん「最新」3軒
福岡はラーメンよりも「うどんの街」だ
福岡はラーメンの街として知られているが、実はうどんの街でもある。博多祇園山笠発祥の寺としても知られる『承天寺(じょうてんじ)』(福岡市博多区)には、今も「饂飩蕎麦(うどんそば)発祥之地」の石碑がある。宋(現在の中国)に修行僧として渡った聖一国師が、1241(仁治2)年に那津(現在の博多港)に帰国した際に、教典と共に持ち帰った「水磨の図」に描かれていたのが「挽臼による製粉の技術」。これによりうどんや蕎麦などの食文化が大衆に広まったと言われている。
福岡にはラーメン店よりもうどん店の方が多い。福岡のうどんは地元の人たちの生活に根付いた「日常食」。誰もが自分の好きな行きつけのうどん店を持っている。店それぞれに個性がある福岡のうどんではあるが、出汁の美味しさを味わうために他県のうどんと比べて「柔らかい」のが共通した特徴。また「ごぼ天(ごぼうの天ぷら)」や「丸天(魚の練り物を揚げたもの)」などの具材が乗るのも福岡のうどんの特徴だ。
その土地に長く根付いた食文化を、一つの料理を通じて体感する。これこそが地方での食べ歩きの醍醐味だ。今回はそんなうどんの街福岡に新たにオープンしたばかりの店を3軒ご紹介したい。
母の味を受け継ぐ人気店『えびすやうどん博多』
福岡県宮若市のうどん店『元祖えびすやうどん』の二代目が、母親のうどんをもっと広めたいと、2013年に博多の地で独立開業したのが『えびすやうどん博多』(福岡県福岡市博多区住吉2-4-7)。店舗の老朽化によって2023年7月に移転リニューアルしたが、移転後も変わらぬ人気店となっている。
福岡県産小麦を100%使用した自家製平打ち麺は、しなやかながらもしっかりとしたコシがある。北海道羅臼産天然昆布と数種類の削り節で取った出汁は優しい旨みにあふれている。香ばしく炙った九州産国産牛の中落ちカルビがゴロゴロと入る「カルビぶっかけうどん」も必食の一品だ。
人気居酒屋が手掛ける大人のうどん店『博多うどん 忠兵衛』
2023年7月、今泉にオープンした『博多うどん 忠兵衛』(福岡県福岡市中央区今泉1-9-14)は「大人のうどん店」がコンセプト。福岡市内や東京で『博多田中田』『魚忠』『わっぱ定食堂』などを手掛ける『タナカダイニング』の新業態。タブレットやセルフレジなども導入し、カジュアルな雰囲気の中で気軽に上質なうどんを楽しむことが出来る。
九州産小麦を使った自家製平打ち麺は「やわ・もち・つる」な食感をテーマに作り上げた「新博多うどん」。冷たくしても温かく食べても美味しいうどんに仕上がった。イリコやアジ干しなどを使った出汁が美味しいのは『田中田』ならでは。うどんはもちろんサイドメニューやセットなども豊富に揃うので、自分好みの組み合わせを選ぶ楽しみも。
精肉店が営む肉が美味しいうどん『うどん 肉のうめぜん』
2023年2月、筑紫野市で50年愛される精肉店『肉のうめぜん』が、念願のうどん専門店を小郡市にオープン。『うどん 肉のうめぜん』(福岡県小郡市井上1054-5)は、精肉店らしく黒毛和牛をふんだんに使用したメニューが大人気。黒毛和牛をリーズナブルに楽しめるとあって客の多くが肉うどんをリピートする人気ぶり。
つけ麺の麺をヒントに考案したというオリジナルのうどんは、うどん専用粉に「もち小麦」を配合したもの。博多や久留米のうどんとは異なりしっかりとした食感を持つうどんは、注文を受けるごとに生地から切り出して提供する。うどんに負けない出汁は、煮干しや鰹がしっかりと効いた甘めの出汁に、黒毛和牛の旨味も加わってさらに力強い旨味が堪能出来る。
今回ご紹介した3軒は、いずれも2023年にオープンしたばかりだが個性的なうどんを出している店ばかり。老舗とは一味違った、新たな福岡のうどんの世界を是非とも体感して欲しい。
※写真は筆者によるものです。
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