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U-20日本代表が対戦するベネズエラ。注目はこの4選手!

宇都宮徹壱写真家・ノンフィクションライター
近年の育成の成果が実ったベネズエラ。グループリーグは勝ち点9で失点ゼロ。

韓国で開催中のFIFA U-20ワールドカップ。グループDを3位で通過した日本は本日、ベスト8進出を懸けてグループB1位のベネズエラと対戦する。グループリーグで対戦したウルグアイやイタリアに比べると、ベネズエラの国際的な知名度は今ひとつ。サッカーよりも野球が盛んなお国柄で、南米サッカー連盟10カ国の中では唯一、ワールドカップ出場経験がない。かつては南米予選の「草刈り場」と呼ばれ、勝ち点3のみならず大量得点をプレゼントするのが常であった。

そんなベネズエラだが、近年は育成改革に力を注いでおり、そのひとつの成果が今大会に出場している世代だ。勝ち点9、しかも失点ゼロでグループリーグを突破したのはベネズエラとフランスのみ。しかもベネズエラは、やはり育成に定評のあるドイツ(2−0)とメキシコ(1−0)を抑えての首位通過である。ちなみに、今大会の予選となるU-20南米選手権で優勝したのはウルグアイだが、決勝リーグではベネズエラに0−3で完敗している。

知名度こそ低いものの、実は日本が0−2で敗れたウルグアイと同じくらい危険な存在であるベネズエラ。情報が少ないチームではあるが、現地で取材したバヌアツ戦メキシコ戦をもとに注目選手(=注意すべき選手)を紹介することにしたい。

■GK 1 ウルケル・ファリニェス(カラカスFC)

バヌアツ戦では自ら志願してPKを決めたGKのファリニュス。
バヌアツ戦では自ら志願してPKを決めたGKのファリニュス。

ベネズエラの無失点記録を支える、安定感のある守護神。所属するカラカスFCでは弱冠15歳でトップチーム昇格し、今年3月のワールドカップ予選ではA代表デビューを果たしている逸材だ。的確な判断力と伸びやかなセービングに加えて、正確なキックも武器。バヌアツ戦では自らPKを決めた。PK戦にもつれ込んだら、最初の5人のキッカーのひとりに自ら名乗り出るだろう。

■MF 10 ジェフェルソン・ソルテド(CDウアチパト=チリ)

小柄なテクニシャンのソルテド。セットプレーにも注意したい。
小柄なテクニシャンのソルテド。セットプレーにも注意したい。

身長158センチの小兵で10番を背負っているので、まるで昔のメッシを見ているような気分になる。定位置は中盤の真ん中だが、アジリティを生かしながら相手の嫌がるスペースに顔を出して攻撃にアクセントを加える。体格差から吹き飛ばされるシーンも散見されるが、すぐに立ち上がってボールを奪い返そうとするファイター。セットプレーのキッカーも任されている。

■FW 19 セルヒオ・コルドバ(カラカスFC)

チーム内得点王のコルドバ。強さとしなやかさを併せ持つ。
チーム内得点王のコルドバ。強さとしなやかさを併せ持つ。

ベネズエラの得点源。グループリーグではチーム最多の4ゴールを挙げている。ポジションは右のウイングで、188センチの高さから振り下ろすヘディングと両足から繰り出される精度の高いシュートが武器。縦に抜けるスピードもあるので、対面する選手は注意が必要だ。

■FW 7 アダルベルト・ペニャランダ(マラガCF=スペイン)

最も警戒しなければならないキープレーヤーのペニャランダ。
最も警戒しなければならないキープレーヤーのペニャランダ。

チームに2名しかいない欧州組のひとり。目立つのは金髪のヘアスタイルだけではなく、攻撃の核として縦横無尽にピッチを駆け回り、ピンポイントのラストパスでチャンスを演出する。とりわけコルドバとの相性は抜群で、ドイツ戦とメキシコ戦でのゴールはこの人のアシストによるもの。1対1の場面でも強さを発揮し、巧みなステップで相手DFを置き去りにする。このペニャランダに対し、日本がどのような対策を講じてくるかが、今日のゲームの大きな注目点と言えよう。

<この稿、了>

写真家・ノンフィクションライター

東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。『フットボールの犬』(同)で第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞、『サッカーおくのほそ道』(カンゼン)で2016サッカー本大賞を受賞。2016年より宇都宮徹壱ウェブマガジン(WM)を配信中。このほど新著『異端のチェアマン 村井満、Jリーグ再建の真実』(集英社インターナショナル)を上梓。お仕事の依頼はこちら。http://www.targma.jp/tetsumaga/work/

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