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#マグニフィセントセブン(GAFAM+2社)の四半期決算 TESLAとAWSの利益率はどちらが高い?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:筆者作成 単位:億ドル

KNNポール神田です

2023年『GAFAM(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズ)』の決算報告がでそろってきた。

Google 売上766.93億ドル 純利益196.93億ドル

Microsoft 売上565.17億ドル 純利益222.91億ドル

Meta 売上341.46億ドル 純利益115.83億ドル

Amazon 売上1,431億ドル 純利益99億ドル (売上=取り扱い高)

TESLA 売上233.5億ドル 純利益18.53億ドル

残るは、Appleの決算(2023年11月2日木曜日)とNVIDEA(2023年11月21日火曜日)が残るのみ。

Appleの前四半期(4−6月期) 売上817.97億ドル 純利益198.81億ドル

『GAFAM』に『TESLA』『NVIDEA』の2社加えた7社のことを『マグニフィセントセブン(荒野の七人)』と呼ばれ始めた。

NVIDEA 前四半期 売上135.07億ドル 純利益61.88億ドル

■米S&P500の売上のうち、マグニフィセントセブンの売上が10%を占める

出典:FINTOS!
出典:FINTOS!

マグニフィセント・セブンは、時価総額だけでなく、業績面でも影響が大きいと言えます。米国を代表するS&P500指数構成銘柄の500社の売上高のうち、マグニフィセント・セブンが占める割合は約10%となっています。

https://fintos.jp/page/107126

■業績は好調でも株価は低迷

出典:Bloomberg
出典:Bloomberg

■今年の米国株上昇をけん引してきた「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるテクノロジー7社の決算が期待外れになっている。約2000億ドル(約30兆円)の時価総額が吹き飛び、S&P500種株価指数を調整局面に追い込む恐れがある。

■グーグルの親会社アルファベットやテスラ、フェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズはいずれも決算発表以降に株価が低迷しており、決算が好感されたのはマイクロソフトのみだ。

■アルファベットは(2023年10月)25日に時価総額が1800億ドル近く減少した。前日に発表したクラウドコンピューティング部門の利益がアナリスト予想を下回ったためだ。1日での時価総額消失としては、同社では過去最大だった。今月にはテスラが決算の発表翌日に720億ドルの時価総額を失っている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-26/S34Y7BDWX2PS01

四半期売上が766億ドルのGoogleだが、時価総額では1,800億ドルと、2.3倍も毀損するという事態となった。TESLAも売上233億ドルに対して、720億ドルと3倍も毀損している。

11月に決算を発表するAppleやNVIDEAがどう評価されるかにもかかっている。

株価と業績は必ずしも一致しないが、企業の評価は、『時価総額』で見られるので、『マグニフィセントセブン』の場合は業績の変化が『時価総額』で年商並みのインパクトを与える。

■『クラウド事業』でも複雑化する『ビッグ3』Amazon、Google、Microsoft

ネットの巨人にとって、『クラウド事業』ほど大きいものはない。

Microsoftは、Amazonに対して、『Microsoft365』を向こう5年で10億ドル強でライセンスをするとロイターがスクープする。

もはや、競合なのかクライアントなのかがわかりにくい。GoogleはAppleの検索サービスに年間約120億ドル支払っている

利益率が高く『CAGR(Compound Annual Growth Rate:年平均成長率)』が8年間の平均で45%だったが、『YOY Growth(年間成長率)』では35%と鈍化してきている。右肩上がりの成長が徐々に鈍化してきているのだ。

出典:Forbes
出典:Forbes

クラウドの成長率もビッグ3すべてで鈍化している。得にAmazon『AWS』は12.3%となった。それでも、AWSの売上高は231億ドル

出典:REUTERS
出典:REUTERS

■『グラフ化』で見える売上と純利益の規模

出典:筆者作成
出典:筆者作成

Amazonの四半期の『AWS』の売上231億ドルで、全取り扱い高の1431億ドルから比較すると16.1%と、1/6でしかないが、営業利益は69.8億ドルと、営業利益率では30%の利益を生む。Amazonの今期全体の営業利益は112億ドルなので、AWSは、Amazonの営業利益の62.3%となった。つまり、Amazonの営業利益の6割は、EC部門ではなくクラウドサーバ部門ということなのだ。

また、AWS四半期の売上231億ドルを比較すると、TESLAの四半期233.5億ドルと非常に近い。TESLAの純利益は18.53億ドルなので、単純にAWSの営業利益と比較できないが、AWSの69.8億ドルの営業利益は、テスラの純利益の3.7倍儲かっていることとなる。

マグニフィセントセブンの売上対純利益率の高さでいうと、NVIDEAの45.81%という驚異の利益構造である。つづいて、Microsoftが39.44%、Metaの33.92%、Googleの25.67%、Appleの24.31% そしてTESLAが7.94%と製造が多いほど純利益率は低くなる。それでもTOYOTAの純利益率6.6%と比較するとかなり高い。

Amazonの純利益率の6.92%は総取り扱い高に占める純利益だから低い。しかし、AmazonのクラウドのAWSでは30%の営業利益だ。

ECのAmazonの純利益率6.92%でも、あのコスト管理の合理化されたTOTYOTAの純利益率6.6%よりも高いということも最後に特筆しておきたい。

出典:筆者作成
出典:筆者作成

今回は、日本円換算にして◯兆円という表現はあえてしていない、150円時代なので、1.5倍にして100かければイメージしやすくなる。

しかし、過去の売上規模と比較すると、実質の金額と大きく変わるので億ドル表記のみとしている。

今回は四半期での報告がベースなので、年間であれば、この約4倍規模と考えれば良いだろう。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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