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2027年には75パーセントが日本人? エディー・ジョーンズのビジョン。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
取材に応じるジョーンズ(筆者撮影)

 今年、約9年ぶりにラグビー日本代表のヘッドコーチとなったエディー・ジョーンズが4月2日、千葉県内で取材に応じた。

 この日は、10日からサモアで開かれる「ワールドラグビー パシフィック・チャレンジ 2024」へ挑む「JAPAN XV」(20歳以下=U20日本代表を母体とする若手チーム)の練習を視察していた。

 2015年のワールドカップイングランド大会で歴史的3勝を挙げたジョーンズは、このほど「超速ラグビー」を提唱。判断、動き出しで先手を取るのを促す。

 2027年のワールドカップオーストラリア大会を見据え、代表チームの若返りを図ってもいて、高校生、大学生を含む若年層カテゴリーのチェックにも注力。2月に福岡で実施のキャンプでも、34名中9名を大学生とした。そのメンバーにあたる石橋チューカ、青木恵斗、高木城治らはJAPAN XVにも名を連ねている。

 ジョーンズはこの午後の練習が終盤に差し掛かった折、メディアを集めて日本語、英語を交えて質問に答えた。

 以下、共同取材の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——ジョーンズさんもサモア入りの予定。期待することは。

「若い選手がどれだけ自分のプレーを改善できたか、一生懸命に練習した成果、また超速ラグビーが実現できているかも見ていきたいです。これはセレクションにもかかわってくることです。

 試合を見て、どれだけ一生懸命に動いているかを見たい。ボールを持った時のパフォーマンスのほか、ボールを持ってない時もどういう風な動きをしているのか、どういう風に他のチームメイトを助けているのかも見ていきたいです」

——今日の練習を見ての発見は。

「(U20日本代表候補が)約6週間、継続的に練習してきて、どの選手がどれだけ育っているのか、どの選手が脱落したのかというのが見えてきた。この年代は暗中模索で、なかなか不安もあったり、気持ち的に脆い部分もあったりする。そのなかでどれだけベストを尽くしているのか、もっと成長できる選手なのか、成長が止まってしまう選手なのかを見極めたいです。

 スクラムハーフのジョージ(高木城治)。初めて福岡の合宿で見た時と比べると、話し方に自信があるように見えます。パスも一貫性が出てきた。

 きょうの練習はかなりいい環境でおこなっている。激しくぶつかってくるような選手もおりませんので。本番では大柄なチームと気温30度、湿度も75パーセントのなかで戦わなければならない。そこですぐにアダプトして成長できる選手なのか、育成にもう少し時間かかる選手なのかがわかってくると思います」

——U20日本代表候補は、3月までにリーグワンのクラブと練習試合をしてきた。

「(日本語で)2回はライブ。2回はビデオ(で見た)」

——それを見て思ったことは。

「(日本語で)多分、4~5人は2027年に出る可能性があります。(以後、日本語で)ただ、本当にそうなれるかは自分自身にかかっています。才能はある程度のところで止まる。それ以降は集中力、一生懸命な練習で伸びる。そこを見ていきたいと思います」

——「JAPAN XV」から正代表への昇格へは。

「福岡で選考されたからといって(今後の代表活動に)選ばれるわけではありません。セレクションは確約されているものではない。彼らはパシフィック・チャレンジの3試合でサモア、フィジー、トンガのチーム(各国代表予備軍)と戦う。そこでどういったパフォーマンスをするのかにかかっている」

——日本のこの年代には、身長が180センチに満たないフロントロー、フランカーがいます。可能性は。

「サイズの大きさは、セレクションに制限をかける要素ではありません。大事なのはその自分の身体をいかにうまく使うかです。自分の身体をうまく使ってスクラムを組めればよい」

——各年代代表を見て思うことは。

「フィジカリティに関しては世界基準からはかなり遅れを取っている。それを改善するプログラムを、今後、実施していきたいと思っています」

——若い選手を視察する思いは。

「確かに若い選手の成長を見るのは個人的に好きです。ただいまは日本代表のヘッドコーチという仕事があり、その意味で足しげく(現場に)通っています。日本のトップレベルの舞台でもっと日本人がプレーして欲しいと思っています。

 いまの(国内トップの)リーグワンで、日本人の割合が 53パーセント。(日本語で)少ない! 若い選手がもっと上のレベルに上がってきてくれるように、自分もうまく激励をしていきたいです」

——リーグワンの外国人枠などのレギュレーションに手を加えたいのか。

「3~4年のスタンスでの話。たとえば、2027年頃には75パーセントくらいが日本人選手であればいいと思っています」

——日本代表が6月下旬からおこなうテストマッチシリーズ、およびその前のキャンプに向けて、どんな準備をしているか。

「まずセレクションが一番、大きな比重を占めている。次のワールドカップ(2027年)に勝つということを目標にしていますので、そこに向けたチームを選考していきたいと思っています。前回のワールドカップ(2023年のフランス大会)のチームから新しく作り直そうとしています。若い選手を選考するのがいま一番の課題です。チームスタッフも75パーセントほど入れ替わっているので、それぞれに自分のやる超速ラグビーを理解してもらって、そこから選考に入っていこうかなとも思っています」

——目指す「超速ラグビー」に合致するプレーヤーを選ぶのか、もしくは選んだプレーヤーを「超速ラグビー」にマッチさせるよう育てるのか。

「(日本語で)両方」

 話の流れで、リーグワンを含める形での中長期的なビジョンも口にしたジョーンズ。日本語で「終わり!」と締めた。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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