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チャーハンに餃子派?ラーメン派?チャーハンがめちゃウマ町中華が横浜にあった【宝明楼】

町乃華菜子町中華愛好家

横浜のJR大口駅から徒歩10分ほどの場所に、昭和39年創業の町中華『宝明楼』がある。伊豆の松崎町で『宝明楼』の屋号で暖簾を出したのがルーツで、初代が横浜の伊勢崎町で修行した後に現在の場所に店を構えた。今は二代目が店を継承している。

まずは食べたいチャーハン

二代目が初めて鍋を振ったのはまだ幼い10歳の頃だと言う。初めて作った料理がチャーハンだった。父が鍋を振る背中に憧れて真似たのが始まりだったそうだ。

修行先の上野の『龍虎殿』(現在は閉店)はテレビ番組の『料理の鉄人』にも出演していた林訓美氏の有名店だった。厳しい料理人の世界でその腕前を認められるのが早く、先輩達より先に鍋を振ることができた。その分、苦労もあったそうだがチャーハンの味には自信がある。

チャーハン650円
チャーハン650円

米が艶々に美しくコーティングされたラードチャーハン。メニューはノーマル、五目、エビ、カニ、餡かけの5種類がある。エビチャーハンは大きなサイズのエビがゴロゴロと入った豪華なチャーハンだ。

エビチャーハン900円
エビチャーハン900円

チャーハンと食べたい餃子

宝明楼』の餃子はザクザクとした野菜餡。先代のレシピからアレンジを加えた餃子で、野菜の水分を絞らずにシャキシャキとした食感が生かされている。その分、足は早いがこだわりの餃子を提供している。ラー油も自家製だ。

焼きギョウザ450円
焼きギョウザ450円

スープに刻んだニンニクがたっぷり入った水餃子も美味しい。餃子を楽しみながら、ニンニクスープと熱々のチャーハンをハフハフと掻き込むのもたまらない。

水ギョウザ450円
水ギョウザ450円

餃子派?ラーメン派?

町中華でチャーハンと一緒に食べる料理といえば、餃子かラーメンかで好みが二分する。『宝明楼』のラーメンは赤いチャーシューにナルト、メンマがのったシンプルな醤油ラーメン。驚くのがその価格。近年の物価高騰で多少の値上がりはあったものの450円とかなり安い。ラーメンの価格は抑えるようにと先代からの教えを貫いている。

ラーメン450円
ラーメン450円

町中華と瓶ビール

町中華での食事の楽しみの一つがちょい飲み。軽くつまめるチャーシューや餃子をアテに〆のラーメンまでいただける楽しみ方がある。

ビールの銘柄は好みがあるが、町中華につき物なのが瓶ビールだ。ビールサーバを設置してない店も多い。瓶ビールの一部の銘柄には、生以外の昔ながらの作り方である熱処理ビールが存在する。渋みや苦味が強くアルコール度数はやや低めで濃厚な味わい。宝明楼でも昔ながらの熱処理ビールを扱っている。瓶ビールを片手に美味しい中華飲みが楽しめる。ただ混雑した昼の町中華で長居は禁物。次のお客にさっと席を譲るのが町中華の粋な楽しみ方だ。 

瓶ビール中瓶500円 ※お酒は20歳になってから
瓶ビール中瓶500円 ※お酒は20歳になってから

49年前のメニュー

壁に並ぶメニューは49年前に設置されたまま。価格の変動はあったものの当時のメニューを継続して提供している。二代目が店に入ってから28年が経つ。5年前から1人で厨房に立つようなった。他にも新たなメニューを考案して加えたが、先代が残したこのメニューを今も引き継いでいる。

店内の壁メニュー
店内の壁メニュー

町中華に欠かせない料理

近年の町中華ブームでメディアでも取り上げられることが増えたが、誤解されている情報も多く感じる。街にある中華料理店のすべてが町中華という訳ではない。アワビやフカヒレが登場するような中国料理店ではなく、日本式中華料理店こそが町中華だと伝えたい。基本の中華メニュー以外にカレーやオムライス、カツ丼が三種の神器とも言える王道メニュー。日本独自の食文化を取り入れたメニュー構成も町中華の特徴だ。

カツカレー1.000円
カツカレー1.000円

カツカレーも町中華の定番メニューの一つ。『宝明楼』のカツカレーは注文が入ってから豚肉に衣をつけて丁寧に揚げている。中華スープを使用したとろみのあるカレーが懐かしい味わい。好みでちょい足しできるソースと合わせて提供されている。

横浜独自のメニューも揃う

横浜にある町中華は、横浜中華街で修行した後に独立した店が多い。そのため横浜独自の町中華メニューも存在する。サンマーメンも全国的に有名なったその料理の一つ。その他にも一般的な町中華では見かけない弁麺(バンメン)や伊府麺(イフメン)などがもあるが、どちらも『宝明楼』で味わえる。

伊府麺(イフメン)900円
伊府麺(イフメン)900円

伊府麺(イフメン)は水を使わず卵で練った麺を揚げて保存される中国五大麺の一つ。『宝明楼』ではスープに通した麺にややとろみのあるスープ状の餡かけで提供されている。かた焼きそばのようにも見えるが、伊府麺には独特な噛みごたえの食感がある。

上にのせられた赤いチャーシューも横浜の町中華ではよく見られる。チャーシューを作る工程で使われる中国の調味料の紅糟(ホンツァオ)で表面が赤くなる。これも中華街で修行した料理人が多いからだ。

宝明楼』の屋号を持つ町中華は元々は3軒存在していた。親族で営んでいた他の2軒は既に閉業している。静岡に現存する店が1軒あるが、直接の繋がりはわかっていないそうだ。おそらく親族の店の暖簾分けではないかと店主は話す。『宝明楼』の屋号を100年継承するのが二代目の目標だそうだ。

近年は後継者不足で閉業していく町中華が多い。特にこの数年のコロナ禍で閉業を決めたご高齢の店主の店が多い。日本独自の町中華をこれからも応援したい。

【店舗情報】
宝明楼
営業時間 11:30〜14:30 17:00〜20:00

木曜日定休
神奈川県横浜市神奈川区七島町10
045-401-1429

町中華愛好家

味わいある 『町中華』や食堂を巡る体験記。東京近郊の人気店から、常連客が通う隠れた名店を巡る。”日式中華”の文化や魅力、店主の想いを伝えて行きたい。Instagramで町中華での食事の記録を発信中。

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