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木枯らしの11月こそカブトムシの季節…と言っても幼虫の話#カブトムシ

天野和利時事通信社・昆虫記者
11月はカブトムシ幼虫の季節。すでにこんなビッグサイズになっている。

 11月はカブトムシの季節だ。といっても、狙いはもちろん成虫ではなく、幼虫だ。丸々と太ったカブトムシの幼虫は、ずっしりと重い。その重量感は成虫以上だ。しかし、なぜ11月が幼虫の季節なのだろうか。

 それは畑の堆肥と関係している。カブトムシの幼虫が大量に潜り込んでいる場所、それは畑の堆肥置き場の中なのだ。

 畑の脇に積み上げられていた堆肥が、畑の土起こしの際に撒かれてしまったら、その中にいる幼虫の命は終わりだ。そして、多くの場合、土起こしは、本格的な冬の到来の前、雪が降る前が良いとされている。

 つまり、12月になって冬将軍がやってくると、堆肥の中の幼虫は抹殺されてしまうのだ。その前に是非とも幼虫を救出する必要がある。

堆肥置き場のカブトムシ幼虫。左端の小さなコガネムシ系の幼虫はおまけ。
堆肥置き場のカブトムシ幼虫。左端の小さなコガネムシ系の幼虫はおまけ。

堆肥の表面の大量の糞はカブトムシ幼虫の存在証明。
堆肥の表面の大量の糞はカブトムシ幼虫の存在証明。

 緑の多い田園地帯に住んでいる人なら、近所の農家で堆肥を使っている所に頼むと、堆肥の中に潜っている幼虫をたくさんゲットできる。

 幼虫がいる堆肥の上には、幼虫の糞が積みあがっているはず。そんな堆肥を掘ると、まさに「ゴロゴロ」という感じで幼虫が転がり出てくる。11月ともなれば、カブトムシの幼虫は、ほぼ最大級にまで成長しているので、堆肥の中から探し出すのは簡単だ。

 逆に言えば、11月になっても堆肥の表面に糞が見当たらなければ、そこには幼虫がいないと思われる。

 12月以降に幼虫を探したい場合はどうすればいいのか。その場合は、森の中のクヌギ、コナラなどの伐採木、朽木の下を探すのがいい。こうした材をひっくり返すと、すぐ下に幼虫がいることが多く、土を掘り返す手間がいらない。しかし、簡単にひっくり返せる程度の大きさの材の下の幼虫の数は、1カ所に1~2匹と少なくなる。

こんな小さな材の下にもカブトの幼虫がいた。隣に成虫の好む樹液の出る木があったからだろう。
こんな小さな材の下にもカブトの幼虫がいた。隣に成虫の好む樹液の出る木があったからだろう。

前の写真の材の下にいた幼虫。
前の写真の材の下にいた幼虫。

 捕まえた幼虫は、もちろん飼う。カブトの幼虫は大食漢なので、多く飼い過ぎないよう注意が必要だ。中型のプラケースなら2匹、大型のケースなら4匹ぐらいがいい。もっと多く飼うと、あっという間にケース内が糞だらけになって、生育が悪くなる。

こんな状況は多く飼いすぎ。虫好きの子どもたちにわけてあげよう。
こんな状況は多く飼いすぎ。虫好きの子どもたちにわけてあげよう。

春先のカブトムシの幼虫はこんなに巨大に。
春先のカブトムシの幼虫はこんなに巨大に。

 餌はホームセンターで腐葉土を調達すればいいが、最近は腐葉土の値段が高くなっているので、コスト面からも多く飼い過ぎないのが賢明だ。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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