Yahoo!ニュース

「母親にならなければよかった」に隠された本音とは

ねんねママ(和氣春花)乳幼児育児アドバイザー

皆さんは育児をする中で、

「大事な我が子に優しくしたいと思うのにイライラしちゃう!」

「周りの親がみんな、素晴らしい子育てをしていて、自分はダメな親に思える」

「毎日の育児がしんどくて、この子がいなければ…とすら思ってしまう」

そんなときがありませんか?

実はNHKの調査では3人に1人が「母親にならなければよかった」と思ったことがあるそうです。(https://www.nhk.or.jp/minplus/0029/topic099.html

この記事では、2児の母でもあるねんねママが精神科医の方の書籍を元にし、子育てで苦しい思いをしている方に必要な思考法を提案します。

母親にならなければよかったと思う背景

冒頭で、3人に1人が「母親にならなければよかった」と思ったことがあるとお伝えしましたが、実は同じ調査で母親にならなければよかったと回答した人に「自身の子どもに対して、愛情や大切だという思いを持っているか」と尋ねたところ、96%の母親が「あてはまる」と回答したそうです。(「とてもあてはまる」と答えたのは72%、「ややあてはまる」は24%)

つまり子どもに愛情はあるけれど、あるときふと「親にならなければ良かったかも…」と思ってしまうことがあるということです。

これまで多くの育児相談を受けてきた中で感じることとして、母親たちがこのように考える大きな理由の1つは「良い母親になれていないと思うから」ということが挙げられます。

「良い母親」とはなんなのか

母親たちが無意識にめざしてしまう「良い母親」とは、ご相談の中ではこういった言葉が聞かれることが多いものです。

例えば

  • ぐっすり気持ちよく上手に子どもを寝かせてあげられる
  • 手作りで栄養あるものを食べさせている
  • お出かけや習い事など色々体験させている
  • 子どもの生活リズムをちゃんと作っている
  • 怒らず怒鳴らず、いつもにこにこしている
  • YouTubeなどを見せずに絵本を読んであげている

それぞれ思い浮かべているものは違いはあれど、こういったイメージを描いている方が多くみられます。

しかし、なかなかこれは現実的ではない部分もあります。現代では母親も働いていたり、父親がなかなか帰宅しなかったりと、ストレスになる部分は多いもの。

思い描く理想が高すぎると、現実と乖離が大きくなって「私は子育て向いていない」と思ってしまうのも当然なのです。

子育てしているときは、自分の人生なのに思うように生きられなくて、自分のために時間を使えなくて、やりたいこともやれないどころか食べることや寝ること、トイレにいくことすらままならない…ということもあります。となればその原因である子どもにイライラしてしまうことだってあるでしょう。

でも無意識に心のどこかで「良い母親にならなきゃ」と考え、「子どものために生きなきゃ!」と思えば思うほど、自分の人生が生きられなくてつらくなる、イライラしてしまうという負のループが起こってしまいます。

さらには、子どもが生まれたのに自分の人生を生きているように見える夫のことが憎らしく思えてしまうこともあります。

そんな状況ってとても苦しいですよね。

どうやったらその状況から抜け出せるのかですが、意識していただきたことを最後に記載しておきます。

良い親でなくてもいい!

解決法として精神科医のシェファリ・ツバリ先生が書かれた『「良い親」をやめれば「生きる力」を持つ子が育つ』という本の中から感じたことをもとにお伝えしていきます。

私たち親は子どもに愛情をもって大切に思うからこそ、どうしても良い親でいなくてはというプレッシャーをもってしまいがちです。

  • 子どもに良いもの食べさせなきゃ!
  • 部屋はいつも綺麗に片付けなきゃ!
  • 子どもを大きい声で叱りつけるのは悪い親だ
  • 電車の中で大声を出させる親は悪い親だ

というような価値観があるのにその通りにできず、自分ってダメだなぁと思うから「子育て向いてないや」と思ってしまうのですよね。

でもそれは、理想を目指し過ぎてたんだな、とここまで読んでいただければ感じていただけるかなと思います。

「自分は良い親でなんていられない」「完璧にできなくても仕方ない、だって完璧じゃない私なんだから!」とありのままを受け入れることが大切だと本には記載されていました。

ありのままを受け入れるには?

では、ありのままの自分を認めるには具体的にどうすればいいか、先に紹介した本から引用します。

・自分が親である前にひとりの人間であることを受け入れる
・自分に限界があり、欠点も多いこと、そしてそれでも良いことを受け入れる
・自分が常に正しい道を知っているわけではないことを受け入れる
・子供よりもはるかに逆上することがあることを受け入れる
・疲れすぎて、冷静さを保てないときがあることを受け入れる

上記は本に挙げられていた項目の一部です。

しかし、これできていますか?と考えると、できていない部分も多くあるかと思います。自分を「親」という完璧な人間にしようとして、できなくて自己嫌悪になることもあると思います。

まずはこのように「そう思ってる!」と意識することが大事です。まずは「私ってそういうこと気にしているんだ!」と気付きを得てください。

例えば「私は『寝たい』と思っている。でも寝かせてもらえないから、自分の怒りを私はこの子にぶつけているんだ。でも仕方ない。私も一人の人間なのだから、眠れなかったらイライラするよね。」と気付いて受け入れることが、結局めぐりめぐって子どもとの愛着構築のためにも大事になってきます。

自分が無意識に思い描いていた理想の自分像に気づき、完璧じゃない自分を許せるように気持ちを変えることで、ありのままの自分を受け入れられるようになります。

私もまずは完璧じゃないありのままの自分を受け入れようと最近は意識しています。そうすると人のことを許せるようになったり、子どものことも寛大に見られるようになってきました。

子育てをしていると子どものことばかりに意識が向きがちですが、不完全な自分に意識を向けて、認めてあげるということをぜひやってみてくださいね。

おわりに

子育てで苦しいときに、いつもニコニコして理想の母親でいるのは難しいですよね。本当は愛情があるのに「私ってちゃんとできていないお母さんだ…」という思いがどうしても出てしまうと思います。

そこで立ち止まって「ちゃんとできてなくて当たり前だし、そんなんだっていいよね!むしろ自分ってそうやってちゃんとしようって意識もってる人間なんだ!」と気付くのはとても大事です。ぜひ、自分の気持ちに気付いて受け入れることを意識してみてください。

▼YouTube動画でも詳しくお話しています。

乳幼児育児アドバイザー

乳幼児育児アドバイザー。小児スリープコンサルタント。0-3歳モンテッソーリ教師。株式会社mominess代表。YouTube「ねんねママのもっとラクする子育て情報局」やInstagramなどで乳幼児の育児に関する発信を続け、2024年現在、SNSの総フォロワーは19万人超。運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。著書に『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』『〇✕ですぐわかる!ねんねのお悩み消えちゃう本』がある。

ねんねママ(和氣春花)の最近の記事