春の準優勝校、東海大静岡翔洋が好発進
第28回全国高等学校女子硬式野球選手権大会は20日、兵庫県丹波市、淡路市で開幕し、大会2連覇と今春の選抜大会に続き優勝を狙う神戸弘陵(兵庫)と、選抜大会で準優勝した東海大翔洋(静岡)が登場、互いに初戦を突破し2回戦へコマを進めた。
東海大翔洋が猛攻を見せ快勝
選抜大会の準優勝を自信に夏こそは優勝を目指す、東海大翔洋は、ブルーベリースタジアム丹波(兵庫県丹波市)で滋賀短大付(滋賀)と対戦し、9対0(6回コールド)と快勝した。
◆7月20日 東海大翔洋 対 滋賀短大付属
東海大翔洋 230 013 = 9
滋賀短大付 000 000 = 0
※大会規定により6回コールド
▼バッテリー
【東海大翔洋】垣崎(5回)、遠藤(1回)ー 宮
【滋賀短大付】川上(5回)、川村(1回)ー 中村(5回)、大東(1回)
▼二塁打 東海大翔洋:長瀬
東海大翔洋は、初回から相手を攻め立て2点を先制すると2回にも3点を追加し、終盤にも追加点を挙げるなど、終始主導権を握った。1番・井戸穂花(3年)が初打席で安打し、すかさず二盗を決めるという東海大翔洋らしい攻撃で勢いに乗り、中軸を中心に16安打(公式記録より)と打撃力を見せつけた。
投げては、2年生エースの垣崎瑠衣が速球を中心に、5回を被安打1、与死球1と好投し、相手打線を寄せつけなかった。
チーム一の元気印、東海大翔洋・井戸穂花
誰よりも野球好きを自負する、井戸。リードオフマンとしてチームを引っ張る。東海大翔洋・弓桁義雄監督が「足のある井戸が出ると面白い。チームが元気づく」と話すキーマンの一人。プレーはもちろん、笑顔でもチームメイトに元気を与えている。それだけに選抜大会の決勝で敗れたとき、閉会式の間中、下を向いたまま、涙に暮れていた姿が印象的だった。そんな井戸の目標は「日本一と出塁率8割超え」。初戦は5打席中2出塁にとどまったが、「選手全員に初戦特有のかたさがあった」(弓桁監督)のもあるだろう。次戦以降も注目だ。
「自分たちらしい野球をしていこう」東海大翔洋・弓桁義雄監督
「初戦からの緊張で、いつもの野球ができなかったように思う。走者を出しながら得点できなかったことなどが反省点。春の準優勝で選手たちに多少のプレッシャーがあるようだから『いつも通り、自分たちらしい野球をしていこう』と話している。今日は、悪い流れの時もあったと思うが、その中で勝ち切れたことは大きい」
「日本一を目指してやるだけ」宮茉夢主将(3年)の談話
「まずは勝てて良かったです。私自身の打撃が好調(4打数4安打)だったのは、選抜で全く打てずチームに貢献できなかった悔しさで、3か月間振り込んできた成果かなと思います。(投手の)垣崎は、大会前に体調を壊して実戦登板が十分でなかった中、懸命に腕を振ってしっかり投げてくれました。速球中心におさえましたが、まだまだこんなものじゃありません。全員が、夏こそ日本一をとるつもりでハードな練習をこなし、しっかり準備してきました。あとはやるだけです!」
「翔洋さんは強かった」滋賀短大付属・佐藤彰哉監督
滋賀短大付は、今春、女子野球部が誕生したばかり。部員は全員1年生だ。初の全国大会はコールド負けとほろ苦いデビュー戦となった。佐藤彰哉監督は、「相手打線が止められませんでした。やはり翔洋さんは強かった」と脱帽。走者を置いたときの守備などは場面ごとに選択するプレーが、1年生だけのチームとは思えない落ち着きがあった。連係での捕逸などのミスが幾つかあったが、実戦経験を積んでいけば解消されそうだ。「生徒たちは入学以降、自分たちなりに目標を立てて頑張ってきました。もっと練習を積んで、令和6年度中に全国大会で1勝というチーム目標を達成したいです」と話した。
佐藤監督は、昨年まで男子野球部監督だったが今春から女子野球部へ。体力や筋肉量を考慮した女子に見合った練習量と質を見極めるのに苦労したという。はじめは加減が全くわからず、体の痛みを訴える選手が出たが、最近は、選手たちの調子が上がり、手応えを感じている。チームの歴史は始まったばかり。これからの成長が楽しみだ。
(撮影は全て筆者)