<終盤情勢>小池氏やや先行、増田氏・鳥越氏追う=JX通信社 東京都知事選独自調査

小池氏の勢いが続いている(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

7月31日(日曜日)に投開票が行われる東京都知事選挙に合わせて、筆者が代表を務める報道ベンチャーのJX通信社では、前回に引き続き22日から24日までの3日間、東京都内の有権者を対象とした情勢調査(第4回)を行った。

※注:JX通信社は共同通信グループなど他の報道機関との資本関係があるが、今回の調査は自社調査サービス(公開準備中)の企画として単独で行ったものであり、他社とのデータの交換や提供などは一切行っていない。

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調査の概要は右図の通りだ。調査手法の概要については、前回の記事を参照いただきたい。なお今回の東京都知事選挙に関する調査は告示前から行っているため、撤退表明前の宇都宮健児氏が第1回・第2回調査の選択肢に含まれている。また、第2回では実施期間中に宇都宮氏の撤退表明があったため、データにそれによる影響が一定程度含まれている。

終盤情勢の大きなポイントは下記の3点だ。

小池氏がやや先行し、増田氏と鳥越氏が横並びで追う展開。

・鳥越氏支持はこの1週間で更に下落。増田氏がわずかに上回る。

新宿は「ダブル選」に 小池派刺客の当選可能性は?

鳥越氏、民進・共産支持層固めきれず

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告示直前の12・13日調査時点でトップに立った鳥越俊太郎氏は、その後の調査では回を重ねるごとに下落している。先週時点では民進・共産支持層でそれぞれ6~7割の支持を得ていたが、直近1週間ではそれぞれが約1割下がるなど足元に揺らぎがみられ、全体での支持下落の傾向に影響している。

このほか、自民支持層よりもボリュームの大きい無党派層でも失速が目立つ。この1週間、主要3候補のなかでは小池氏、増田氏がそれぞれ無党派の態度未定者を取り込んで支持を伸ばしたのに対して、鳥越氏のみが微減という結果になった。こうしたことが、現時点で増田氏の逆転を許す状態につながっている。

支持下落の原因として、21日発売の週刊文春などの報道で鳥越氏自身の女性問題が取り上げられたことや、新聞・TV報道を中心に政策面の説明の不安定さが指摘されたことなどが考えられる。民進・共産を中心とする野党共闘の枠組みで統一候補として擁立された鳥越氏だが、現状は幅広い支持拡大がままならない格好だ。

増田氏、知名度向上も自民支持層でリード許す

自民・公明両党の推薦を受ける増田寛也氏は、この1週間で無党派層、公明支持層でそれぞれ支持を伸ばし、全体で鳥越氏と横並びで2番手につけている情勢だ。一方、足元の自民支持層では小池氏がなお伸長を続け、増田氏は態度未定者の取り込みで後塵を拝している。小池氏が自民支持層の4割台半ばを固めたのに対して、増田氏は3割台にとどまっており、都連挙げての「組織戦」も公明ほどには機能していないことが窺える。

また、その公明支持層でも、増田氏は小池氏にわずかに侵食されている。告示後、増田氏を推薦した公明党は太田昭宏元代表が増田氏と街頭に立ったりするなど外形的には十分前面に立った戦いをしているように見えるが、支持層はこの2週間、2割ほどが小池氏支持で固まったままの状態が続いている。

「どぶ板」とも言われる積極的な街頭活動の継続や、主要3候補を並び立てての報道の増加で徐々に知名度の向上傾向が見られるが、ここ2週間のトレンドとしてはその増田氏の伸び以上に小池氏が伸びており、残り1週間ほどで差が縮まるかどうかがポイントとなる。

新宿区都議補選に刺客 小池氏「ダブル勝利」の可能性は?

小池氏は30代以上の全年代で最多の支持を集め、特に30~50代で他候補を大きくリードしている。全体でも態度未定者は3割ほどに減ったが、小池氏は自民支持層・無党派層でなお伸びを見せている。序盤情勢の時点ではより接戦となっていたが、現在の情勢のまま推移すれば、最終的な選挙結果は2011年都知事選に近い程度に、上位候補の中でも差が開きそうだ。

そして、ここに来て注目されるのが22日告示の新宿区都議補欠選挙だ。補選のため定数は1で、新宿区長に転出した自民党の前都議の欠員を埋めるものとなっている。小池氏はここに、自身の元秘書を候補として擁立した。ここでは、今回自民・民進・共産の各党が候補を擁立しているが、それに加えて直前に「小池派」の候補が1人立ち保守分裂となった格好だ。

JX通信社では都議補選は情勢調査の対象としておらず、データが統計的に不十分なため情勢判断は見送っている。だが、一般論として定数1の補選は首長選と連動しやすいことを指摘しておきたい。具体例として、昨年の大阪市会西成区補選や、更に、政局的な観点も含めれば2010年に実施された大阪市会福島区補選が参考になる。

昨年の「大阪ダブル選」(大阪府知事・大阪市長選同時実施)と同日投開票で行われたこの西成補選は、同区選出の自民現職市議(当時)が市長選に出馬することで行われたが、大阪維新の会の新人候補が次点に大差で勝利した。本来、都議会も大阪市会も定数が複数の区が多く、本選で特定政党・会派が過半数を占めることは非常に難しい。だが、定数1の補選となれば、事実上小選挙区や首長選と同様の構図となるため、単純に得票数の最も多い党派が取りやすい。つまり、新宿補選の「小池派」候補は、小池氏と一体となった認知を区内で広げられれば、選挙結果も連動し得る。

自民と手打ち?それとも新党?小池氏のシナリオ

補選のタイミングもポイントだ。今回、仮に小池氏と「小池派」候補が同時に当選すれば、あと1年を切った都議選本選を前にしたこのタイミングとあいまって、議会と知事の関係にも大きな影響がある。具体的には、議会会派の再編や地域政党の誕生の可能性も出てくるのだ。その例が、先ほど挙げた2010年大阪市会福島区補選だ。

この補選は、同年結成されたばかりの地域政党「大阪維新の会」が初めて臨んだ選挙だ。当時、大阪市会には1議席しかなかった維新の新人が既成政党の候補を破ったことで、現職市議の維新合流の動きが加速。翌年の統一地方選(大阪市会選・府議選本選も実施)で維新が大勝する「大阪春の陣」につながった。

小池氏は自民党の推薦なしでの立候補を表明した時点から、都議会自民党との対決姿勢を鮮明にしている。今回、再び「先手」で都議補選に候補擁立するのは、それを更に加速させるものだ。一方で「自民党籍を自ら手放すことはない」ともしている点も、2010年当時の大阪維新の会への自民議員の合流時とよく似ている。結果として小池氏は、ボリュームゾーンの自民支持層と無党派層から支持を得てリードする展開となっており、大阪でのケーススタディを1つのシナリオとして見据えている可能性がある。