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ダメ元は6割うまくいく ~できるかできないかではなく、やるかやらないかの思考法~

横山信弘経営コラムニスト
(提供:shutterstock)

■ダメ元の魔法

「できるかできないかではなく、やるかやらないか」

これは、語り継がれている名言である。

どんなことでも、やらなければ始まらない。やらなければ何も成し遂げられないのだ。

それは誰もがわかっている。わかっているけれども、なかなか動けない人は多いもの。

とくに昨今は、不確実性の高い時代だ。複雑で曖昧で、ビジネスの世界では正解のないことばかりである。

だから、どんな事業をスタートさせたら儲かるのか。どんなマーケットを狙ったら企業が成長するのか。誰も答えを持っていない。

それに、誰もが切実に悩んでいることは、もっと身近な問題だ。

組織マネジャーは部下の主体性のなさに嘆いている。部下は部下で、上司へどう話しかけたらいいか迷っている。悩みを聞いてほしいが、こんなレベルの低い質問をしてもいいのだろうか。とりあえず自分なりに考えてからのほうがいいのかもしれないなどと思い、動けないでいる。

客観的に見ていると、そんなことで悩んでいないで、もっと部下と対話をすべきだと思える。部下も、上司に対して積極的に話しかけたらいいのだ。

そう歯がゆい気持ちになるのだが、なかなかできないものなのだ。

たとえば会議中、明らかに社長の言い分がおかしい。周りもそれを気づいている。しかし空気が重い。そういうシチュエーションで、

「社長、お言葉ですが、それはちょっと違うと思うのですが……」

と言えるだろうか。

他にもある。たとえば、上司から「今度のイベントにお客様を呼んでくれ」と言われ、連絡しようと思うのだが、以前、

「よっぽど興味のあるイベントでない限り、参加するつもりはない」

と言われていたら、どうしたものか……。悩んでしまうものだ。

そこで、こういうときに必要な考え方が「ダメ元」なのである。

今回は、ダメ元の考え方を手に入れることで、仕事でも人生でも、ストレスをためることなくうまくいく考え方、技術について解説する。

ダメ元は魔法だ。

「未知の窓」を開き、セレンディピティ(素敵な幸運)に満ちた人生を送るうえでも大事な武器になる。

ぜひ最後まで読んでもらいたい。

<目次>

■ダメ元の魔法

■ダメ元とは何か? ~「絶対大丈夫」と「絶対無理」の間にあるもの~

■ダメ元は「性格」によってこうも変わる!

■ダメ元は、どんな相手に、どんな時に、どう使うべきか?

■ダメ元の対象(1)は「人」 ~ダメ元と無謀の違い~

■ダメ元の対象(2)は「ビジネス」 ~最後の一押しで使う!~

■ダメ元メンタルの鍛え方 ~ストレス要因・ストレス強度・ストレス反応~

■ダメ元と「リスク」との関係性

■ダメ元はAI(人工知能)から学べ! ~「大数の法則」について~

■ダメ元の最大のベネフィットは「未知の窓」を開くこと

■ダメ元の反対の「元ダメ」について

■ダメ元とは何か? ~「絶対大丈夫」と「絶対無理」の間にあるもの~

ダメ元とは、たとえうまくいく可能性が低くても、試しにやってみることを指す。失敗する可能性が高いとわかっていても、それでもやってみよう、やってみたら意外とうまくいくかもしれない、というチャレンジ精神のようなものだ。

このようなダメ元の考え方を手にすることで、意外な成功体験を得ることも多い。

私は20年以上も前から、ダメ元を信条にしている。ダメ元で行動していると、確かに失敗体験ばかり増えていく。

だが、時代が変わって昔は2~3割の成功率だったダメ元が、今では6割ぐらいうまくいっている感じがする。

もちろん、これは感覚的なものだ。大ベストセラーである『人は見た目が9割』『伝え方が9割』『人は話し方が9割』の9割と同じような意味合いと受け止めてほしい。

しかし、多くの人が「そうかも」と受け止めたはずだ。「ダメ元が6割? ある気がする」と。

私は何かをやる際、感覚的に3つのパターンがあると考えている。その3つとは以下の通りだ。

・絶対大丈夫

・不明(やってみなければわからない)

・絶対無理

この、たった3つである。

例を挙げてみよう。

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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