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上司から信頼を勝ち取っていない人へ!「会話のズレ」を補正する「ズレリセット」3か条

横山信弘経営コラムニスト
(写真:shutterstock)

■会話のズレに気づいているか?

オンラインの時代になり、以前よりもはるかに「会話の精度」が求められるようになった。会話効率は作業効率より10倍も20倍もビジネスの生産性に関わるからだ。「会話のズレ」を見つけたら、そのズレはしっかりと補正していかなければならない。

たとえば上司と会話していて、こんなことはないだろうか。

「あれ? 資料を印刷して会議室に持ってこいと言ったつもりだが」

「え? てっきり課長が用意してくれるものと思っていました」

デートでは、よくある話だ。

「あれ? 忠犬ハチ公の前で待ってると言ったつもりだけど」

「え? いつものモヤイ像の前だと思ってた」

このように「つもりだった」「てっきり●●だと思ってた」という表現が出てきたら、会話がズレている証拠。すれ違いが発生しているのだ。

どうしてこんなことが起こるのだろうか。そしてどうやったら防ぐことができるのだろうか。

(参考記事:■対人関係で悩みを抱えているあなたへ 会話の中の小さなクセを治すだけで対人関係が激変する7つのルール

■会話がズレるとどうなるのか?

会話がズレると、知らぬ間に信頼を失ってしまう。

たとえ自分の責任でなくても、相手から「なんかわかってない」「なんか詰めが甘い」などとレッテルが貼られてしまう。

厄介なのは、一度レッテルが貼られると、なかなかはがすことができないことだ。

だから、会話がズレないように細心の注意を払っていこう。最初にやるべきことは、上司やお客様など、日ごろから接している人と良好な関係ができているかどうか。気づくところから始めてみる。

■こんなこと言われてないか? 相手の口ぐせに注意する

相手から信頼されているかどうか。それを見極めるには、相手の口ぐせに注意することだ。

たとえば次のようなことを言われていたら要注意。すでにレッテルを貼られているかもしれない。いくつかの例を紹介しよう。

「あの件、どうなった?」などと相手からイチイチ確認される。

「ちゃんと話聞いてる?」「大丈夫?」などと心配される。

「それは自分で聞いてくれないか」と言って相手から避けられる。

「ま、それはおいといて……」と言って、話している途中に遮られる。

「がんばってるのは認めるけど」と言って、なかなか評価してもらえない。

このようなことに身に覚えがあったら、日ごろから会話がズレているかもしれない。すぐにでも会話のズレを補正していこう。

■会話がズレる理由

会話がズレる理由は、どちらかが「ぼんやり」とした話し方をするからだ。あいまいな表現、抽象的な言葉を使ってコミュニケーションをしていると必ず会話はズレてくる。

視界がぼやけて、的外れな会話をしてしまうものだ。

上司から「徹底しよう」「積極的にいこう」「この調子でいい」と言われないだろうか。しかしこのように「ぼんやり」と言われても、具体的にどうしていいかわかる人は少ないはず。

お客様から「当社に合った提案を」「できる限りはやくお願い」「決め手に欠けるなあ」と言われても、どこに焦点を合わせればいいかわからない人が大半ではないか。

このように、相手の言い方が「ぼんやり」していると、聞いている側の頭はクリアにならない。

■会話のズレを生む3つのパターンを知っておこう

会話のズレを補正するには、その原因となる3つのパターンを覚えておこう。そのパターンとは次の3つである。

(1)反射

(2)思い込み

(3)知識不足

(1)反射

反射とは、相手の話を聞いたあと反射的に答えてしまうことだ。誰だって経験はある。

「なるはやでお願いね」と言われたら「なるはやでやります」と反射的に答えてしまう。

「わかった?」と聞かれたら「わかってます」と反射的に答えてしまう。

反射的に口にしてしまうので、確認するタイミングを失ってしまう。

(2)思い込み

思い込みがあると認識のズレが生じてしまう。では反射のケースと何が違うのか。比べてみよう。

反射のケースは、こうだ。

「仕事に役立つ勉強をしてほしい」

「わかりました。そうします」

「ところで仕事に役立つ勉強って何かわかる?」

「あ、いや。実はわかってません。教えてください」

反射のケースだと、話し手も聞き手もすぐ気づくことが多い。いっぽう思い込みのケースは、話し手が確認してもズレを治せない。

「仕事に役立つ勉強をしてほしい」

「わかりました。そうします」

「ところで仕事に役立つ勉強って何かわかる?」

「もちろん、わかってます」

聞き手が思い込んでいるせいで、認識がズレていたとしてもその場ではわからない。だから聞き手が確認しないと、なかなか認識のズレを補正できない。

(3)知識不足

知識不足は厄介だ。知識がないと、そもそも聞き取ることが難しい。聞き間違えてしまうと、補正することもできない。

以前「このプロジェクトにアサインしてもらえませんか」とお客様に言われ、社内の「浅井さん」に連絡した新人がいた。「アサイン」の意味がわからなかったから「浅井さんという方をプロジェクトに呼べということ」と勘違いしたのだ。

このように聞き間違いをしていると、確認しようがない。

基本的なビジネス用語、業界用語は覚えるべきだが限界がある。失敗しながら覚えるしかない。

■1分でズレを治す!「ズレリセット」3か条

会話がズレる3つのパターンを理解できたら、どのようにズレを補正するのか。「ズレリセット」3か条を紹介する。

①その場で確認!

ズレ補正でいちばんカンタンで効き目があるのは、その場で「確認する」ことだ。

「とりあえずやってみます」「いったん取り掛かってみます」と言って「持ち帰るクセ」はやめよう。会話がズレる原因になる。

②具体化しよう!

確認するときは、数字と固有名詞を意識する。ついつい「つもりでした」「もっと具体的に言ってくれたら」と不満を覚える人は、この2つを意識して質問と確認をしてみるといい。

③常識はメモろう!

まだ慣れない時期であれば、世間の常識、その業界、職場独特の文化を知らないもの。

事前に覚えておくことは重要だが、限界がある。なので逐一メモをとって覚えるようにしよう。

■まとめ

会話のズレを補正するために最も意識すべきことは「確認」だ。「確認グセ」をつけていこう。

「ぼんやり表現」を丁寧にひとつひとつ具体化していく。この確認作業が会話のズレを補正してくれる。あいまいな表現をよく使う上司、お客様には、この確認グセが力を発揮する。

ぼんやりとしたレンズを「確認タオル」で拭いていくイメージだ。丁寧に確認してお互いの視界をクリアにしよう。そうすると「的外れ」なことは減っていく。

(参考記事:■対人関係で悩みを抱えているあなたへ 会話の中の小さなクセを治すだけで対人関係が激変する7つのルール

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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