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【横山塾】「主体性」がない人に主体性を求めるのは、カレーに甘さを求めるようなもの

横山信弘経営コラムニスト

■Withコロナの時代に「主体性」は不可欠だ

説明する必要はないだろう。Withコロナの時代に「主体性」は不可欠だ。もう発展することはないこの日本という国で生活している私たちは、「下りのエスカレーター」に乗っている。

そんな私たちが「主体的」に動けないのであれば、もう「QOL(Quolity Of Life)」を高める資格すら失ってしまうことになる。

今回のテーマは「主体性」だ。

5000文字を超える大作記事であるので、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

<目次>

・上司が部下に求めるベスト3「主体性」「問題意識」「危機感」

・部下に「主体性」を求める矛盾

・カレーは自ら甘くなることはできない

・「内発的動機付け」と「外発的動機付け」の意味

・「ダグラス・マグレガーのX理論・Y理論」を用いて解説する

・XとYを繰り返すだけ

・「10」聞いて「100」理解できなければ、主体的に動きようがない

・「主体性」を高める教育

■上司が部下に求めるベスト3「主体性」「問題意識」「危機感」

「本当に困っているんです。主体性のない部下がすごく多くて」

「これだけ業績が悪化しているのに、問題意識が希薄だ」

「最近の若い人は危機感が足りない。自分ごととして捉えていないのか」

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントである。そのせいか、とにかく経営者や管理職たちの愚痴を聞く。おそらく日本でいちばん彼らの愚痴を耳にするコンサルタントではないか、と思うぐらいだ。

業種や企業の規模など関係がない。上司と呼ばれる人種は、いつの時代でも部下に「主体性」「問題意識」「危機感」を求めるものだ。

わからないでもない。

デジタル技術を使って組織変革を促すことをDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ぶが、このDXで最も重要なことは「意識変革」である。

DXはIT化とは異なる。人の意識や行動に変容が見られなければDXとは呼ばない。

だからAIやRPA(ロボット)などの進化により、「主体性」「問題意識」「危機感」に欠ける従業員は置換されると言われるのだ。

「仕事の49%が、AIに置換される」

野村総研とオックスフォードとの共同研究が発表されたのは、2015年12月のこと。当時はこの衝撃的なレポートで、我々コンサルティング業界も沸き立った。

労働人口の49%が就いている職業において、10~20年後にはAIに置換する。その可能性について言及されていたが、実際はそこまでの影響は出ていない。

一般事務職員や各種機械オペレーター、スーパーのレジ係、マンションの管理人。そういった職業の方々が「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」に含まれていた。

しかし、置換されるのは「職業」という網で括られる人たちではないことが、ここ数年わかってきた。この研究が発表されてから5年。その間に、日本はその立ち位置を、世界の中で大きく遅らせることになったことからも明らかだろう。

「意識の差」があまりにも、世界とかけ離れていたからである。

どんな職業が、今後なくなっていくのかなんて愚問である。重要なのは意識であり、姿勢なのだ。

「主体性」「問題意識」「危機感」をAIやロボットに求める人はいない。つまりこの点で劣っているのなら、もうその人間が企業に雇われることはない。

どんなにデジタルレイバーより人間の優位性を語ったとしても、だ。「主体性」「問題意識」「危機感」といった、労働者にとって当然備えていなければならないものが欠落していたら。

■部下に「主体性」を求める矛盾

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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