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中小企業の社長は必読! オンライン会食では「宅配寿司」がおススメ?

横山信弘経営コラムニスト
(写真:アフロ)

■Zoomを使って「オンライン会食」やってみた

「本当に濃密な時間でした。ありがとうございました!」

先日、ある経営者からこう言われた。私もまったく同じ感想を持ったので、

「こちらこそ、本当にありがとうございます!」

と、ディスプレイの前で深々と頭を下げました。

時間をみると夜の8時を過ぎたころ。パソコンの電源を切り、そのままリビングへ行って「風呂、入れる?」と妻に聞くと「入れるよ」と言うので、そのまま脱衣してバスルームへ滑り込んだ。

「いやあ、本当に濃密な時間だったな……」

湯船につかってから、心底そのように思った。

オンライン会議システムのZoomを使って、遠方にいる社長と会食をしたのだ。夜の7時~8時まで。たったの1時間である。

部下や知人と「オンラインランチ会」や「オンライン飲み会」の経験はあったが、「オンライン会食」は初めて。新型コロナウイルス感染症の影響で緊急事態宣言が発令されてから、コンサルタント仲間が週に1~2回は開催していると聞いたので、私も「物は試し」だという気持ちでやってみた。

その社長とは、「ぜひ一度お食事でも」と何年も前から話していた。にもかかわらず住んでいるところも活動しているところも、物理的に距離が離れていた。社長は北関東、私は愛知と岐阜の県境に住んでいるから「お互い、仕事で東京に出てきたときにでも時間を作って」などと言っていた。が、そんな機会はなかなか訪れない。

だから「オンライン会食」なのである。

その後、オンライン会食を何度か試みたが、いずれもうまくいった。これは、中小企業の社長にはお勧めしたいなと思った。そこでオンライン会食の魅力とは何か。そして、どのような効能と、どういう点を気を付けるべきか。

会食するなら、どんな食べ物を注文したほうがいいのか。簡単に解説したい。

■飲み会や接待との違い

そもそも会食とは何なのか。飲み会や接待とは何が違うのか。まずは基本的なことに触れたい。

会食と飲み会との違いは、説明する必要はないだろう。会食はフォーマルで、飲み会はどちらかというとカジュアルだ。会食のために使われる場所も、会食に参加する人も、それなりのステータスを求められる。

取引先の社長と専務、主催する側も社長と部長といったメンツで、格式の高い料亭でするといったイメージがある。会食は。なので、担当者同士で居酒屋で親睦を深めようとする会は、会食というより飲み会だ。

それでは接待とは何が違うのか。似ている点は多いが、違うのは目的だと私は思う。

私は営業コンサルタントだからよくわかる。接待は、営業目的である。そう。正直言って主催者側に「下心」がある。

「社長、ぜひ当社をよろしくお願いいたします」

と、営業部長が頭を下げながらビールをつぐ。接待とはそんなイメージだ。

いっぽう会食は、具体的に前に進めたい商談や、販売したい何かがあるわけではなく、目的はもう少し抽象的だ。人と人、組織と組織との関係を維持するためにするものだ。

「いちご狩り」の苺でたとえると、苺を育てるために水を撒くのが会食。苺を狩りとろうとするのが、接待であろう。

飲み会、会食、接待で考えたら、オンライン化できるのは飲み会と会食だ。接待は難しい。

「オンライン」では、絶対に得られない大事なことで書いたとおり、リアルでなければ絶対に得られないタイミングがあるため、接待は難しいと思う。

実際の商談であるなら、オンライン化はできるだろうが。

■「オンライン会食」に誘うときのコツ

このように会食はビジネス上の重要人物との、格式の高い食事会を指す。もちろんリアルで、それなりの場所へ招いたほうが効力があるだろう。しかし、私のケースと同じで、そうはいってもなかなか実現できないものだ。

会議や商談なら、具体的な目的がある。目的があるから、いつ実施するか、主催者側が具体的に日取りを決めたいという気持ちになる。しかし会食は目的が抽象的であるから、なかなか具体的な日程が決まらない。

「今度、一緒に食事でも行きましょう」

というのは「ザ・社交辞令」。だから、

「そうですね、ぜひ行きましょう」

と相手から返されても、本気にしていいかどうかわからないことが多い。なので、具体的な日時をいつ決めていいかわからない。そのままずっと決められないまま、どちらも忘れられていくといったことが非常に多い。

そもそも、会食に呼びたくなる人は、だいたいが忙しい。都合をつけるのが難しい。冒頭で紹介した例のように、物理的に離れた場所にいるケースも多い。

だから、手軽にできる「オンライン会食」はとても便利だ。そこそこ関係ができていること、オンラインでの交流に抵抗がない人なら、利用しない手はない。

次に「オンライン会食」に誘うときのコツを披露しよう。

これは「オンライン会議」「オンライン商談」「オンライン飲み会」などへの参加を促すときと同じ。

多少の強引さが必要だ。そして「時代の先見性」というキーワードも入れてみよう。

「会議ならともかく、会食をインターネットを介してやるなんて、ちょっと……」

と躊躇する人がいたとしよう。しかし相手が社長や経営幹部なら、

「あえて、今の時代はこういうのに慣れておかないといけませんよ」

と強く勧めたほうがいい。少し上から目線でもいいぐらいだ。若い人や中間管理職だと、なかなか押し切れないが、社長や、組織における重要キーパーソンほど、時代性には敏感だ。

「やはり、それぐらいは慣れておいたほうがいいですか」

「絶対にそうです。私、一週間に1回は、オンライン会食していますよ。地方にいながら、急速に首都圏の人脈が広がっています」

「え! そんなに?」

「リアルと違って、オンラインだと1時間でもすごく濃密な時間を過ごせるんです。勉強するつもりでやりませんか?」

……この、

「勉強するつもりでやりませんか?」

「慣れるためにもやりませんか?」

というフレーズは効き目がある。「社長として、それぐらい経験しておかないとマズイ」「時代に取り残されてしまう」「話のネタになる」「来週の朝礼でこのことを話そう」と思ってくれるのだ。

よく知らない相手ならともかく、以前からビジネスを一緒にしている仲であるなら、

「ちょっと照れるけど、経験してもいいかな」

と思ってくれるものだ。もしも、

「また一度、食事でも一緒に行きましょう」

と言っておきながら、「会食というのは、リアルじゃないと」と言い張るのであれば、

・単なる社交辞令だった

か、

・新しいことにチャレンジできない人だった

か、そのどちらかである。

それならそれで仕方がない。割り切って付き合えばいい。10人誘って、3~4人とオンライン会食できれば、素晴らしいコンバージョン率だと受け止めよう。他の人とは、そもそも会食しないか。リアル会食のセッティングをするしかない。

■オンライン会食では、何を注文すべき?

さて、最後に「オンライン会食」のときに注文するメニューについてだ。

私はいつも「宅配寿司チェーン」を利用して、同じメニューのお寿司を注文する。だいたい一人2,000円ぐらいの握り寿司だ。2人であれば4,000円。3人であれば6,000円(3人までがお勧めか。4人以上になると、相互コミュニケーションがしづらくなる)ぐらいあればいい。

ビールやお酒などを宅配するのは難しいので、お互いに用意するか。アルコールなしで会食するほうがいいだろう。結果、リアルでの会食より、かなり予算は抑えられる。

料亭で会食するよりカジュアルな感じになるが、それは妥協したい。

冒頭で紹介したオンライン会食も、宅配寿司を頼った。店は違うが、全国チェーンの店なので、同じメニューが選べるのが利点だ。

指定した時間は19時だった。私の家には少しはやくて18時35分、社長のところには少し遅くて19時15分に宅配された。私は30分以上、寿司を前にして待ちぼうけをするはめになったが、それでも無事に社長のところにも寿司が到着し、会食がスタートした。

このときはアルコールなし。話す”ネタ”も事前に仕込んでおいたので、1時間はあっという間に過ぎた。ビジネスについてはもちろんのこと、プライベートな話もいろいろとできた。最近読んでいるビジネス書をその場で紹介したり、家族の写真を見せ合ったりした。自宅でやっているので、話す素材がいろいろと手元にあることもいい。

(経験上、1時間以上はしないほうがいいだろう。画面には映らない、参加者の背後の事情(家庭や職場の事情)に配慮したほうがいいからだ)

まだまだ工夫の余地は残る。しかし「オンライン会食」は、想像以上に価値が高いと思う。「関係構築」には向かないが、「関係維持」には強い味方だ。

興味を持たれた方は、ぜひチャレンジしてもらいたい。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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