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「コミュ障」を克服するには、まずメールしてから電話するとか?

横山信弘経営コラムニスト
「コミュ障」を克服したい……。(写真はイメージ)(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

■「コミュ障」とは何か? 

他人と話すのが苦手な人、自分が思っていることをうまく伝えられない人を、「コミュ障」と呼ぶ。

「コミュ障」とは、コミュニケーション障害のことだが、世間ではかなりカジュアルな感じで使われる。

「俺、コミュ障なんで、忘年会ニガテ」

とか。

「コミュ障じゃなかったら、もっと別の仕事につけた」

とか。

自分のことを「コミュ障」だとアピールしている時点で、本当にコミュニケーションに障害があるのか疑わしくなるが、本人が何らかのシーンで困ると認識しているのだから、仕方がない。

■どうすれば「コミュ障」を克服できるか

いずれにしても、「コミュ障だから、よく他人に誤解される」「コミュ障だから営業の成績が上がらない」など、悩みを抱える人は多くいるはずだ。

なら、どうすればコミュ障を克服できるのだろうか。

まず知っておいてもらいたいのは、コミュニケーションにおける「技能的な問題」を抱えていることで、コミュ障になることはない、ということだ。

だから、お笑い芸人のように面白いことを適切なタイミングで喋ることができたり、キャスターのようにスラスラ淀みなく話せるようになれば、コミュ障を克服できる、というわけではない。

■ コミュニケーション手段の考察

コミュ障を克服するうえで、まず考察したいのは、コミュニケーション手段についてだ。

私たちが日常で使用するコミュニケーションの手段は、大きく分けて3つある。「面談」「電話」「メール(チャット、SNSなども含む)」の3つ。

これら3つのうち、最も顕著に表れる”違い”は「非言語データ」の量だ。

たとえば「面談」のときは相手の顔を見て話をするため、「非言語化」されたデータまでも私たちは知覚する。それらのデータには相手の「目つき」「表情の変化」「息遣い」「態度」「手や体の動かし方」等が含まれる。

意識していなくても、それらをすべて知覚したうえで、私たちは相手とコミュニケーションしなければならない。知覚するデータが処理能力を上回るからか、受け止めるデータ量が多いとコミュ障の人はうまく頭が整理できない。だから誰かと面と向かって話をする際が、一番「コミュ障」である自分を意識することになるのだ。

「電話」の場合はどうか。

面と向かって話をしているときほどではない。しかし、多少なりとも「非言語データ」が耳に届く。相手の「声色」だったり「ため息」だったり「会話と会話の間」であったり。それゆえ、たとえ知らない相手でも、それらの「非言語データ」を感知して緊張したり、言いたいことも言えなかったりすることがある。

しかし「メール」ではどうだろうか。

知らない相手とネット上で「チャット」のやり取りをする場合はどうか。自分がコミュ障であることを忘れ、雄弁に語ったり、理路整然と自己主張することができる人もいる。

なぜか? 

相手から「非言語データ」をほとんど受け取らないからだ。

つまりコミュ障の人がフォーカスしなければならないのは、先述したとおり、コミュニケーションにおける技能的な側面ではない。非言語化された情報に自分がどう反応しているか、ということなのだ。

■ 属性と手段のマッチング

また手段以外にも、相手の属性にも目を向けたい。どういう人とコミュニケーションするときに、どう自分が反応しているかである。

すべての人に対して、等分に「苦手意識」を持つ人は少ないはずだ。

初対面で目上の人には緊張するが、心を許せる友人には、自分の内面をも語ることができる、という場合もあるはず。

親にはいろいろ話せるという人もいれば、反対に親だとうまく話せないという人もいる。人によって、いろいろだ。

そこで、コミュ障と感じている人は、苦手意識のレベルを考慮したうえで、「この人には直接話をしよう」「この人にはいったん電話で話してから会おう」「この人にはまずメールで自分の考えを伝えてから、その後で電話しよう」などと、複数のコミュニケーション手段を組み合わせていくことをお勧めする。

相手の属性と、手段の組合せで克服していくのだ。

■ 成功事例を積み重ねる

コミュ障は精神的な要素が大きく関わっている。そのため、「大丈夫! あなたが思っているほど、話すのヘタだなんて誰も思ってないから」などとアドバイスされても気休めにはならない。

精神面で自信をつけていくためには、「成功事例」を確実に増やしていくこと。これに尽きる。

現場でよく目にするトップ営業たちは、コミュニケーション能力で結果を出しているわけではない。行動の量やスピード、タイミング、会った時の姿勢、態度など、複数の要素が絡み合って、結果に結びつけている。

結果を出しつづければ、それが自信になり、自信がつけば、また結果に繋がる。この好循環が「成功事例」を積み重ねる原動力となっている。いつまでたっても、トップ営業たちのコミュニケーションレベルは向上しないが、精神面は充実していく。

まず、お勧めするのは、相手によってコミュニケーション手段を変えること。

面と向かって話すのが一番いいとわかっていても、あえて苦手な手法を選択する必要はない。メールに伝えたいことを書いてから電話するなど、工夫することだ。失敗しない手法を続けながら、徐々に自信をつけていく方法が「コミュ障」を克服する一番の近道だ。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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