部下に「自主性」を求める、「自主性」のない上司たち

もっと自主的になってほしいと願う自主性のない上司(※写真はイメージです)(写真:アフロ)

組織の根本的な問題

年間100回以上の講演やセミナーを管理者向けに実施していると、世の中の企業のマネジャーがどのようなことで悩んでいるのか、手に取るようにわかります。

組織の問題を解決するための「策」がわからないわけでもないのです。「策」はわかっているのだけれど、成果を手にできない。なぜなら、そのための「行動」がされないから――。組織の根本的な問題は、これに尽きると言えます。

どんなに会議で議論して、いいアイデアが出ても、それが実行されなければ意味がありません。虚しいだけです。

日本には、スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのような、イノベーティブな発想をする人材がいないと言われて久しいですが、日本企業の問題はそんなことではありません。

発想力より行動力です。

日本人は、かつて手にしていた「コツコツやる」という麗しい気質を失ってしまったのです。

自主性のない部下たち

企業の現場に入ってコンサルティングしていると、マネジャーの皆さんが口をそろえて言うのは「部下の自主性」についてです。

「最近は自主性に欠ける部下が多い」

「いちいち指示しないとやらない若者が増えた」

と、愚痴ばかりこぼします。

ある部分を除いて、私も共感します。危機感や問題意識が足りないのか。自分から主体的に動く若者は少ないし、積極的に手を挙げて発言する人も多くない。上司の目線で見れば、物足りなさを感じます。

「ある部分を除いて」と書いたのは、それは最近の事象ではないから。49歳の私が若いころも、「最近の若いヤツは何を考えているかわからない。自主性が足りない」と、言われつづけていました。同年代の方も、覚えがあるでしょう。

ただ、現代と違っていたのは、自主性のないまま放置されることは稀であった、ということです。

「もっと積極的に失敗しろ」「俺が責任をとるからチャレンジしろ」と追い込まれました。「何事にも受け身でいられる状態」を長くつづけさせてはもらえなかったのです。

自主性のない上司

私が驚くのは、部下ではなく、上司の態度のほうです。

「横山さん、これだけ言っても、主体的に動こうとしない。そんな部下をどう思いますか。まるで自主性がないでしょう?」

同意を求めてくるマネジャーはたくさんいますが、私はバッサリ切り捨てます。

「自主性がないのは、上司であるあなたのほうです」

と。

自主性のない部下は、いつの時代でも同じ量、同じ配分で存在します。時代とともに変わっていくのは、その部下に対して自主的に関わろうとする上司の数です。

少子高齢化の時代となり、部下の数に比べて上司の数が著しく増えました。組織でいうと、「下」ではなく「上」が重たくなったのです。

先述したとおり、組織の行動力が落ちた真因は、自主性のない上司の責任です。部下が自主的に動かないのは、部下の責任ではなく、その上司の責任。マネジャーが自分事ではなく、他人事のようにふるまっているから組織力は落ちるばかりです。部下の自主性を問う以前に、自分自身の自主性、問題意識、危機感を自問自答すべきですね。