シダックス「カラオケ撤退」から学ぶ、これからの事業転換について

「ひとりカラオケ」が凋落の原因?(写真:アフロ)

シダックスがカラオケ事業を撤退

社員食堂から事業をスタートさせた「シダックス」が、人気を博したカラオケ事業から撤退すると発表しました。「カラオケ館」を運営するB&Vに事業を売却することを決めたのです。

カラオケ市場は底堅く、ここ10年以上、カラオケ参加者の人口は「5000万人」近くで推移しています。店舗数は4~5位のあたりだが、カラオケ事業の売上は、店舗数、売上ともにナンバー1である「第一興商(ビッグエコー)」に次いで2位。

食事、飲料に力を入れた郊外型店が多いことがシダックスの特徴です。したがって同業他社と比べ客単価を高くして売上・利益を稼ぐビジネスモデルであったがために、「ひとりカラオケ」というニーズにこたえられず、事業撤退に追い込まれたと言われています。

ひとりカラオケ

先述したとおり「ひとりカラオケ」の台頭が、シダックスを追い込んだのではないかという憶測が流れています。もちろん、市場が求めるニーズにこたえられなかった側面もあるでしょう。しかし、問題はそんな短絡的ではありません。

これほど人の価値観が多様化している時代に、単一ニーズに対応できなかったというだけで、事業撤退にまで追い込まれるはずがない。ホテルやレストラン、ラーメン専門店、ステーキハウス……それぞれに、お客様のニーズによって、多種多様に棲み分けができています。

シダックスは「ビッグエコー」「まねきねこ」「ジャンボカラオケ広場」などと比較すると店舗数は半分以下であり、低価格戦略を打ち出していたわけではないため、変遷していく市場ニーズにこたえられたはず。結局は、過去の成功体験にとらわれ、柔軟な商品開発やサービス転換を進めることができなかったことが原因であると言えるでしょう。

これからの時代の事業転換

ビッグエコーを展開する第一興商は、今後ビッグデータを利用した事業も模索しています。膨大な数のお客様の選曲、歌唱データなどが蓄積されていくことから、お客様のみならず、レコード会社やアーティストなどともデータで連携していくビジネスです。

カラオケ事業とは関係のない、別事業からやってきた社員がこのようなアイデアを思いつくそうです。イノベーションを起こしたければ、既成概念を打ち破る発想が必要で、そのためには「過去」や「同業」に着目してはならないのです。

このように過去や同業他社から学ばないことは、今後の事業転換を考えるうえで重要なキーワードになっていくことでしょう。

したがって、他のカラオケ店が「ひとりカラオケ」で成果を出していて、その流れにシダックスが乗り切れなかったことが、今回の事業撤退につながった――という分析は、あまりに安直すぎるのです。

社員食堂からカラオケへと事業の幅を広げたシダックス。今回はいったんカラオケ事業から撤退します。しかし、常に柔軟な発想でビジネスと向き合う習慣、風土をまた取り戻してもらいたいと思います。

こういった風土は、これからのすべての企業に必要な、大事な資源となることでしょう。