今日が人生最後の日だと思って生きる必要などない、たった一つの理由

(ペイレスイメージズ/アフロ)

今日が人生最後の日だと思って生きるべきだ、という名言

「今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか?」

これは、スティーブ・ジョブズが遺した名言のひとつです。とても考えさせられる言葉です。世界中の多くの人が、この言葉を胸に、「さて、自分なら何をやりたいだろうか。今日が人生最後の日だとしたら」と自問したことでしょう。そして自問したことで、1日1日を大切に生きよう、全力で取り組もうと、気持ちを新たにした方も多いと思います。

スティーブ・ジョブズのみならず、「今日が人生最後の日なら、あなたはどうするか?」「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」と言う偉人は多い。

「あなたが虚しく過ごした今日という日は、きのう死んでいったものが、あれほど生きたいと願ったあした」

これは『カシコギ』という、白血病を題材にした韓国の小説に出てくる名言です。この名言も心に響きます。明日などない。毎日毎日、後悔のない一日を過ごすべきだ、という言葉は多くの人を共感させるからです。

自己陶酔していても仕方がない

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。実際に、目標を達成させられる人と、目標を達成させられない人を、数えきれないほど見てきました。ポイントは、何といっても「行動力」です。どんなに言っていることが素晴らしくても、行動できなければ自己が掲げる目標を達成させられることはありません。

私はこれまで、膨大な人を「点」ではなく「線」で見てきました。1回の講演やセミナーだけで接点があるなら、「先生の話、感動しました! 今日から私は変わります!」と言われても満足ですが、常に「線」でその人を追いかける癖がある私は、どんな言葉をかけられても「何を具体的にやるんですか?」「あなたはどのように変わるんですか?」と問い掛けたくなるのです。「今日や明日だけでなく、ずっと自分を変化させ続けられますか?」と言いたくなります。

人は、2つのタイプに分けることができます。

(1)素晴らしい言葉に触れて自分の行動を変えられる人

(2)素晴らしい言葉に触れても自分の行動を変えられない人

現実には、圧倒的に(2)の人が多い。さらに(1)のタイプを2つに分けてみます。

(1ー1)素晴らしい言葉に触れてはじめて、自分の行動を変えられる人

(1ー2)素晴らしい言葉に触れても触れなくても、自分の行動を変えられる人

このケースも、現実には、圧倒的に(1-2)の人が多い。つまり、自分を変えられる人、自分の行動を変えられる人、自分の行動でもって結果を出せる人は、素晴らしい名言に触れようが、そうでなかろうが、ちょっとしたキッカケで常に自分をリセットし、目標を達成しよう、結果を出そうと自己変革し続けられるのです。

私は、「今日が人生最後の日だと思って生きる」必要などない、と考えています。なぜなら今日1日でできることは、極めて限られているからです。

何事も成し遂げるためには「線」で考えるべきです。今日という「点」を「明日」以降もずっと続く「点」と結び付けて「線」にし、その「線」で自分がやりたいこと、叶えたいことを手にすべきです。

今日という限られた「点」で考えていては短期思考に陥ってしまうでしょう。「どうせ明日さえもないのであれば、好き勝手やらせてほしい」と、目先の報酬に振り回される人もいます。他者に向ける視点も欠けていきます。

気持ちを高ぶらせるための名言は世の中にたくさんあります。深く考えず、気持ちを入れるためだけならいいですが、名言の内容を吟味し、細かく実践しようとすると、よけいに頭が混乱することも多々あるので気をつけたいですね。少なからず現実的には、そういった素晴らしい言葉を知らなくても、行動する人は行動するし、夢を叶える人、目標を達成する人はいるわけですから。たくさんの名言よりも、そういった現実こそ、頭に入れておいたほうがよいでしょう。言葉に酔っているだけでは、何にも貢献することはできません。