「やりたいことが見つからない」と嘆く必要はない。「逆算思考」ではなく「順算思考」がいい!

(写真:アフロ)

説教くさい大人の真実

私は企業の現場に入って目標を絶対達成するコンサルタントです。目標を「絶対達成」するのが仕事ですから、常に思考パターンは「逆算思考」

あるべき姿(目標)を明確に捉え、その姿から逆算して戦略を立案し、客観的なデータに基づく事実で行動計画を作り、その行動をやり切り、結果が出るまで改善し続ける――。どんな小さなことでも、この思考パターンを基本に仕事をしています。

しかし、それはあくまでも仕事の場合。人生において、戦略だの計画だの、というものを設定することはありません。これは人の好みであり、そうでなければならないと私は言うつもりがないです。しかし世の中には、そうすべきだと声高に唱える大人がとても多い気がします。

「昔と違って、最近の子は夢を語ることがなくなった」

「20歳を過ぎても、自分のやりたいことが見つからないなんて」

このように、ぼやく大人たちがたくさんいます。しかし、そんなことを口にする本人たちは十代のころから明確にやりたいことがあったのでしょうか。人生に目標があり、その目標から逆算してその年齢まで生きてきたのでしょうか。偶発的なキッカケ、ご縁を大切にして一所懸命生きてきたら、今の自分になっていた、という人が大半ではないかと私は考えます。(実際に、年間5000人以上の経営者や管理者とお会いしますが、「まさか私が印刷会社の社長になるとは」「よりよって私が保険代理店を経営しているとは、夢にも思わなかった」という風に語る人が大半です)

これは2つのキャリア理論を使って解説することができます。キャリアプランには「キャリアアンカー論」「プランドハプンスタンス論」があります。

確固とした自分のキャリアゴールを見据えたうえで自己研鑽を繰り返し、働く環境を自らの意志で選択するのが「キャリアアンカー型」。いっぽう身を置いた場所で努力し、仕事をしていくなかで自分のキャリアが肯定的に発展していくというスタイルをとるのが「プランドハプンスタンス型」です。

ただ勘違いしないでいただきたいのは、たんぽぽの綿毛のように、風の流れに身を任せるふわふわしたキャリア論が「プランドハプンスタンス型」ではない、ということです。計画された偶然性理論とも呼ばれているように、偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを肯定的に発展させる理論が「プランドハプンスタンス型」なのです。

「順算思考」は将棋の対局で考える

過去と異なり、時代の変化が激しい現代においては、計画されたキャリアに固執し過ぎることが、かえって自分の人生を不幸にするパターンもあることでしょう。自分が理想とするキャリアと異なるからといって、素晴らしい出会いがあっても、予期せぬ家庭環境の変化(親が病気になった、子どもに障がいがあった……等)があっても、そこに目を向けない、というわけにはいきません。

激しく環境が変化する現代において、何十年も続く自分の人生を「逆算思考」で生きていくのは少し苦しいと言えます。ですからその反対の「順算思考」で考えるのです。将棋をしているときを思い浮かべてみましょう。相手の打ち手が予想される場合と、予想されない場合があると思います。自分の得意な形で対局を進めたいと思っても、そうはいきません。そのときそのときの状況で判断し、自分の打ち手を考えていく。これが「順算思考」です。決して「なりゆき任せ」ではありません。

将棋でいえば、「勝利」をめざす。人生でいえば、自分や周りの人の「幸福」をめざすのです。どんなキャリアを積もうが、最終的に自分の人生が幸せな色に染まっているのであれば、それでよいと言えるでしょう。自分のやりたいことが見つからない。本当に自分がめざしているゴールがわからない、と嘆く必要はなく、「逆算思考」ではなく「順算思考」で生きていくのもおススメです。