10月に入りました。10月5日時点の住民票情報をもとに、マイナンバーの「通知カード」が個人宅に届きはじめます。その規模は全国5600万世帯。2020年の東京オリンピックよりも身近で、シリアスな国民的関心事といっても過言ではないでしょう。セキュリティ問題など、マイナンバーに関しては不安を煽るような記事が散見されます。しかしビジネス分野においては、2兆円、3兆円、いや、もっとそれ以上かも!と言えるぐらいの機会をもたらす歴史的事変です。

さて、今回はマイナンバーによって広がるビジネスチャンスについて、営業マーケティングコンサルタントの視点から考えてみたいと思います。チャンスは「点」で捉えていると、広がりがありません。ここにビジネスセンスの有無が問われるのだと私は考えています。

ビジネスセンスのない人は、普通の人が見ているものしか見えません。たとえば、

「マイナンバー制度対応によって生まれるビジネスチャンスとは?」

と”直接的”な事象しか焦点を合わせられないのです。代表的なものは、企業が、従業員他からマイナンバーを正確に、安全に取得するサービス。アクセス制御や暗号化技術を用いてマイナンバーを安全に管理するサービス。税・社会保障関係の書類記載等を処理するサービスなどが挙げられます。

民間企業は、一人でも従業員がいれば、マイナンバーの取得、保管、手続き、廃棄までを義務付けられます。421万社あると言われる日本の企業。これらほぼすべてに課せられる措置ですから、ビジネスチャンスの大きさも容易に想像できるものと思います。マイナンバー一連の業務を自社内で取り組むためのソリューション、もしくはそれらを代行するソリューションは、マイナンバー制度対応のビジネスとして脚光を浴びています。

さらに政府はマイナンバーを普及させるため、「安全・安心を前提としたマイナンバー制度の活用」を強力に促進させていきます。将来的に利活用が期待される医療や金融の分野など、利用拡大後に現れるビジネスチャンスのために、今からIT企業などは準備をスタートさせておく必要があります。

ただ、ここまでは、マイナンバー制度対応における”直接的”に創出されるビジネスチャンスです。しかし私は営業マーケティングコンサルタントですから、もっと”間接的”にも、もたらされるチャンスに目を向けます。

いわゆる「便乗」です。

幸か不幸か、マイナンバー制度の理解は進んでいません。「日本版SOX法」における内部統制が企業に義務付けられた2008年ごろと似ています。当時はこれに便乗したプロモーション活動がIT企業を中心に巻き起こりました。「J-SOX」「内部統制」というタイトルを冠すれば、セミナーやサービス説明会は常に満員大入り。実際に足を運んでみると、単なる自社サービスやソリューションに「内部統制」の色付けをしただけの講義を聴かされることもあり、当時は「なんでもあり」の様相でした。

まさに現時点における「マイナンバー祭り」も同様です。マイナンバーという、わかりそうでわからないテーマで、将来の見込み客を呼び寄せるセミナーやイベントを開催したり、営業やプロモーション活動をすることは、低俗な「便乗商法」ではなく、マーケティングの世界では常套手段。やらない”手”はない、と言える営業戦略です。

「当社はマイナンバー制度に直接対応できるサービスを揃えていないので、関係がない」

と言う人はビジネスセンスが欠けている、と言えるでしょう。これだけの国民的関心事ですから、「どうすれば、このビッグな恩恵を得られるだろうか」と頭をひねらせなければなりません。

さらに、あります。

私なら、直接的にも、間接的にも、マイナンバーで潤うであろう企業を調べ上げ、そこにフォーカスして営業やプロモーション活動を仕掛けます。前述したIT企業などは格好のターゲットです。

「御社はマイナンバー特需で利益を上げているでしょう? この機会に人を採用しませんか? オフィスを拡張・移転しませんか? 社員教育を充実させませんか? サーバーを増強しませんか? 働きやすい職場環境を手に入れるために、このようなオフィス家具はいかがですか?」

いくらでも知恵が湧いてきます。

ひとつのビジネス機会があったとき、その機会を「点」で捉える人には大きなチャンスは訪れません。その「点」の周りにも、別の色の「点」があり、それらの「点」が集まってカラフルな「面」が形成されていることに気付くかどうか? 額面通りに物事を受け止めるだけの人に、ビジネスセンスはないのです。

マイナンバーに限らず、社会にもたらす新たな変化を「無限のチャンスを広げるキッカケだ」と捉えたいですね。そのためには、常日ごろから環境変化に目を向け、感度を高めておく必要があります。