「社会人になる前」に、できればやっておいたほうがよいこと
社会人としてストレスなく結果を出したい。組織の中でうまく立ち回りたい。安定した収入にありつきたい。……などと考える方に、「社会人になる前」に、できればやっておいたほうがいい、私個人のアイデアを書きます。それは「空間的な移動」です。しかも、スケールの大きな「空間的な移動」であればなお良いと私は考えています。
つまり「旅」です。旅に出る、旅をする、ということ。パッケージ化された旅行よりも、多少のハプニングも想定の範囲内と思えるぐらいに、自由で奔放な旅をするのがよいと思います。
将来「できる人」「結果を出せる人」になるためには、「考える脳」を手に入れることが重要です。脳のワーキングメモリ(短期記憶)のスコアをアップさせる取り組みが不可欠です。その取り組みについて解説していきます。
人間の脳内は、ニューロンとシナプスなどの神経細胞が互いにつながるようネットワークを張り巡らせています。
外部からの刺激を受ければそのネットワークを通して電気信号が伝播します。刺激の強さ(インパクト)、回数によって、電気信号が通りやすくなり、ネットワークは広がっていきます。新しい体験(刺激)を繰り返すと、電気信号の交通量が増大し、神経細胞同士をつなぐネットワークがより広がる。つまり脳が活性化していきます。
逆にマンネリの行動ばかりしている人は同じ神経細胞しか働かず、たまに新しい行動をさせられそうなると激しくストレスを感じます。日ごろから新しい体験(刺激)をすることがないため、普段使っていないネットワークに電気信号が通りにくくなっているからです。
脳の活性化について話をするとき、私は街の発展と地図を引き合いに出します。まず、脳の中に雑草が生えていると考えてみましょう。道はあっても舗装されておらず、しかも雑草が生い茂っている。歩くにせよ、車で通るにせよ、苦労する。地図を作ろうにも状況がよく分からない。脳の中に、こういった情景が広がっていることをイメージするのです。
そしてその、無秩序に広がる大草原を「旅」します。最初はかなりストレスがかかるはずです。しかし、雑草があっても、何度も足で踏みしだいていれば、そこに「獣道(けものみち)」ができていきます。その上に石を並べていけばさらに歩きやすくなり、車も通れる道となって街は拓けていくはずです。そうすれば地図がはっきりしてきます。
脳の中に新しい「街」を作るイメージで、新たな体験を積み重ねようとすることが大切です。
過去、実施したこともないことをあえて体験する。そのことでストレスはかかります。しかし、その刺激が脳内に新しい道(ネットワーク)を作りあげます。そのネットワークが増えることで、脳の柔軟力、抵抗力、復元力がアップするのです。
特に、その体験に「空間的な移動」が伴うと、さらに健全な刺激となって脳に届きます。新たなチャレンジは社会人になってからでもできますが、「旅」はなかなかできない。1週間や1ヶ月といった、大きな単位で時間を確保することが難しいからです。
自分の道をどれぐらい、脳の中に作り上げるか。街を拓くように、地図を作るように、少々面倒だと思うことも実行する。最初はストレスがかかるでしょうが、それを怠っていたら、脳の中は雑草だらけのままです。脳は活性化せず、クリエイティブな人生を送ることはできません。ですから、社会人になる前に、私は「旅」をすることをお勧めします。