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「新入社員」の早期退職を防ぐ方法

横山信弘経営コラムニスト
新入社員の残念な離職を防ぎたい(写真:アフロ)

新入社員が定着しない外部要因

入社した社員が1年も経たずに辞めてしまうケースが後を絶ちません。日本企業は現在、恒常的に人手不足です。求職者は「売り手市場」ですから、入社した会社に不満があれば「辞めるなら早いほうがいい」と判断して、もっと好条件の企業に転職する、という選択がしやすい状況となっています。

本日は企業側に立って、どうすれば「新入社員」の早期退職を防ぐことができるかを考えてみます。「新入社員」の早期退職を防ぐ、その方法とは、正しい「教育」です。企業側が新入社員に正しい教育を実施し、続けることで早期退職者を減らすことができると私は考えます。(そもそも今の時代、社員教育をする姿勢がない会社に、良い人材が集まることもないですし、人材が定着することもありません)

要は教育の中身です。社会人としての常識、社会人としての礼儀作法・マナーといった基礎教育以外にも、相応の教育が今の新入社員には必要である、ということです。では、どんな教育が必要かを語る前に、そもそも「意思決定」のプロセスについて脳科学的に解説したいと思います。

写真:アフロ
写真:アフロ

新入社員に何を教育するのか?

人が何らかの意思決定をする場合、必ず「考える」というプロセスを経ます。もう少し噛み砕いて解説すると、「考える」とは「脳がデータ処理をする」という表現に変換できます。つまり正しく「考え」て「意思決定」するためには、脳の処理能力と処理データの精度に左右されると言えるのです。

ここで注目すべきは、「処理データの精度」です。社会に出たばかりの新入社員に、正しい意思決定をするための精度の高いデータや知識が脳の長期記憶の中に存在するか? ということを考えてみましょう。

よく「新入社員」と「企業」との思惑のアンマッチが取り沙汰されます。仕事の内容や待遇、条件、キャリアパス、職場の環境……。新入社員が入社前に思い描いていたイメージと著しく異なる場合、現実を目の当たりにしてガッカリすることでしょう。「採用面接で人事の人に言われたことと全然違う」と、愚痴のひとつもこぼしたくなります。

不平・不満を先輩社員に言っても「会社なんてそんなもんだ」「3年はガマンして修行しろ」等とテキトーに言い返されたら不満はさらに増大します。「やりたいと思っていた仕事と違う」「意見を言っても軽くあしらわれてしまう」という思いが募れば、自分の選択が間違っていたのかと「考える」こともあるでしょう。

新入社員には、正しい意思決定する判断材料が決定的に少ないことを知るべき

紛れもない事実は、社会人としての常識、その会社における業務内容、どうすれば自分のやりたい仕事を任されるかの手順……といった一連の「データ」「知識」は、まだ経験のない新入社員の脳の長期記憶には存在しない、ということです。その会社ですでに働いている上司や先輩社員の脳の長期記憶に、暗黙知としてそれらのデータや知識はあるのです。ただ、それを正しく言語化できないケースが多く、新入社員にうまく説明できないという現実が「問題」として表面化しています。

また、人間は「節目」の時期はストレス耐性が高いということも覚えておきましょう。入社当時、多くの新入社員は「ゼロからのスタートだ」「はやく仕事に慣れたい」「一人前になって認められたい」という希望を持っています。ですから「初めが肝心」です。

前述した一連の「データ」を、入社してすぐに新入社員の脳に正しくインストールするのです。社会人としての常識や、会社の業務内容、そしてキャリアパスに関するデータです。それをせずに「ボチボチ慣れればいいから」「とりあえず先輩社員のやり方を見てて」とテキトーに言うのはやめましょう。何も教えずに、

「わからないことがあったら、いつでも言ってね」

と言ってしまうのが一番マズイ。新入社員は「わからない」ことがわかりません。しばらくは張り付いて教えるぐらいの体制でケアするのが理想ですが、それができる先輩社員のスキルも時間もないのが現実。ですから集合研修などが最も現実的な解決策と言えます。

また、前述した「精度の高いデータ」がインストールされても、「脳の処理能力」が低い新入社員がいたら、データが正しくても理解されません。脳の処理能力をアップさせるためには、筋トレと同じ。ストレスのかかる負荷をかけていくことで脳の処理能力はアップします。

写真:アフロ
写真:アフロ

『やるべきこと』『やれること』『やりたいこと』

よく言われることですが、職場には『やるべきこと』『やれること』『やりたいこと』の3つがあります。まずは『やるべきこと』をやる。それを続けることで、自分の『やれること』が増えてくる。そうしてはじめて『やりたいこと』が見つかる、という話です。

会社から与えられたミッションをひたすらこなし、ノルマを達成させることで自分のポテンシャルが広がっていきます。ストレス耐性が上がり、脳の処理能力もアップします。何かを実現させる道程においていろいろな人との出会いがあり、仕事のノウハウや社会の仕組みを吸収していくことで、精度の高いデータが脳に蓄積し、自分のやりたいことが徐々に見つかっていく――。これが正しいプロセスです。この手順を忘れてはなりません。

このような一連の手順・データを、入社当時の研修などで新入社員の脳にインストールすること。つまり教育することが大切です。一度や二度では忘れてしまいますから、幾度も教育することで、正しい意思決定ができていきます。社内で研修するのもよいですが、講師のスキルが低いと問題がありますし、「会社側の都合のよい価値観や思想を押し付けようとしている」と警戒する新入社員も昨今は増えています。ブラック企業の手口がそうだからです。したがって、多少コストがかかっても、実績のある研修会社の講師に依頼することが一番安全で無難であると私は思います。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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