「この人は本気なのか?」を簡単に調べる方法
本気で仕事に打ち込んでいるのか、真剣に自分のやりたい道に突き進んでいるのかは、その人の行動を見ていればすぐにわかります。
「真剣です。私は真剣にやろうと思っています!」
「今度こそ結果を出します。本気なんです!」
……などと、大きな声で言われると本気なのか、というとそうとは限りません。語気を強めて話しても本気でない人はすぐにわかります。その人の「本気さ」「真剣さ」を簡単に調べる方法を紹介しましょう。
「問題解決のためにアクセスする先」を調べればわかります。
何かを本気で取り組んでいたら、様々な問題に直面するはずです。その問題解決のために、人は必ず「考える」はずです。頭を働かせるわけです。
人間の脳が処理するデータの格納場所は3種類あります。「短期記憶」「長期記憶」「外部記憶」の3つです。「短期記憶」とは「ワーキングメモリ」のこと。情報を処理するために常に格納しておく作業記憶装置です。「長期記憶」は、長い歳月をかけて蓄積してきた知識の脳の図書館のようなものです。「外部記憶」とは、人間の脳の外にある記憶装置。資料やシステムのデータベース上に存在します。
何か問題に直面したとき、普通なら「えーっと……」と考え、自分の脳の長期記憶にアクセスするはずです。ところが考えても答えが出てこないケースが多々あります。自分の過去の体験やこれまでの知識だけで解決できないようなことだからこそ「本気でやらなければ」と思っているのですから当然でしょう。ということは、本気であれば本気であるほど、「精度の高い答え」が見つかりそうなデータの格納場所へアクセスするはずです。この行為が本気度の現れです。
「本気でやります!」と大きな声で言っておきながら、誰にも相談せずに「自分なりにやっている」「自分のできる範囲で頑張ってる」というのであれば、まず本気であるはずがありません。また、わからないことがあったときに質問しやすい人、身近な人に尋ねる、ネットでてっとり早く検索する、という行為もNGです。本気さが感じられません。これは「利用可能性ヒューリスティック」と呼ばれる心理バイアスです。
たとえば残業を減らしたい、業務効率化したい、という問題を本気で解消したいと思ったとき、仲の良い同僚や、他の職場にいる同窓生に「どうやったら残業は減るんだろう?」「どうすれば仕事が効率化するんだろうね?」などと質問し、解決策を求めるでしょうか。「子どもが宿題をやらない」……この問題解決策を「ママ友」に求めたり、「ダイエットがうまくできない」……この相談を「友人」にしたり。こういった行為も同じです。前述した「利用可能性ヒューリスティック」です。
本気で問題を解決するのであれば「正しい答え」を持ってそうな人に相談するはずなのです。たとえお金がかかっても、労力がかかっても、その道のプロに尋ねるのです。そのテーマを研究している人の本を読む、セミナーを受講する、でも良いと思います。
自分の家が火事で燃えているとき、近所の人に「どうすればいいんだろうね」と呑気に相談する人はいません。その道のプロといえば「消防士」。すぐさま消防署に連絡し、「何とかしてほしい」と嘆願することでしょう。「費用」や「労力」「照れ」「しがらみ」「面倒」……といった思考ノイズなど一切、頭に思い浮かぶことなどないのです。
「この人が本気なのか?」を知るためには、その人が「問題解決のためにアクセスする先」を調べればわかります。
したがって、
「どうしてわからないことがあったら、私に相談してこないんだ。君は本気で結果を出そうとしているのか?」
「私は本気でやってますよ! ただ……課長はいつもお忙しそうだから、声を掛けづらいんです」
……などと言う部下がいれば、確実に「本気ではない」ということです。