何の取り柄もない「ダメ人間」が成功する絶対法則
よく「成功した人」の書籍の売り文句に、
「何の取り柄もない私が、たった1年で年収1億円に……!」
「学歴も資格もコネもない私が、50倍の年収になった裏話」
「何ひとつ取り柄がなかった私が、月に300万円稼げるようになるまで」
と書いてあるのを目にします。どん底を味わった人だからこそハングリー精神があり、誰もが羨むような成功を手にできた、ということかもしれません。ただ、そういう人だからこそ成功した、そういう人でないと成功しない、と勘違いしてはいけません。何の取り柄もない人が成功者へのし上がったから「話題性」があるだけです。はじめから成功するための条件、環境が完備された人が成功しても、まったく「ニュース」にならないからメディアに取り上げられないだけです。
「学歴がすべて! 中学、高校、大学、すべて有名校を卒業すればあなたも年収1億円!」
「生まれたときから優等生! 一度も挫折を味わったことがない私の成功物語」
「親が私にかけた学費、留学費はトータル7000万円! 起業して成功する3つのコツ」
……と、このような売り文句の書籍が売れるはずはありません。誰も読みたいとは思わないでしょう。しかし現実は、残念ながら、何らかの「取り柄」が多くあったほうが成功する確率は高くなるのです。勉強ができて、聡明で、羽生結弦さんのように笑顔が素敵で、浅田真央さんのように努力家で、ダルビッシュ投手のように体が大きく、弁護士や税理士などのライセンスホルダー……。親は教育熱心。そのための経済的余力もあり、政界、芸能界、有名経営者などの人脈も広い……。高校を卒業してから一度挫折を味わった、最初に入った会社で自分の限界を知った……というちょっとした遠回りはあっても、成功する人は、前提として、このような素質や才能、能力があり、環境にも恵まれているものです。
才能もなく、素質もなく、後押ししてくれる人など周囲に皆無で、「何の取り柄もない人」が成功するには2パターンしかありません。いろいろな「取り柄がある人」と比較して、
● とんでもない発想力がある
● とんでもない行動量をしている
の、どちらかです。そしてもちろん話題性が高いのは前者。「とんでもないアイデア」「異常なひらめき」を持っている人です。スティーブジョブズもびっくりするほどの創造主であること。ニュースになるし、メディアにも登場します。そしてもちろんのこと、一般の人は真似できません。「再現性」など皆無です。
新しいビジネスを創造し、成功した人の思考法、仕事術、考え方は世にたくさん出回っています。しかし多くの場合、とても真似できるものではありません。後付けで解説はできるでしょうが、それを知ったからといって異常なアイデアを出せるようにはなりません。だいたい、異常なアイデアを考え出す人は、周囲とうまくやれないことが多く、「昔はダメ人間でした……」と後になって告白する事情は、わかります。発想そのものが異端なので、周りとペースを合わせた行動をするのがツラいのです。
というか……、この「アイデア力」「発想力」は、その人にとってとんでもないほど強力な「取り柄」であり、
「何の取り柄もない私が……」
と言うこと自体、おかしいのかもしれません。
したがって、本当に取り柄がない人は、後者を選択するしかないでしょう。「取り柄がある人」に比べて、半分ぐらいしか能力がない、素質がない、それでも成功を勝ち取りたい、と思ったら、2倍努力すればいいのです。2倍の行動を起こせばいい。「取り柄がある人」に比べて4分の1ぐらいしか能力がないと思ったら、4倍の努力、4倍の行動量、4倍の行動スピードで実践していけばいいのです。それだけです。行動量や行動スピードは、能力や才能に左右されないからです。
実際に、世の中の成功者のほとんどが、とんでもないほどの量とスピードで行動をしています。創意工夫を重ねています。誰もができるようなこと、取り立ててニュースにもならないような小さな努力を膨大に実践しているのです。それをテーブルの下に隠しておいて、別の切り口のテクニックを大衆に披露しているのです。そのマジックに惑わされてはいけません。
「何の取り柄もない」と嘆くなら、「取り柄がある」と思われる人よりも数倍の努力をすればいいだけです。反対に、「取り柄がある」と思っている人のほうが、その「取り柄」に依存してしまい、うまくいかなくなるケースが多いのです。企業も、やたら商品力がある、歴史やブランド力があると、その「取り柄」に頼ってしまい、行動をしなくなります。謙虚でなくなり、変化を嫌うようになります。
「私には何一つ取り柄がない」
「わが社には、何も取り柄がない」
などと嘆くことはありません。そういう場合は、割り切って行動しましょう。嘆くエネルギーを前進するパワーに変えるのです。
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