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「言い訳フレーズ」を逆転させると、かえって可能性が広がる逆算思考

横山信弘経営コラムニスト
物事を裏側から見ることで新たな発見がある

「言い訳」と「認知的不協和」

私は現場に入ってコンサルティングをする身です。何らかの目標を達成してもらうために現場の人たちに行動指標を宣言してもらい、ロックをかけてやり切ってもらうことがまず私の最初の仕事です。そのせいで、自分自身が宣言したことをなかなかやり切ることができず、「言い訳」ばかりをする人と毎日のように顔を合わせます。おかげさまで、あらゆる種類の「言い訳フレーズ」と向き合う機会をいただくこととなりました。

今日は、「言い訳フレーズ」を逆転させることで、かえって可能性が広がることがあるという話を書きたいと思います。

当事者はともかく、誰かの発言を他人が耳にして「言い訳」だと感じてしまうのは、「認知的不協和」を起こしていると感じるからです。当事者が言っていることそれぞれに矛盾を覚えるということです。

たとえば「時間がないから、できない」という発言を聞いて「本当にそうなのだろうか?」「それって言い訳じゃないの?」と思ってしまうときがあります。それは、どういうときでしょうか? 例を書き出して分析してみましょう。

● Xさんは「作業A」を1週間後までに終えると宣言する

● Xさんは「作業A」にかかる時間が30分だと認識している

● しかしXさんは1週間経過しても「作業A」を終えられていない

● 1週間の業務を棚卸すると「作業A」よりも重要度の低い作業のほうが多いという事実をXさん自身が認識している

● Xさんが「作業A」を1週間でできなかった理由は「時間がなかったから」だと認識している

このように、Xさん自身が認識していることそれぞれが矛盾しているので「認知的不協和」を起こしていると他者は受け止めます。ですからXさんが言っている「できない理由」は「言い訳」ではないか、となるのです。

前提条件が間違っている言い訳

「A」だから「B」ができない。という言い訳フレーズがあったとすると、「A」と「B」を逆転させることで実現可能になることが多いことに気付きます。

たとえば、

◆部下がなかなか仕事を覚えないから、仕事を任せられない。

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◆仕事を任せるから、部下は仕事を覚える。

◆役に立つ本がないから、本を読まない。

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◆本を読むから、役に立つ本との出会いがある。

◆疲れているから、運動できない。

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◆運動をするから、疲れない体が手に入る。

◆やりたいことが見つからないから、行動できない。

↓ ↓ ↓ ↓

◆行動するから、やりたいことが見つかる。

◆感謝の気持ちがないのに、「ありがとう」は言えない。

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◆「ありがとう」と言うから、感謝の気持ちが芽生えてくる。

「A」だから「B」ができない、という言い訳に共通するのは、「現時点でリソースがないから、実践できない」ということです。つまり、何をするにしても、何らかの前提条件が必要だと思い込んでいることが問題なのでしょう。

したがって、「A」だから「B」ができない、という発想を逆転させ、「B」するから「A」が得られる、と考えるのです。何かを実践することで新たなリソースを入手できるという逆算思考です。皆さんの日常生活の中にも、同じような気付きはありますか。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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