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外出自粛のGWなら働きたい… 去年"あとで振替休日"実施した会社、今年は?

やつづかえりフリーライター(テーマ:働き方、経営、企業のIT活用など)
(写真:アフロ)

今年のゴールデンウィークは、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県で緊急事態宣言、宮城など7県でまん延防止等重点措置が実施されており、連休を活用して楽しむことが難しい状況です。

「どうせどこにも出かけられないなら、溜まった仕事を片付けてしまいたい」という方も多いのではないでしょうか。

・昨年は「ゴールデンウィークに勤務し、後で振替休日」を可能にした企業も

全国を対象に緊急事態宣言が出ていた昨年は、そんな社員の声に応えて「ゴールデンウィークに働き、後で休める制度」を作った会社がありました。

詳しくは昨年の記事 「せっかくのGWに遊びに行けないなんて……」という社員の声に応えた企業の制度 でレポートしていますが、具体的な対応には以下の2つのパターンがありました。

(1)ゴールデンウィーク中の祝日に勤務可。勤務した場合、後で振替休日を取る。

(2)ゴールデンウィーク中の祝日を営業日に変更。その分の休日を後日に設定。

(1)のパターンを実施したランサーズ株式会社によると、ゴールデンウィークに勤務することを選んだ社員は全体の15%、その人たちの勤務日数の平均は約2日だったそう。「することがないので仕事ができるのはちょうどいい」といった声が挙がっていました。

・収束のメドが立たない中、今年は?

写真:beauty_box/イメージマート

さて、今年はどうでしょうか。昨年の記事で取り上げた各社にゴールデンウィークの予定について聞いてみました。すると、ランサーズは昨年と同様の対応をとり、それ以外の各社は「今年はカレンダー通り、祝日は休む」という回答でした(一部回答のなかった会社もありますが、ゴールデンウィークに合わせて特別な勤務体系をとるという発表は出ていませんでした)。

昨年のゴールデンウィーク直前の時期を思い出してみると、緊急事態宣言の効果が期待されていました。「ここを乗り切れば、夏休み頃には心置きなく遊べるだろう」という希望を感じている人が多かったのではないでしょうか。

しかし実際には、7月から感染拡大の第2波、11月から第3波が始まり、現在は第4波と、とても休日を楽しむという状況ではありません。

昨年ゴールデンウィークの振替制度を実施したREADYFORでは、社員が振替休日を取るタイミングを逸してしまうことを懸念し、しっかり休息をとってほしい、という考えのもと、今年はカレンダー通りと決めたとのことです。

ABEJAも、この状況で振り替えを可能にしても、社員の長時間労働につながることが想定されるため今年は実施しない、ということでした。

他の会社も概ね同様の理由で、ゴールデンウィークの振替制度は実施しないようです。

・臨機応変な対応を取れる姿勢が重要

昨年いくつかの会社が実施したゴールデンウィークの振替制度は、結果としては有効に活用しにくいものだったようです。

それは、新型コロナウイルスの流行は徐々に収まっていくだろうという想定が外れたからであって、各社の施策そのものが愚策だったというわけではありません。

むしろ、昨年このような対応が取られたことは、社員にとっては「会社が自分たちに寄り添ってくれている」と感じられ、安心材料になったことと思います。

重要なのは、その時々の状況に応じてベストな働き方や待遇を考え、柔軟に対応していくことです。それができるかどうかが、仕事の生産性にも社員のモチベーションにも影響し、この難しい状況を乗り越えられるかどうかを左右するでしょう。

個人的には、まだまだ状況が読めない今は、会社側が一律に「休む/休まない」を決めるよりは、個々人が必要なときに気兼ねなく休める施策を増やしていくのが良いと考えます。

まずは、有給休暇を取りやすい雰囲気づくりや仕事の回し方の整備をすることが基本です。それに加えて、本人や近親者が感染してしまったときのコロナ休暇や、ワクチン接種のためのワクチン休暇などの制度も有効でしょう。

フリーライター(テーマ:働き方、経営、企業のIT活用など)

コクヨ、ベネッセコーポレーションで11年間勤務後、独立(屋号:みらいfactory)。2013年より、組織人の新しい働き方、暮らし方を紹介するウェブマガジン『My Desk and Team』(http://mydeskteam.com/ )を運営中。女性の働き方提案メディア『くらしと仕事』(http://kurashigoto.me/ )初代編集長(〜2018年3月)。『平成27年版情報通信白書』や各種Webメディアにて「これからの働き方」、組織、経営などをテーマとした記事を執筆中。著書『本気で社員を幸せにする会社 「あたらしい働き方」12のお手本』(日本実業出版社)

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