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ポイ活も「タイパ」重視になる? 経済再開が本格化

山口健太ITジャーナリスト
超PayPay祭(PayPayのWebサイトより、筆者撮影)

ポイントを貯め、活用する「ポイ活」の盛り上がりが続いてきたものの、経済再開の本格化によって忙しい生活が戻りつつあります。

その中で、時間効率を求める「タイパ」に重きを置く人が増えるかもしれません。

日本人を動かすポイント還元

コロナ禍では在宅生活により時間に余裕が生まれ、ポイ活に取り組む人が増加。2023年に始めたいこととして、幅広い年齢層でポイ活が1位になった調査もありました。

将来への不安や足元の物価上昇を背景に、まずは目先のポイント還元を得ることで、少しでも「おトク」や「節約」を求める人が増えている印象です。

日本人に行動を起こさせるにはポイントが有効である、というのは定説になりつつあります。PayPayマイナンバーカードはこれを大規模に展開することで、短期間で劇的に普及させることに成功しています。

逆に、ポイント「改悪」は消費者の機嫌を損ねることになりそうです。直近の「超PayPay祭」ではポイント還元率を下げた結果、Yahoo!ショッピングなどの1-3月期の取扱高は昨年比で13.3%のマイナスとなりました。

ポイ活は「投資」の入り口としても機能しています。PayPayのポイントが増減する「ポイント運用」の利用者は900万人を突破。金融商品の買い付け時にポイントを使える「ポイント投資」も人気を博しています。

投信積立においてもポイントを決め手に証券会社を選ぶ人は増えており、楽天カードによるポイント還元で先行した楽天証券は、つみたてNISAで業界最多となる300万口座を達成したといいます。

2024年からの新しいNISAを見据えて、ポイ活で浮いたお金を少しずつ投資に回していくというのが、現代における「賢い」立ち回りの1つといえそうです。

「タイパ」志向は強まるか

その一方で、気がかりなのは時間との兼ね合いです。ポイ活が趣味ならともかく、おトクさを求めるのであれば、かけた労力に見合っていることが求められます。

5月8日の新型コロナ「5類移行」など経済再開が本格化することで、多忙な生活に戻る人が増加。時間効率を求める「タイパ(タイムパフォーマンス)」志向が進む可能性があります。

買い物の際には、還元率を意識して支払い手段を使い分ける人は少なくないとされる一方、それは手間がかかりすぎるとの声もあります。一時期は、日本経済新聞が報じた「ペイ疲れ」という言葉も話題になりました。

メルカリが実施したZ世代に関する調査では、「想定外」を嫌い、効率よく情報を把握したいタイパ志向が明らかになっています。これまで以上に「分かりやすさ」を求める傾向も感じられます。

その点、条件なしの2%還元を提供する「りそなデビットカード」では、支払い手段を選ぶ手間を省けることをメリットの1つに挙げていました。今後もタイパに優れた商品が増えていくか、注目しています。

「還元なし」でもキャッシュレスには魅力

キャッシュレスにポイント還元を期待する声は根強くある一方で、必要以上にポイントにこだわらず、タイパを重視する考え方もあります。

「現金を使う機会を減らせる」という点では、財布の整理やATMに並ぶのにかける時間を節約し、家計簿をつける手間を軽減できます。たとえポイント還元がなかったとしても、十分におトクといえるわけです。

キャンペーンやルールがコロコロ変わるのも問題です。なるべく分かりやすく紹介することを筆者の記事では心がけているものの、そうした情報を追いかけるだけでも一苦労というのも分かります。

メインで使う経済圏を絞り込むとか、細かなポイントはあきらめるなど、ポイントにかける労力を減らすところから始めてみるのも、1つの選択肢でしょう。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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