7月2日未明から続くKDDIの通信障害は、「復旧作業終了」が発表された後も、ユーザーからは「まだ復旧していない」との声が挙がるなど混乱が生じています。何が起きていたのか、KDDIの発表を時系列で振り返りながら整理します。

「復旧作業終了=復旧ではない」で混乱

KDDIは、台風が近づく西日本を優先して障害対策を進め、7月3日12時に「西日本エリアは11:00ごろに復旧作業終了」、同日18時には「東日本エリアは17:30ごろに復旧作業終了」と発表しました。

ただし、同じページには「流量制御などの対処を講じているため、ご利用しづらい状況が継続しております」とも書かれており、よく読まないと誤解する恐れがあったといえます。

大手メディアの中には「復旧作業終了」を見出しに入れ、大きく報じたところがありました。この見出しだけを見て「復旧した」と理解した人が多かったのか、混乱が生じました。

その夜、7月3日22時30分の発表では、それまでの「復旧作業終了」から、「復旧に向けた作業は終了」に表現を変えています。

KDDIによれば両者の意味は同じとのことですが、「完全に復旧したと受け止められる可能性があったことから、表現を見直した」と説明しています。

表現は少し変わったとはいえ、この文言を見ても「まだ復旧はしていない」ことを正確に読み取れる人は少ないのではないでしょうか。

Twitterでは「#au復旧してない」のハッシュタグがトレンド入りするなど、不満の声が高まっていました。

7月4日午前7時の発表では、復旧作業についての説明が削除されています。KDDIによれば、この時点で復旧作業に変化があったわけではなく、「なるべく分かりやすく伝える表現を検討した結果、文言を削除した」と説明しています。

この時点で、データ通信は「概ね回復」、音声通話は「利用しづらい状態」との表現でしたが、7月4日16時の発表では、「音声通話・データ通信含め全国的にほぼ回復しています」に変わっています。

KDDIによれば「概ね」の数値的な表現はないとのことですが、その後は「ほぼ」に変わっており、日本語から受ける印象としては状況がさらに改善したことがうかがえます。

なお、7月4日17時現在も「ネットワーク試験の検証を行っており、本格再開時間は別途、ご案内いたします」との記述は残っています。

追記:

7月4日20時の記者会見で、全面復旧の判断は「5日の夕刻」をめどにしているとの発表がありました。

ユーザーが期待する「復旧作業終了」は「復旧」と同じ

2021年10月に発生したドコモの大規模障害では、ドコモ側が対策を終えた段階で「復旧」と言ってしまい、メディアがそれを報じたことで、ユーザーからは「まだつながらない」と大きな反発がありました。

この教訓を活かしたのか、KDDIの情報発信はかなり慎重で、ユーザーの反応を見ながら表現を変えていくなど、柔軟な対応ができていた印象はあります。

KDDIに「復旧」の意味を確認したところ、「通常時と変わらない通信品質に戻るという意味」との回答でした。この点については一般的な理解と齟齬はなさそうです。

ただ、「復旧作業終了」という表現からは、事業者目線が感じられます。総務省の意向で進捗を示す必要があった可能性はあるものの、技術的な背景を知らないと正しい理解は困難です。

一般のユーザーが期待する「復旧作業終了」とは、通常時と同じ品質で使える「復旧」と同じものと筆者は考えます。両者は違うという説明は、言葉遊びのように感じる人が多いのではないでしょうか。

誰もがスマホを持つ時代だからこそ、ユーザー目線に合わせた情報発信が求められるところですが、今回も反省点を残す結果になったといえそうです。