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楽天キャッシュで投信積立 「改悪」続きの楽天が「月10万円」で反撃へ

山口健太ITジャーナリスト
投信積立が「楽天キャッシュ」決済に対応(Webサイトより、筆者撮影)

6月19日、楽天証券において電子マネー「楽天キャッシュ」を利用した投信積立が始まり、話題になっています。ポイント還元を受けられる積み立て枠は、これまでの2倍となる月10万円に拡大します。利用にあたってどのような点に注意すべきなのか解説します。

投信積立「月10万円」に拡大

2022年2月、楽天証券は投信積立におけるポイント還元率を一部引き下げることを発表。楽天経済圏で相次ぐ「改悪」の1つとして話題になりました。

最近では他の証券会社もクレジットカード投信積立に参入し、ポイント還元率を高めに設定するなど、楽天証券ユーザーの取り込みを図っています。

これに対して楽天証券で始まったのが、投信積立に「楽天キャッシュ」を使えるサービスです。楽天キャッシュに楽天カードからチャージすると0.5%のポイントが還元されます。

投信積立で「楽天キャッシュ」を選択可能に(Webサイトより、筆者作成)
投信積立で「楽天キャッシュ」を選択可能に(Webサイトより、筆者作成)

これにより、ポイント還元を受けながら積み立てできる枠は、従来の楽天カードによる投信積立(月5万円まで)と、楽天キャッシュ(月5万円まで)の合計で月10万円に広がりました。

カード利用の上限は内閣府令で月10万円までとなっており、引き落としサイクルを考慮して各社は月5万円を上限としています。しかし楽天キャッシュでは、いったん電子マネーにチャージするためこの制限を受けないことを関係各所に確認済みとしています。

月5万円では足りない場合、ポイントを考えなければ楽天銀行からの自動入金などを利用して簡単に増額することはできます。しかしポイント還元を狙う場合、他の証券会社を併用すべきか悩ましいところでした。

今回、楽天の積み立て枠が月10万円になったことで、このまま楽天にとどまりたいとか、他社から楽天に移行して一本化したいと考える人が出てきそうです。

楽天キャッシュを利用した積み立ては毎月100円から設定可能。積み立て日は毎月1日〜28日の間で選べるので、毎月1日の楽天カードとタイミングをずらしたい人にも便利な印象です。

楽天カード決済から楽天キャッシュ決済に移行する機能も用意されている(Webサイトより、筆者作成)
楽天カード決済から楽天キャッシュ決済に移行する機能も用意されている(Webサイトより、筆者作成)

楽天キャッシュの残高が不足しないよう、一定額をキープするオートチャージ機能も導入されています。こちらは積み立てを設定する際に、専用の設定画面が用意されています。

ポイント還元率は工夫次第?

ポイント還元率はどう変わるのでしょうか。まず、楽天証券とは関係なく、楽天キャッシュに楽天カードからチャージすると0.5%の楽天ポイントが付与されます。

さらに、楽天キャッシュを得られる「楽天ギフトカード」の販売も始まりました。楽天によれば、これでチャージした楽天キャッシュは楽天カードと同じ「基本型」となるため、投資信託の買い付けに利用できるといいます。

この楽天ギフトカードを購入する際、間接的にポイント還元を得られる手段を持っていれば、さらに還元率を高めることができます。

コンビニなどで買える「楽天ギフトカード」(筆者撮影)
コンビニなどで買える「楽天ギフトカード」(筆者撮影)

ただ、その手段の1つとして人気のあった「MIXI M」からnanacoにチャージするという方法は、ミクシィ側の仕様変更により使えなくなったので注意が必要です。

これとは別に、2022年8月から12月まで楽天キャッシュによる投信積立で0.5%を還元するキャンペーンがあり、楽天カードからのチャージに対する還元とあわせて、年内は合計1.0%還元を期待できます。

気になるのは、12月で本当に終わるのかという点でしょう。年末にはNISA口座の移管を考える人が増えるため、そのタイミングで特典を終わらせるのは悪手に見えます。

楽天によれば、現状では何も決まっていないとしつつも、「まずは年内で区切っている。利用動向を見ながら判断していく」(楽天Edy 楽天キャッシュ事業推進室 副室長の鍋山隆人氏)と説明しています。

NISAの拡充にも期待

最近の株安や米国での利上げにより、投資には向かい風が吹いているように感じるものの、政府が掲げる「資産所得倍増プラン」にNISAの拡充が入っていることはプラス要素といえそうです。

「拡充」の中身はまだ分からないものの、月10万円の枠を活かせるような制度になれば、楽天が有利になります。他社には電子マネーを利用した枠の拡大競争を期待したいところです。

とはいえ、数十年にわたる資産形成を考えれば、ポイント還元の影響はごくわずかと考えられます。それよりも難しいのは、日経新聞で取り上げられている厚切りジェイソン氏のように、相場が良いときも悪いときも淡々と積み立てを続けることでしょう。

そういう意味では、ポイント還元に惑わされず、長くつきあえる金融商品や証券会社を選ぶべきということが最大の注意点といえるかもしれません。

追記:

2024年からの新しいNISA制度では、つみたてNISAが年120万円に増額されます。楽天証券は、楽天カードと楽天キャッシュを併用することにより、ポイントを得ながら毎月10万円まで投信積立ができることをアピールしています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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