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ポイ活に新たな選択肢「楽天ギフトカード」登場。投信積立にも対応

山口健太ITジャーナリスト
新たに登場した「楽天ギフトカード」(Webサイトより、筆者撮影)

楽天が全国のコンビニなどで「楽天ギフトカード」の販売を5月下旬から開始します。これまでのポイントギフトカードを置き換える形で、ポイ活や投信積立に新たな選択肢をもたらす可能性に注目です。

「楽天キャッシュ」でポイ活に新ルート

楽天ギフトカードは、コンビニやドラッグストアなどで買えるPOSA(ポサ)カードです。5月下旬から、従来の「楽天ポイントギフトカード」と入れ替わる形で販売が始まります。

従来の楽天ポイントギフトカードで受け取れるのは期間限定の楽天ポイントでしたが、楽天ギフトカードでは「楽天キャッシュ(基本型)」に変わっています。

これまでは購入日から6ヶ月の有効期限がありましたが、楽天キャッシュでは「バリュー受け取り後は最終利用から10年間ご利用いただける」(楽天グループ広報)としており、長く使えそうです。

外観上の違いとして、楽天ギフトカードの券面には楽天キャッシュのロゴがあるとのこと(カード表面の左下)。2つのカードは見た目が似ているので注意が必要です。

楽天ギフトカード(右)には楽天キャッシュのロゴがある(Webサイトより、筆者作成)
楽天ギフトカード(右)には楽天キャッシュのロゴがある(Webサイトより、筆者作成)

楽天の電子マネーとしては「楽天Edy」もありますが、楽天キャッシュはオンライン電子マネーという位置付けです。おトクな使い方としては、「楽天ペイ」での支払いに使うことで1%のポイント還元を得られます。

さらに注目されているのが、6月下旬から楽天証券で始まる楽天キャッシュによる投信積立です。

楽天キャッシュによる投信積立(楽天証券のWebサイトより)
楽天キャッシュによる投信積立(楽天証券のWebサイトより)

楽天キャッシュには基本型とプレミアム型の2種類がありますが、積立投資には「基本型・プレミアム型ともにご利用いただける予定」(楽天グループ広報)としています。

もし楽天ギフトカードをキャンペーンなどで安く買うことができれば、おトクに積み立てができそうです。ほかにも、ポイントの二重取りや、クレジットカードの「修行」に活用できる可能性があります。

たとえばセブン-イレブンではnanaco、ファミリーマートではFamiPayなど、POSAカードをキャッシュレス決済で買える場合があります。決済自体にポイントは付きませんが、チャージでポイントを得られるならおトクになります。

また、三井住友カードの「ゴールド(NL)」は年間100万円の利用により、年会費の永年無料や10000ポイントを得られる特典があります。しかしSBI証券での投信積立は利用金額にカウントされないとの条件がありました。

基本的にクレジットカードでPOSAカードを買うことはできず、nanacoなどにチャージしても利用金額の対象外となるため、プリペイドの「MIXI M」を経由するなど工夫は必要ですが、カードの利用金額を増やしたい人には面白い選択肢になるかもしれません。

追記:

6月9日、Apple Payを利用したMIXI Mからnanacoへのチャージはできなくなったようです。

長期の資産形成に取り組むきっかけになるか

楽天によるポイント還元条件の改定は、「改悪」として話題になることが増えています。これを機会とみて、他のネット証券はカード投信積立のポイント還元や移管手数料の無料キャンペーンにより、楽天ユーザーを呼び込もうとしています。

その中でもSBI証券は楽天証券に対する優位性を特に強調しており、2022年3月には投資信託の入庫として楽天からが77%を占め、金額は前月比で約2.7倍だったといいます。

一方、楽天証券によれば、当初はSNS上で不満の声がみられたものの、楽天の他のサービスでのポイント還元などトータルで考えると楽天に残る人が大半であり、「口座開設数や積立の設定金額は堅調に伸びている」(楽天証券広報)としています。

このタイミングでの楽天ギフトカードの投入は、ポイ活勢に向けて繰り出した秘策のように見える面もありますが、楽天証券によれば「(ポイ活用途を)特に狙ったものではない」とのこと。

どちらかといえば、楽天カード決済のように手間をかけずに投資を続けられることを重視しているようです。楽天キャッシュによる投信積立も、楽天カードからの「オートチャージ」に対応予定となっています。

楽天証券では「ポイ活は投資を始めるきっかけとして、そこから長期の資産形成に取り組んでほしい」と語っています。わずかなポイントに惑わされず、長く続けることが重要という点は筆者も同感です。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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