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ドコモ・アマゾン協業 「dショッピング」はどうなる?

山口健太ITジャーナリスト
ドコモとアマゾンがdポイントで協業(両社による発表会の配信動画より)

4月10日、NTTドコモとアマゾンジャパンは、dポイントやAmazonプライムに関する協業を始めることを発表しました。

アカウント連携により、ドコモユーザー以外でもアマゾン(Amazon.co.jp)でdポイントがたまる・使えるようになるとのこと。ドコモの弱点だったEコマースの強化策として注目されそうです。

ドコモユーザー以外でもdポイントがたまる、使える

すでに日本のアマゾンでは、ドコモ回線のユーザーであれば支払い時に「d払い」(電話料金合算払い)を利用することができました。

それに加えて、今回の提携ではドコモの「dアカウント」をアマゾンのアカウントに連携することで、ポイント還元の特典を得られるようになります。

dアカウントはドコモ回線を持っていない人でも無料で作ることができるので、実質的にはアマゾンを利用する全員が対象といえるでしょう。

アカウント連携は発表当日の4月10日から始まったとのことですが、専用ページを開くと「段階的にサービスの提供を開始している」との説明が表示され、まだ連携はできません(追記:その後、アカウント連携が可能になりました)。

アカウント連携後は、アマゾンの「アカウントサービス」→「パートナーポイントプログラムの管理」から、支払い時にポイントを利用する/しないといった設定や、連携の解除が可能となっています。

dアカウントとの連携画面(アマゾンのWebサイトより)
dアカウントとの連携画面(アマゾンのWebサイトより)

一方、アマゾン側には日本独自の仕組みとして「Amazonポイント」があります。この点については、dアカウントを連携した後でも、dポイントとAmazonポイントの両方がたまると説明されています。

ポイント還元の条件としては、税込み5000円以上の買い物を対象に1%を還元、1回あたりの還元上限は100ポイントとなっています。1回に5000円から1万円くらいの買い物が主なターゲットといえそうです。

アカウント連携によりアマゾンでdポイントがたまる、使えるようになるという(NTTドコモ提供資料より)
アカウント連携によりアマゾンでdポイントがたまる、使えるようになるという(NTTドコモ提供資料より)

またドコモユーザー向けには、ドコモを通してAmazonプライムを契約した場合の特典があります。安価なahamoでも上位プランと同じ条件となっており、おトク感があります。

ドコモユーザー向けの特典も(NTTドコモ提供資料より)
ドコモユーザー向けの特典も(NTTドコモ提供資料より)

他の経済圏に比べてポイント還元が控えめではないか、という指摘は記者会見でも出ていたものの、「より多くの方々にdポイントをためていただきたいということで、このような設定とした」(NTTドコモ ウォレットサービス部長の田原務氏)と説明しています。

質疑応答に登壇したNTTドコモ ウォレットサービス部長の田原務氏(両社による発表会の配信動画より)
質疑応答に登壇したNTTドコモ ウォレットサービス部長の田原務氏(両社による発表会の配信動画より)

最近ではポイント還元の仕組みが「攻略」された結果、一部の人にポイントを持っていかれる事例があるとされることから、広く薄く還元するのが業界のトレンドになっている印象です。

dポイントがたまるだけでなく、アマゾンでdポイントを使えるようになる点にも注目したいところです。使い道が広がることでdポイントの価値は高まり、ドコモ経済圏全体にプラスの効果がありそうです。

dショッピングはどうなる?

今回の協業にあたって、ドコモとアマゾンのどちらが先に声をかけたのかは非開示とのこと。ただ、日本のEC市場でアマゾン、楽天、LINEヤフーが3強となっている現状を考えれば、ドコモとアマゾンが組むのは妥当といえます。

アマゾンと組む狙いについて、ドコモの田原氏は「dポイントクラブでEコマースが弱いのではないかという話があり、会員の皆さまからも多くのリクエストをいただいていた。アマゾンと組むことでその期待にしっかり応えていけるのではないか」と語っています。

ところで、ドコモが運営する通販サイトとしては「dショッピング」もあるのですが、これはどうなってしまうのでしょうか。

質疑応答では、「もちろんdショッピングについても、お客様に選んでいただけるサービスになるよう、ドコモの取り組みとして今後も進めていきたい」(田原氏)との回答がありました。

毎月10日と20日にポイントを増量する「dショッピングデー」など、dショッピングにはアマゾンとの協業よりも多くのポイント還元を期待できます。そういう意味では、今後も注力するとの方針が示されたことでひとまずは安心といえるでしょう。

ただ、アマゾンの強みはショッピングだけではなく、Amazonプライムによる音楽や動画などの特典も充実しています。オープンな協業でドコモ経済圏を広げていくという方向性の中で、ドコモ独自のサービスが今後どうなっていくのかは興味深いところです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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