5月11日、ソニーがXperiaシリーズのスマートフォン新製品を発表しました。キャリアモデルは19万円という価格が話題となっています。いったいどんな人に向けたスマホなのでしょうか。

スマホでは珍しい「真の光学ズーム」搭載

ソニーが発表した「Xperia 1 IV」(エクスペリア ワン マークフォー)は、個人向けモデルとしては最上位のXperia 1シリーズとして4世代目の製品です。

細長い「21:9」のディスプレイなど基本的な特徴を受け継ぎつつ、最新プロセッサーの搭載など前モデルから順当にスペックを強化しています。

Xperia 1 IV(ソニー提供画像)
Xperia 1 IV(ソニー提供画像)

特に目を引く要素としては、リアカメラに85〜125mmの焦点距離を持つ「望遠光学ズームレンズ」を搭載しています。

85〜125mmの光学ズームレンズを搭載(ソニー提供画像)
85〜125mmの光学ズームレンズを搭載(ソニー提供画像)

すでにスマホで「ズーム」撮影は一般化しているように思えますが、何が違うのでしょうか。実は、iPhoneを含む多くのスマホのズーム撮影では、複数の「単焦点レンズ」とデジタル処理を組み合わせる仕組みでした。

たとえば前モデルの「Xperia 1 III」では、70mmと105mmの可変式レンズを搭載しています。しかしその2つの焦点距離の間についてはデジタル処理で補完していたため、解像感がわずかに劣化していたといいます。

これに対してXperia 1 IVでは、85〜125mmのズームレンズを搭載したことで、すべてが光学域となったことが大きな違いとしています。

Xperia 1 IVとXperia 1 IIIの違い(ソニー提供資料)
Xperia 1 IVとXperia 1 IIIの違い(ソニー提供資料)

過去にはASUSが光学ズームを実現していましたが、この点をソニーに確認したところ、「(高精度なAFを実現する)高速イメージセンサー(120fps読み出し)搭載」かつ「85〜125mmの望遠域での実現」という条件下で、世界初としています。

カメラに詳しい人からは、これまでのスマホの望遠カメラは「光学ズームとは呼べない」と指摘する声もありました。そういう意味では、ソニーはスマホで真の光学ズームを実現するという、新たな競争を仕掛けてきたといえるでしょう。

Xperia 1 IVによる作例。85mm(ソニー提供画像)
Xperia 1 IVによる作例。85mm(ソニー提供画像)

キャリア版の価格は19万円

ソニー独自の機能が目新しいとはいえ、気になるのはその価格です。国内キャリアが発表した直販価格は、なんと19万円を超えています。

ドコモの場合、オンラインショップの価格は19万872円となっています。15万円台で「高い」といわれた前モデルから、さらに3万6000円ほど値上がりしています。

ドコモの直販価格(ドコモオンラインショップより)
ドコモの直販価格(ドコモオンラインショップより)

これはソニーによる納入価格にキャリアが利益を上乗せした価格と考えられますが、米国では1600ドル(約20万9000円)、欧州では1399ユーロ(約19万2500円)といずれも値上がりしており、Xperia 1 IV自体が高いことは間違いなさそうです。

ここまで高価なスマホが誰向けかというと、ソニーとしても万人向けとは考えていないようです。簡単にいえば、Xperia 1 IVを見て「安い」と思える人向けでしょう。

たとえば今回、大幅に強化されているのが「配信」機能です。ソニー製の動画撮影アプリから、YouTubeなどSNSにライブ配信をする機能が加わっています。

ほかにも別売の「Vlog Monitor」を組み合わせたリアカメラでの自撮り機能や、一眼カメラ「α」の外部モニターとして使うプロ向け機能にも対応しています。

ビデオ配信が容易に。一眼カメラや周辺機器とも連携(ソニー提供資料)
ビデオ配信が容易に。一眼カメラや周辺機器とも連携(ソニー提供資料)

ゲーム実況にも力を入れています。スマホ単体でYouTubeでのゲーム実況が可能で、配信中のコメントを画面上に表示することができます。PCを使用した本格的な配信では、ゲーム音と実況音声のミックスにも対応しています。

ゲーム配信は音声のミックスなど踏み込んだ機能にも対応(ソニー提供資料)
ゲーム配信は音声のミックスなど踏み込んだ機能にも対応(ソニー提供資料)

ライブ配信が一般化したことで、単にVlogを撮ったりゲームをプレイしたりするだけでなく、それを収益に結びつけることが容易になっています。すでに配信をしている人、あるいはこれから挑戦する人にとって、19万円を払っても「元が取れる」可能性があります。

そうしたクリエイター用途ではなく、日常的なコミュニケーションや仕事での利用が目的であれば、ミッドレンジの「Xperia 10 IV」や、エントリーの「Xperia Ace III」でも十分な性能に達しています。

逆にいえば、こうした普及価格帯のモデルが多くの人の需要を満たしているからこそ、ソニーは最上位モデルで迷うことなくハイエンドを追求できているといえそうです。