iPad 米国で100ドル値下げ。なぜ日本では1万円?
アップルの新製品発表に伴い、日本でiPad製品が全体的に値上げされた中で、「第10世代iPad」の価格が最大1万円値下げされたことが注目を浴びています。
ただ、米国で100ドル値下げされたことに比べると、日本での値下げ幅が小さいとの指摘があるようです。なぜこのような現象が起きるのか、背景を考えてみます。
なぜ円安で値引き幅が小さくなる?
2022年に発売された第10世代iPadについて、新モデルの発表こそなかったものの、米国ではセルラー機能の有無やストレージ容量にかかわらず、一律で100ドル値下げされています。
しかし、日本での値下げは6000円から1万円にとどまっています。100ドルを1ドル=155円で換算すると1万5500円になることから、値下げ幅がやや小さいと感じるのは自然な反応といえます。
その「差額」がどこへ行ったのか、アップルによる過去の価格改定と同じ方法を用いて計算してみます。
第10世代iPadの発売当初の価格は米国で税抜449ドル、日本では税抜6万2546円(税込6万8800円)でした。為替レートを単純計算すると1ドル=140円前後となります。
これを現在の為替レートである1ドル=155円で再計算してみると、449ドルは税抜6万9595円に。ここから100ドル(1万5500円)を値引きすると5万4095円になります。
日本での実際の価格は税抜5万3455円(税込5万8800円)であることから、かなり近い数字です。この考え方が正しいとすれば、日本でもたしかに100ドル分が値下げされたといえます。
このように、「為替レートを反映したことによる値上げ」と「本体価格の値下げ」が同時に実施されたことが、日本での値下げ幅が小さく見える原因であると筆者は考えています。
もっと分かりやすいのは、第6世代のiPad miniです。米国での価格は変わっていませんが、日本では税込7万8800円から8万4800円に値上げされています。
為替レートを比べてみると、これまでの価格の1ドル=144円前後に対して、新しい価格は1ドル=155円前後に設定されていることがうかがえます。
アクセサリーについても同様です。米国で249ドルのMagic Keyboard Folioは日本では4万2800円に、同じく79ドルのUSB-C対応Apple Pencilは1万3800円に値上げされています。
iPad本体が値下げされたのに対し、キーボードやペンシルは値上げされたこから、あわせて購入する場合の負担感はあまり変わっていないといえそうです。
円安は他のアップル製品に波及するか
今回の価格改定はiPad関連製品にとどまりましたが、他のアップル製品にどのタイミングで円安が反映されるのかは気になる点です。
第10世代iPadのように本体価格の値下げが実施される場合もあることから、早めに買えばOKとも言い切れないのが難しいところです。
あるいは、Pixel 8aのように戦略的な価格を付けた製品の人気が高まることで、アップルとしてもそう簡単に値上げができない状況に追い込まれる可能性もあります。
いずれにしても、日米の金利などを取り巻く状況が大きく変わらない限り、消費者としては引き続き円安が価格に反映される事態に備えていくしかなさそうです。