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Uber Eatsと楽天経済圏が型破りな連携。コロナ後もデリバリー需要は続く?

山口健太ITジャーナリスト
Uber Eatsと楽天がサービス連携(発表資料より、筆者撮影)

4月18日、フードデリバリーの「Uber Eats」と楽天グループが決済などのサービス連携を発表しました。ある意味で型破りな連携の裏には、コロナ後もデリバリー市場は伸び続けるという強気の見通しがありそうです。

楽天ポイントでUber Eatsがおトクに

今回のサービス連携により、4月下旬までにUber Eatsのアプリにおいて「楽天ペイ(オンライン決済)」が利用可能になります。Uber Eatsと楽天経済圏の連携が始まるといえるでしょう。

楽天ペイはお店で使えるコード決済のほかに、アプリやWebサイトで使えるオンライン決済も広がっています。楽天市場に登録済みのクレジットカードで払えるので、アプリやWebサイトごとにカード情報を登録する必要がなく便利です。

Uber Eatsの支払い方法に楽天ペイを追加できる(発表会資料より、筆者作成)
Uber Eatsの支払い方法に楽天ペイを追加できる(発表会資料より、筆者作成)

すでにUber Eatsにカードを登録している人にも、楽天ペイを使うことでポイントが「たまる」「使える」というメリットがあります。楽天市場などでは用途の限られる「期間限定ポイント」がもらえることがあり、期限の迫ったポイントを使い切ろうと、楽天会員は毎月のように使い道を探しています。

ポイントがたまるとはいっても、フードデリバリーの注文は配送料などを合計すると結構な金額になります。楽天市場でのおトクな買い物に慣れている人にとっては割高に感じるかもしれませんが、「ポイントで払える」というのは大きな魅力になりそうです。

また、Uber Eatsの会員登録自体も簡単になるようです。一般に、アプリやサービスの利用者を増やす上ではアカウント登録が大きなハードルになっています。デリバリーでラクをしたいのに、登録が面倒というのは本末転倒です。

今回の連携により、Uber Eatsの新規登録時に楽天IDでログインすると、利用者の同意に基づいた上で、楽天の会員情報がUber Eats側に共有されるようです。これにより、面倒な会員登録のハードルが下がることが期待できます。

Uber Eatsのアカウント登録に楽天の会員情報を利用できる(発表会資料より、筆者作成)
Uber Eatsのアカウント登録に楽天の会員情報を利用できる(発表会資料より、筆者作成)

おトクばかりではなく、両社のサービス連携は「型破り」というのも面白い点です。楽天のデリバリー事業は2021年7月にぐるなびに移行し、現在は「楽天ぐるなびデリバリー」という名前になっていますが、資本関係や楽天IDとの連携は続いています。

これを踏まえてUber Eatsと連携した理由については、「フードデリバリー市場は拡大しており、ひとりでも多くのお客様に体験していただくことでマーケット自体を大きくしたい」(楽天グループ 上級執行役員の松村亮氏)と語っています。

興味深いのは、Eコマース市場より飲食市場のほうが大きいという比較です。これは日本のEコマース市場がまだまだ小さいことの裏返しでもありますが、Uber Eatsとの連携により、楽天が巨大な飲食市場にアクセスできることの価値を挙げています。

Eコマースより飲食のほうが市場規模は大きいという(発表会資料より)
Eコマースより飲食のほうが市場規模は大きいという(発表会資料より)

一方、米国のUberにはソフトバンクグループが出資しており、楽天とはライバル関係とみることもできそうですが、「今回の提携は楽天とUber Eatsの双方に大きなメリットがある。株主にもメリットがあることから障壁とは考えていない」(Uber Eats Japan 日本代表の武藤友木子氏)と語っています。

コロナ後もフードデリバリー市場は拡大か

コロナ禍で急成長を遂げたフードデリバリー市場ですが、外食などが回復基調にあることから、デリバリーは成長が鈍化するのではないかとの見方もあります。

これに対してUber Eats Japanの武藤氏は、「拡大スピードがスローダウンする可能性がなくはない」とした上で、「海外ではコロナ前に市場の50%がオンラインデリバリーを使っていた。現在の日本における浸透度と比べると、まだまだ大きな成長余地がある」と語っています。

これまでデリバリーを多用していた人の利用回数が多少減ったとしても、日本ではまだフードデリバリーを使ったことがない人や、導入していない店舗が多数残っていることから、そこを開拓できれば成長を持続できるというのがデリバリー事業者の見立てといえるでしょう。

新たに始まるキャンペーンでは、Uber Eatsを初めて利用する人向けに「3000円オフ」、それに続く2回目以降には「最大50%オフ」といったクーポンを配布する予定です。楽天経済圏からUber Eatsの新規会員を呼び込むと同時に、ゴールデンウィークを含む最初の1ヶ月で何度も注文してもらいたいという強い意図が感じられます。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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