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ポイ活でも注目 「auじぶん銀行」はメインバンクになれるか

山口健太ITジャーナリスト
auじぶん銀行「じぶんプラス」が刷新(アプリ画面より、筆者撮影)

auじぶん銀行が4月からステージ制のプログラムを刷新し、手数料の優遇やポイント還元が注目を集めています。メインバンクとして使う人は1.9%にとどまるとの調査もありますが、これから伸びていくのでしょうか。

各社の経済圏争いで金融サービスの重要性が高まる中、auじぶん銀行はステージ制のプログラム「じぶんプラス」を4月にリニューアルしました。

一般にこうしたプログラムでは残高やサービスの利用状況に応じて、手数料などの優遇措置を受けられます。上位のステージに多額の資産を求める銀行もある中で、auじぶん銀行は比較的ハードルが低いのが特徴です。

給与振込やau PAYカードの引き落とし、au PAY残高へのチャージなど、普通に使っているだけで「ゴールド」は簡単に達成できます。そこから少し工夫すれば最上位の「プレミアム」に手が届くよう設計されている印象です。

残高は少なめでも簡単に最上位ステージになれる(Webサイトより、筆者作成)
残高は少なめでも簡単に最上位ステージになれる(Webサイトより、筆者作成)

プレミアムでは他行への振込手数料が毎月15回まで無料になります。日常生活で15回も振り込みをすることはなさそうですが、最近では口座間でお金を動かしたりチャージしたりすることでポイントを得られるキャンペーンが増えており、いろいろと使い道がありそうです。

ポイ活勢の注目を集めたのは外貨積立です。プレミアムでは1.5%相当のPontaポイントを付与しており、上限の10万円を積み立てると1500ポイントを得られます。日本円への払戻手数料を考慮しても、外貨を買い付けた時点でプラスになるというのは前代未聞です。

新制度での外貨積立が始まったのは4月1日の午前10時です。筆者もログインして様子を見守っていたところ、インターネットバンキングの利用や為替レートの取得で障害が発生。外貨積立の払い戻しやログインができなくなる混乱に陥りました。

auじぶん銀行によれば、この障害の裏では外貨積立の払い戻しや、じぶんプラスのリニューアルに伴う「新画面のご案内によるログイン」が増えていたとのこと。「今後同様の事象が発生しないよう、対応をしている」(auじぶん銀行 広報部)と説明しています。

メインバンクになれるか

国内の銀行の中で、auじぶん銀行はどのような位置にいるのでしょうか。MMD研究所による2022年3月の調査によれば、auじぶん銀行をメインバンクとして利用している人は1.9%にとどまっています。

最も多いのは地方銀行で、上位の理由としては「昔から利用していた」「生活圏内にATMがある」などが挙がっています。現金をよく使う人にとってネット銀行はメインバンクとしてまだ不便なのかもしれません。とはいえ、楽天銀行は15%に達しています。

携帯キャリア別では、auユーザーの20.7%がauじぶん銀行を利用しているのに対し、楽天モバイルユーザーの58.9%は楽天銀行を使っています。むしろ、auユーザーであっても楽天銀行を使っている人のほうが多い結果となっています。

メインバンクとしてauじぶん銀行を考えてみた場合、筆者が気になったのは他サービスとの連携の弱さです。4月5日にはGMOクリック証券の即時入金に対応したものの、他に対応している証券会社はauカブコム証券とマネックス証券のみとなっています。

GMOクリック証券の即時入金に対応。こうした連携はまだまだ少ない(Webサイトより、筆者作成)
GMOクリック証券の即時入金に対応。こうした連携はまだまだ少ない(Webサイトより、筆者作成)

最近デジタル庁が始めた「公金受取口座」の登録制度においても、auじぶん銀行は対応金融機関のリストに含まれていないなど、なにかと「対象外」のサービスが多い印象です。

現時点でおすすめできるネット銀行としては楽天銀行や住信SBIネット銀行を挙げざるを得ないのが正直なところです。しかしauじぶん銀行もサービス改善やキャンペーンを矢継ぎ早に打ち出していることから、これからの伸びしろの大きさには期待しています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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