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第3世代iPhone SE 日本向けは「専用モデル」。対応バンドを再確認

山口健太ITジャーナリスト
3月18日に発売される第3世代iPhone SE(アップル提供画像)

いよいよ3月18日に発売される第3世代「iPhone SE」は、世界各国に展開するモデルの中でも、日本版は「日本専用モデル」となっています。これはどういうことなのか、あらためて仕様を見ていきましょう。

アップル製品といえば多くの国や地域で同じ仕様のものが売られているイメージがあるものの、実際には違いがあります。iPhoneの場合、対応周波数によって複数の「モデル」を展開しており、現行機種についてはこのページが分かりやすいです。

たとえばiPhone 13シリーズの場合、日本版はカナダやメキシコなどと同じモデルでした。アップルはこのモデルごとに認証を取得する傾向にありますが、カナダ版のiPhone 13にも日本の技適マークがついており、日本国内で安心して利用できます。

第3世代iPhone SEの場合、当初アップルの製品ページでは「A2595」との記載があり、米国やカナダと共通とされていました。一方、先に挙げたページでは「A2782」が日本向けと記載されており、おそらくこちらが本当だろうと思われるものの、矛盾する表記に混乱が広がっていました。

この点について、日本時間で3月16日にサイトが更新され、日本向けモデルはA2782であることが確定しました。他にこのモデルを展開する国や地域はないことから、日本専用モデルといってよさそうです。

アップルのWebサイト修正前(上)と修正後(下)の比較(Webサイトより筆者作成)
アップルのWebサイト修正前(上)と修正後(下)の比較(Webサイトより筆者作成)

念のために、A2595とA2782の違いを確認しておきましょう。LTEでは、KDDIとソフトバンクが利用するバンド11、ドコモが利用するバンド21について、日本向けのA2782では第2世代と同様にしっかり対応していることが分かります。

一方、A2595は米国でAT&Tが利用するバンド29や、T-Mobile USが利用するバンドn71などに対応していますが、これらのバンドはA2782には含まれていません。

予約開始から発売日までの間にスペックが変わったことになりますが、主に日本で利用するのであればまったく気にする必要はないでしょう。もしA2595を目当てに予約をしたのであれば、改めてスペックを確認することをおすすめします。

基本形状を変えずに5Gに対応した凄さ

こうして仕様を詳しく見ていくと、iPhone SEが5Gに対応したことをあらためて実感します。当たり前のように感じるかもしれませんが、これはなかなか凄いことです。

たしかに対応周波数は4Gに近い「Sub-6」のみで、「ミリ波」には対応していません。またiPhone 13シリーズの「4x4 MIMO」より最高速度が遅いとみられる「2x2 MIMO」ではあるものの、本体サイズは2014年発売のiPhone 6と基本的に同じ形状を維持しています。

一般に5G通信では、発熱や消費電力の増加が課題とされています。そのため冷却機構の追加やバッテリー容量の増大など、端末の大型化につながる要素には事欠きません。しかし第3世代iPhone SEはこれらを7年以上前に作られたボディに詰め込みつつ、スペック上のバッテリー駆動時間はむしろ長くなっているのです。

iPhone SEの製品としての位置付けを考えると、発売日に予約して買うというよりは、少し安くなるまで待っても良さそうですが、4.7インチiPhoneの最終形態として技術的にも興味深い存在といえます。(もし同じ形状の「第4世代」が出たときにはこの記述を改めなければなりませんが)

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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