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【Yahoo!ニュース 個人】10月の月間MVAとMVCが決定

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、10月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、Yahoo!ニュース 公式コメンテーターによるニュースへの理解が深まるコメントとして「月間MVC」も選出しました。厳選3本の記事と3本のコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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10月のMVA

■なぜ文藝春秋は「宗教2世マンガ」を出版できたのか?(加山竜司)

筆者による受賞コメント:2022年、「宗教2世」は期せずして社会的関心事となりました。にもかかわらず、宗教2世の問題は、まだ広く理解されているとは言い難い状況です。菊池真理子さんの『「神様」のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~』(文藝春秋)は、7人の宗教2世の半生を描いたノンフィクション・コミックで、「宗教2世」当事者の悩みを知るには、うってつけの作品です。誰の手にも届く書籍、それも読みやすいマンガ形式で刊行することに意義があるものですが、本作が世に出るまでは関係者一同のひとかたならぬご苦労があり、そうした経緯を知ることもまた重要であると感じ、本取材を行いました。「宗教2世」についての諸問題を考えるうえで、一助となれば幸いです。(加山竜司

選出理由:もともとセンシティブであった宗教2世問題の取り扱い。1つの出版社がどのような検討を経て、そのテーマに真正面から取り組んだ書籍を出版するに至ったのか。他社で連載中止となった作品の「移籍」の背景とあわせ、当事者たちの表現の自由に対する強い覚悟や出版の意義を窺い知ることができます。インタビューや証言を通して、ある種の生々しさが垣間見えてくる記録となっているからこそ、本書の出版によって本当に訴えたかったこと、本当に配慮しなければいけないことが読者に深く伝わる記事となっています。

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■武村正義さんと琵琶湖条例。受け継がれる水への思い(橋本淳司)

筆者による受賞コメント:月間MVAをいただきありがとうございます。1970年代にせっけん運動をはじめた人たち、その声を真剣に聞いて琵琶湖条例制定に動いた武村正義さんにあらためて敬意を表します。1970年代の意思決定が50年後の私たちに大きな影響を与えていることを感じます。それは私たちの意思決定が将来に影響を与えるということです。現代に生きる私たちは、子や孫よりも自分たちの暮らしを優先しがちであり、このままでは未来へ負の遺産を残してしまいそうです。未来人のことを考えながら意思決定することが大切だと思います。(橋本淳司

選出理由:武村正義さんの訃報に触れ、氏の滋賀県知事時代における「琵琶湖富栄養化防止条例」制定までのストーリーとその後を伝える記事です。水質改善を目指した1つの条例誕生の裏側にある、過去の経緯や市民の思い、逆風をついて制定まで進めるさまを丹念に紡いでいます。人間味あふれる筆致で、公害問題のみならず地域運動が持つ可能性や課題まで考えさせられる1本です。

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■『SPY×FAMILY』の世界、“情報の力で国民を守る”公安調査庁にはどう見える?(まいしろ)

筆者による受賞コメント:この度はありがとうございます! たまたまTwitterで「創作に出てくる公安調査庁についての取材は広報室へどうぞ」という公安調査庁のツイートを見かけ、「SPY×FAMILYファンとしては連絡するしかない!」と思って書いた記事です。担当者のお名前・写真を非公開にするなど、普段のインタビューとは一味違った調整があり「さすが公安!」と思いながらの取材でした。一方で、どんな質問にも優しく答えていただき大変楽しい取材でもありました。本記事にご協力いただいたすべての方に感謝申し上げます!(まいしろ

選出理由:『SPY×FAMILY』の大ヒットにより、ある意味で今年注目の職業となった「スパイ」。エンタメコンテンツでは変装や潜入、破壊工作などが定番のお仕事ですが、現実の彼らは何を考え、どんな仕事に従事しているのか。「公安調査庁と警察庁の公安課は別組織」「組織の人間は1700人、ここ70年での殉職者はゼロ」といった知ってるようで知らない事実を本物の公安担当者に教えてもらう一方、ある意味でお役所らしい回答も並びます。この辺りの対応を「公務員だから」とみるのか、「スパイの仕掛けた情報戦」とみるのか。そんな斜めの読み方でも楽しめる記事です。

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10月のMVC

■韓国事故、日本人女性2人も犠牲 ハロウィーン前、154人死亡(共同通信)の記事へのコメント(あんどうりす)

筆者による受賞コメント:梨泰院の群衆事故で、未来を奪われてしまった方達、そして、大切な人を失った方達のお気持ちに深く寄り添いたいと思っております。コメントにも書いた明石花火大会の歩道橋での群衆事故の検証報告書には、圧迫で大きく歪んだ手すりの写真もあり、群衆事故の怖さを警鐘し続けています。事故の教訓をせめて未来にいかすためにも、大地震の後、都市部では帰宅しない「一斉帰宅抑制」について知っていただければ心強いです。東京都の「防災ウーマンセミナー」でも動画配信で、お伝えしています。(あんどうりす

選出理由:韓国ソウルの繁華街・梨泰院で雑踏事故が起きたと報じる記事へのコメントです。群衆雪崩や将棋倒しはどのような状況の時に発生するのかわかりやすく解説し、イベント時だけでなく震度6弱以上の大きな地震の後に一斉に帰宅しようとする際も、群衆雪崩が発生することがあると警鐘を鳴らしてくれました。

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■ウクライナ「100万人超に電力なし」 ロシア軍がインフラ攻撃(毎日新聞)の記事へのコメント(岡部芳彦)

筆者による受賞コメント:戦争前の平凡な日常にもロシアとの関係や、ウクライナのエネルギー政策が深く影響を及ぼしていました。2月24日に始まったウクライナ・ロシア戦争ですが、ついつい戦況や戦場の趨勢に目が行きがちです。一方、この戦争で苦しむ多くのウクライナの人々は、日々日常生活を送っています。長らく関わってきたウクライナですが、この8か月の間にその経験や理解を超える様々な出来事が起こりました。Yahoo!ニュース読者の皆さんが、ウクライナ事情について理解を深めていただけるよう、今後もコメントできればと思います。引き続きお読みください。(岡部芳彦

選出理由:ロシア軍がウクライナ各地のインフラをミサイル攻撃し、100万人以上が電力供給を受けられない状況になったと報じる記事へのコメントです。過去にもロシアの外交戦略やウクライナ政権の判断において、重要なポイントとなっていたウクライナの「冬」の厳しい寒さ。市民生活への深刻な影響が伝わる解説で、冬のインフラ攻撃が持つ意味について、ユーザーの理解をより深めてくれました。

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■将棋の佐藤天彦九段、対局中にマスク着用せず反則負け A級順位戦(朝日新聞デジタル)の記事へのコメント(松本博文)

筆者による受賞コメント:コロナ禍の現在、様々な分野で経験のない事象が起こるように、将棋界でもまた、前例のないアクシデントが起こっています。A級順位戦という注目される舞台において、佐藤天彦九段は1時間ほどマスクをしなかったため、反則負けの裁定をされた件に関しては、将棋界の内外で広く話題を呼びました。事情は複雑であり、そう簡単に割り切れるものではなく、本件はまだ最終的な結論は出ていません。一介のライターとして言及しづらい点もありますが、今後もできるだけ平易に論点を提示できればと考えております。(松本博文

選出理由:将棋・A級順位戦において起こったマスク着用を巡る佐藤天彦九段の反則負けについてのコメントです。ステークホルダーそれぞれの目線を代弁しながら、今後の成り行きを丁寧に解説しました。冒頭ではマスク着用を巡るトラブルが将棋業界に限ったことではないことも指摘し、時事性の高いテーマとしても読ませた優れた内容です。

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