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松本博文

松本博文

認証済み

将棋ライター

報告

コロナ禍におけるマスク着用をめぐって、いつかは起こるかもしれないトラブルが、この大きな一番で起こってしまったのでしょう。対局相手がマスクをしていない、という永瀬王座の主張は正当なものでしょう。その上で今回の理事会の決定は、ルールを厳格に運用したもの。ルールがある以上は、仕方のない決着なのかもしれません。しかしながら、どうにもやりきれない思いを抱くファンの方も多いと思われます。「注意なしで一発レッドカードはあまりに厳しくないか」と佐藤九段を擁護する声も当然あるでしょう。規約上、佐藤九段は理事会に提訴する権利があり、今後の推移によっては、今回の決定がくつがえる可能性も残されています。将棋の内容については佐藤九段がリードする時間が長かったものの、永瀬王座も手段を尽くして離されず、これからいよいよ最終盤、という場面でした。深夜の順位戦、白熱したであろう最終盤を見られなかったのも、残念な限りです。

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コメンテータープロフィール

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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