コロナ報道が軸となっていた、昨年の放送界。とはいえ、注目すべき出来事は少なくありませんでした。

しかも、年が変わったからといって、忘れていいようなものでもない。

むしろ2022年こそ、しっかり向き合うべき重要課題ばかりなのです。

NHK「経営計画(2021-2023年度)」

2021年1月、NHKは「経営計画(2021-2023年度)」を発表しました。

注目すべきは、『スリムで強靭な「新しいNHK」を目指す構造改革』という部分です。

「保有するメディアの整理・削減」として、第1のターゲットになっているのが「衛星波」でした。

3波(BS1・BSプレミアム・BS4K)を見直し、23年度中に2Kのうち1波を削減するという。

衛星波が一つになった場合、懸念があります。

国内外のドキュメンタリーやスポーツ中継や、最新の海外ニュースといったBS1の特色あるコンテンツ。

またBSプレミアムの良質なドラマなどが、これまでのようには提供されなくなってしまう。

それは視聴者にとって大きな損失でしょう。

「ラジオ講座」が消される?

次に「音声波」ですが、25年度に現在の3波(R1ラジオ第1、R2ラジオ第2、FM)から2波(AM、FM)へと削減する予定。

この場合、R2が消える可能性が高いです。

NHKは「民間放送のAMからFMへの転換の動きやリスナーへの利用実態調査の結果などを考慮」すると説明しています。

しかし、公共放送のラジオには独自の機能や役割があり、本来、民放に追随する必要はないはずです。

R2は語学講座などの教育・生涯学習面や防災面において有効であり、また大きなコストもかかってはいません。

改革自体が目的化された結果、BSやラジオなど分かりやすい部分、見えやすい部分が整理・削減の対象となった印象が強いのです。

テレビ局の「人権意識」

朝のワイドショー・情報番組である、日本テレビ系「スッキリ」。

3月、アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリー作品を紹介する際、お笑い芸人が披露した謎かけの中に、アイヌ民族を差別する言い回しがありました。

7月に放送倫理・番組向上機構(BPO)が放送倫理違反を認め、8月26日の同番組内で制作体制などの検証が放送されました。

また、テレビ朝日系「報道ステーション」も3月に公開したWeb用の番組CMで、ジェンダー問題を「解決済みのこと」であるかのように描いて批判を浴びました。

いずれも人権問題を報じるテレビ局自身の「人権意識」の低さを露呈する形となったのです。

「外資規制違反」の頻発

同じ3月に明らかになったのが、放送事業会社「東北新社」の外国資本の出資比率が20%を上回り、放送法に違反していた事実です。

同社は総務省幹部らを繰り返し接待しており、国会では衛星放送事業の認定をめぐる対応に疑問の声が上がりました。

しかも、この外資規制違反問題はフジ・メディア・ホールディングスでも発生しています。

総務省は8月、放送事業者と放送持ち株会社が認定や免許申請の際に提出する書類の様式を改め、外資比率を正確に把握する対応策を公表。

放送界全体がその姿勢を問われる痛恨事でした。

報道特番「メインキャスター」の顔ぶれ

10月に行われた衆議院議員選挙。民放「選挙特番」のメインキャスターの顔ぶれに驚きました。

日本テレビ系は有働由美子さん。テレビ朝日系は大越健介さん。テレビ東京系は池上彰さん。

フジテレビ系が宮根誠司さんと加藤綾子さん。そしてTBS系は「爆笑問題」の太田光さんだったからです。

5局のうち、実に3局がNHK出身のフリーランスを起用していました。

「自前のキャスター」を育てなかったのか、育たなかったのか、それとも育てる気がなかったのか。

もちろん報道も放送ビジネスの一環であり、顔と名前が売れている人を引っ張ってくる方が手っ取り早いかもしれません。

しかしそこには、「ジャーナリズムとしての責任」をどう担保するかという課題が歴然と残っています。

キー局で始まる「リストラ」

そして11月、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

フジテレビが、「勤続10年以上で50歳以上の社員」を対象に、希望退職者を募ることを決定したのです。

一般企業でも見られるリストラを、なんとキー局が行うことになる。

昨年の10月クールでは、「関東沈没」から「日本沈没」へと大災害が進行するドラマが放送されました。

果たしてフジの人事政策は、リアルな「放送界沈没」の予兆なのか。今年も注視を続けたいと思います。