金正恩「出生の秘密」暴露され激怒…父の「愛人女優」は処刑の憂き目に
韓国の聯合ニュースによれば、脱北者団体「自由北韓運動連合」は10日、北朝鮮に近いソウルの北西約50Kmの江華島(カンファド)から北朝鮮に向け、金正恩体制を批判するビラ30万枚とK―POPなどの動画を収めたUSBメモリー2000個を20個の大型風船にくくりつけて飛ばした。
ビラの内容は詳らかではないが、同団体の朴相学(パク・サンハク)代表は「金正恩は朝鮮半島統一を妨げ、永遠に君臨するという妄想をあらわにした」と述べており、金正恩氏が韓国との南北平和統一を放棄したことなどが書かれているのかもしれない。
ちなみに、同団体が4年前に飛ばしたビラには、北朝鮮の一般国民が決して知ることのできない金正恩氏の「出生の秘密」が書かれていた。
ビラは、金正恩氏には異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏がおり、同氏は「浮気者の金正日」が既婚者であるソン・ヘリム氏と不倫関係となって生まれたと説明。金正恩氏の母で日本生まれの高容姫(コ・ヨンヒ)氏と金正日氏も正式な夫婦ではなく「不倫関係」だったとしていた。
(参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇)
ビラはさらに、金正男氏が2017年2月、弟である金正恩氏が放った暗殺団により、マレーシアのクアラルンプール国際空港で殺害されたことを暴露。その動機は、日本出身の母を持つ金正恩氏に対し、長男である金正男氏こそが本物の「白頭の血統」だったことにあるとしていた。
こうした話は、北朝鮮では最大のタブーだ。金正日は自分の愛人だった女優を、口封じのために処刑したほどである。
それだけに、こうした情報は国民の興味を激しく触発する。その情報は口コミで静かに広まり、いずれほとんどの国民が知るところとなる。そうすることで、北朝鮮の体制が独裁者を「神格化」する余地を狭める効果が、ビラ散布にはあると筆者は考えている。
実際、このビラが散布された後、北朝鮮は激怒し、韓国との南北共同連絡事務所を爆破する暴挙に出た。
これを受け、文在寅前政権は北朝鮮へのビラ散布を法で禁じた。しかし昨年9月、憲法裁判所が表現の自由を過度に制限しているとして違憲との判断を示し、ビラ散布を禁じる条項は効力を失った。
ビラ散布は今後も活発に行われると見られるが、北朝鮮がどのような対応に出るかが注目される。