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藤浪晋太郎の「ライバル」が解雇される。年俸90万ドルのうち、もらえるのは4分の1未満

宇根夏樹ベースボール・ライター
フィル・ビックフォード Sep 14, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3月26日、ニューヨーク・メッツは、フィル・ビックフォードを解雇した。

 ビックフォードは、28歳のリリーフ投手だ。2015年のドラフトで全体18位指名を受け、2020年9月にメジャーデビュー。翌年から、3シーズン続けて50試合以上に登板し、50イニング以上を投げている。2021年は防御率2.81、2022年は防御率4.72、2023年は防御率4.95を記録した。

 スタットキャストによると、投球は、90マイル台前半の4シームと80マイル台前半のスライダーが7:3の割合。あとは、チェンジアップを少しだけ投げる。

 メッツには、昨夏のトレードでロサンゼルス・ドジャースから移籍した。今春の5登板は4.2イニングで防御率5.79ながら、1登板目以外は無失点。18人中7人を三振に仕留め、与四球はなかった。

 もし、メッツに残っていれば、ブルペンに怪我人が発生した際などに、マイナーリーグから昇格する候補の一人だったと思われる。藤浪晋太郎のライバルが減った、という見方もできる。

 今オフ、ビックフォードは、初めて年俸調停の申請権を得た。調停の結果、今年の年俸は、ビックフォードとメッツの申請額、90万ドルと81万5000ドルのうち、90万ドルに決まった。だが、解雇により、ビックフォードがメッツからもらえる金額は、45日分の21万7742ドルとなった。

 ビックフォードの半月前にサンフランシスコ・ジャイアンツから解雇された、J.D.デービスと同じパターンだ。デービスのもらえる金額が年俸の30日分、ビックフォードは45日分という違いは、解雇のタイミング、開幕までの日数に起因する。

「今月初旬まで開幕スタメンが有力だった三塁手が解雇へ。調停で確定の年俸も約6分の1しかもらえず」

 その後、デービスは、オークランド・アスレティックスに迎え入れられた。ビックフォードも、どこかの球団と契約を交わすことになるだろう。ただ、デービスのようなメジャーリーグ契約ではなく、マイナーリーグ契約かもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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