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ヌートバーら外野手3人を欠くカーディナルスは昨年「マイナーリーグで94盗塁」の若手を開幕スタメンに

宇根夏樹ベースボール・ライター
ビクター・スコット2世(セントルイス・カーディナルス)Mar 4, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 セントルイス・カーディナルスは、3月28日~31日に、シーズン最初の4試合をロサンゼルス・ドジャースと行う。

 このシリーズで、ドジャー・スタジアムの外野に、ラーズ・ヌートバートミー・エドマンジョーダン・ウォーカーの3人が並ぶことはない。

 センターのエドマンは、昨年10月に右手首の手術を受けた。今春のエキシビション・ゲームに出場していないのみならず、打撃練習で投球を打つこともしていないようだ。

 レフトのヌートバーは、3月2日の守備中に、左脇腹を骨折した。それについては、こちらで書いた。

「ヌートバーは開幕に間に合わない!? 左脇腹を骨折。隣を守る外野手と新エースも出遅れの可能性あり」

 さらに、エドマンに代わってセンターを守る予定だったディラン・カールソンも、怪我に見舞われた。

 3月25日の2回裏、右中間に飛んだ打球をカールソンとウォーカーが追った。低い姿勢でダイビング・キャッチを試みようとしたウォーカーに躓くような格好で、カールソンは跳ね、フェンスの手前に転がった。その際に、左肩を痛めた。

 開幕戦でレフトを守るのは、アレック・バールソンブレンダン・ドノバンだろう。センターは、セントルイス・ポスト-ディスパッチのデリック・グールドらによると、ビクター・スコット2世だ。

 スコット2世は、2022年のドラフト5巡目・全体157位。まだメジャーデビューしておらず、AAAでプレーしたこともない。昨年は、A+とAAで66試合ずつに出場し、打率.303と出塁率.369、9本塁打と94盗塁(!)、OPS.794。今春は、ノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待選手)としてメジャーリーグのスプリング・トレーニングに参加し、14試合で打率.317と出塁率.404、0本塁打と4盗塁、OPS.770を記録している。

 バールソンのポジションは外野両翼と一塁、ドノバンは内野4ポジションと外野両翼だ。ウォーカーもセンターの経験は乏しく、メジャーリーグ1年目の昨年は、ライトとレフトしか守っていない。

 一方、スコット2世は、マイナーリーグのどの試合も、センターの守備についている。他のポジションは皆無だ。なお、開幕ロースター入りに際し、背番号は、上の写真の「91」から「11」となる。

 スコット2世のバックアップとして、センターを守れるマイケル・シアーニも、ロースターに入る。こちらのメジャーリーグ出場は、2022~23年に17試合。2022年は、AAとAAAの計129試合で52盗塁を記録した。

 離脱した外野手3人のうち、最初に復帰できそうなのは、ヌートバーだ。おそらく、スコット2世かシアーニと入れ替わることになるだろう。昨年、ヌートバーが守備についたポジションは、センターが最も多かった。

 とはいえ、ヌートバーのシーズン初出場は、ホーム開幕戦の4月4日以降となる見込みだ。カーディナルスは、3月28日~31日のドジャースに続き、4月1日~3日にサンディエゴ・パドレスと3試合を行うが、この2シリーズにおいては、WBCでチームメイトだった投手と野手の対戦、大谷翔平vs.ヌートバー、山本由伸vs.ヌートバー、ダルビッシュ有vs.ヌートバー、松井裕樹vs.ヌートバーのいずれも、実現しそうにない。大谷との対戦は、来年以降となる。

 なお、ヌートバーは、ダルビッシュと大谷の2人と、それぞれ、3打席で対戦している。ダルビッシュとは、2022年6月1日。結果は、一塁ゴロ(併殺打)、ライト・ライナー、見逃し三振だった。大谷には、2023年5月3日に、3打席続けて空振り三振を喫した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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