Yahoo!ニュース

1年1400万ドルの申し出を断った選手は1年1200万ドルで他の球団へ。金額は減っても後悔はなし!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
J.D.マルティネス Sep 29, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 先日、J.D.マルティネスは、ニューヨーク・メッツに入団した。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンらによると、契約は1年1200万ドルだ。

 それよりも1ヵ月以上前に、J.D.は、サンフランシスコ・ジャイアンツからの誘いを断っている。こちらは、USAトゥディのボブ・ナイテンゲールらによると、1年1400万ドルの契約を申し出られていたという。

 これらの報道のとおりだとすると、J.D.がメッツと交わした契約は、ジャイアンツに入団していた場合よりも200万ドル少ない、ということになる。

 ジャイアンツの申し出を断った時点で、J.D.と代理人のスコット・ボラスは、もっといい契約を得ることができる、と考えていたように見える。実際、そうなのかもしれない。

 ただ、J.D.は、3月23日の会見で記者からの質問に答え、ジャイアンツに入団しなかった理由として、球場を挙げた。

 J.D.のスタッツは、ジャイアンツの本拠地、オラクル・パークの21試合が打率.205と出塁率.227、3本塁打(27.7打数/本)。メッツの本拠地、シティ・フィールドの11試合は打率.196と出塁率.229、2本塁打(23.0打数/本)だ。どちらも数値は低いが、サンプル数は多くない。

 スタットキャストによると、オラクル・パークにおける右打者のパーク・ファクター(2021~23年)は97なので、平均の100とそう離れていない。けれども、右打者のホームランに限ると83だ。30球場中、4番目に低い。昨年、J.Dがホームとしていたドジャー・スタジアムは100と126、今年のホームとなるシティ・フィールドは94と95だ。

 オラクル・パークは、2000年にオープンした。名称は、パシフィック・ベル・パーク→SBCパーク→AT&Tパーク→オラクル・パークと変遷している。この球場で右打者が1シーズンに打ったホームランは、見落としがなければ、2000年のエリス・バークスと2001年のリッチ・オーリリアによる15本が最も多い。

 なお、J.D.に断られたジャイアンツは、こちらも右打者のホルヘ・ソレーアを3年4200万ドルの契約で迎え入れた。J.D.が13シーズンに315本のホームランを打っているのに対し、ソレーアは10シーズンに170本だ。とはいえ、それぞれのシーズン最多は45本(2017年)と48本(2019年)、昨年は33本と36本。いずれも、ソレーアのほうが少し多い。また、現在の年齢は、J.Dが36歳、ソレーアは32歳だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事