Yahoo!ニュース

今年のエンジェルスはひと味違う!? ここまで全チーム最多の30盗塁。昨年はリーグ最少だったが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザック・ゲロフ(左)とテイラー・ウォード Mar 6, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3月10日、3回裏に1死からヒットで出塁したルイス・レンヒーフォ(ロサンゼルス・エンジェルス)は、2死となった後、二盗を成功させた。

 レンヒーフォの盗塁は今春初だが、エンジェルスの盗塁は30に達した。18試合で30盗塁だ。MLB.comによると、25盗塁以上のチームは他にない。シンシナティ・レッズの24盗塁が2番目に多く、あとの28チームは22盗塁以下。2盗塁のデトロイト・タイガースをはじめ、過半数の17チームはエンジェルスの半数に満たない。

 昨年、エンジェルスが162試合で記録した盗塁は72に過ぎず、サンフランシスコ・ジャイアンツの57盗塁に次いで少なかった。ア・リーグに限ると、最少だったということだ。2018年の秋にマイク・ソーシア監督が退任後、エンジェルスは、80盗塁に達したシーズンがない。

 ちなみに、過去5シーズン(2019~23年)にエンジェルスで最も盗塁が多かったのは、76盗塁の大谷翔平(現ロサンゼルス・ドジャース)だ。大谷に次ぐ2人、30盗塁のアンドルー・ベラスケスと26盗塁のデビッド・フレッチャーも、現在のエンジェルスにはいない。彼らは、ともにアトランタ・ブレーブスに在籍している。

 今春の30盗塁の内訳は、ジェイク・マリズニックが5盗塁、ネルソン・ラーダが4盗塁、ジョー・アデルカイレン・パリスが各3盗塁、ザック・ネトジョーディン・アダムスが各2盗塁に、あとは11人が1盗塁ずつだ。他のチームに、5盗塁以上の選手はいない。

 エンジェルスで2盗塁以上の6人中、開幕ロースターに入るのは2人だと思われる。ネトとマリズニック、あるいはネトとアデルだ。けれども、盗塁を試みている選手の多さ――成功ゼロの選手を含めるとさらに増える――は、今オフに就任したロン・ワシントン監督の意向を反映しているように見える。

 ワシントンは、2007年から2014年まで――2014年はシーズン終盤まで――テキサス・レンジャーズで采配を振った。この8シーズンとも、レンジャーズの盗塁は80を下回ったことがなく、三桁に達した5シーズンのうち、3シーズンは140を超えた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事