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30代半ばのエースが3年1億2600万ドルの延長契約を得る。年平均額は大谷翔平ら3人に次ぐ歴代4位

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザック・ウィーラー(フィラデルフィア・フィリーズ)Oct 16, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3月4日、フィラデルフィア・フィリーズは、ザック・ウィーラーと3年間の延長契約を交わしたことを発表した。期間は、2025年から2027年まで。ESPNのバスター・オルニーらによると、3年1億2600万ドルだという。オプションも、オプト・アウトも、ついていないらしい。

 報道のとおりだとすると、年平均額は4200万ドルだ。大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)の年平均7000万ドル(10年7億ドル/2024~33年)、マックス・シャーザー(現テキサス・レンジャーズ)の年平均4333万3333.3333…ドル(3年1億3000万ドル/2022~24年)、ジャスティン・バーランダー(現ヒューストン・アストロズ)の平均4333万3333ドル(2年8666万6666ドル/2023~24年)に次ぎ、歴代4位に位置する。シャーザーとバーランダーは、ニューヨーク・メッツと契約を交わし、2人とも、昨夏のトレードで移籍した。

 年平均4000万ドル以上の契約を得た選手は、彼らの他には、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)しかいない。ジャッジの契約は9年3億6000万ドル(2023~31年)なので、年平均額は4000万ドルちょうどだ。

 再契約のジャッジを含め、これまでの4人は、FAとなって年平均4000万ドル以上の契約を手にした。延長契約に限ると、ウィーラーが史上初ということになる。

 今年は、5年1億1800万ドル(2020~24年)の契約最終年。こちらの年平均額は2360万ドルだ。5月末に34歳の誕生日を迎える。

 ウィーラーは、「健康」と「安定」を兼ね備えている。2018年以降、規定投球回に届かなかったのは、2022年しかなく、このシーズンも153.0イニングを投げた。そして、6シーズンとも、防御率4.00とFIP3.50を下回った。FIPは、フィールディング・インディペンデント・ピッチングの略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。

 直近3シーズン(2021~23年)の計558.1イニングは、このスパンで5番目に多く、奪三振率10.03と与四球率1.92、防御率3.08とFIP2.86は、計300イニング以上の104人中、22位と10位、12位と3位に位置する。

 今オフ、フィリーズは、FAになったアーロン・ノラを7年1億7200万ドル(2024~30年)の契約で呼び戻した。ノラは、6月上旬に31歳となる。立場としては、ウィーラーに次ぐローテーションの2番手だ。「健康」はウィーラーを凌ぐが、ウィーラーほど「安定」はしていない。

 ノラについては、こちらで書いた。

「ここ3年に防御率4.50前後が2度の先発投手に7年1億7200万ドルは払いすぎなのか、妥当なのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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