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昨夏の大量ウェーバーでエンジェルスに唯一人「売れ残った選手」の新球団が決まる。メジャーリーグ契約

宇根夏樹ベースボール・ライター
ランダール・グリチック Aug 5, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年の夏、9月を迎える前に、ロサンゼルス・エンジェルスは、投手4人と外野手2人をウェーバーにかけた。彼らのうち、5人は、移籍が決まった。

 先発投手のルーカス・ジオリト、リリーフ投手のレイナルド・ロペスマット・ムーアは、揃ってクリーブランド・ガーディアンズへ移った。外野手のハンター・レンフローは、シンシナティ・レッズへ。リリーフ投手のドミニク・リーオンは、シアトル・マリナーズへ移籍した。

 一方、外野手のランダール・グリチックを獲得する球団は、現れなかった。エンジェルスは、9月に入ってから、グリチックを再びウェーバーにかけたが、結果は同じだった。

 グリチックは、エンジェルスでプレーを続け、シーズン最後の試合にホームランを打った。そして、オフにFAとなった。

 ウェーバー経由でエンジェルスを去った5人も、グリチックと同じく、FA市場に出た。レンフローは、9月下旬にレッズから解雇された。

 2月を迎えた時点で、球団が決まっていたのは、6人中4人だ。ロペスは、アトランタ・ブレーブスに入団した。レンフローは、カンザスシティ・ロイヤルズへ。ジオリトは、ボストン・レッドソックスと契約を交わした。ムーアは、エンジェルスに戻った。

 それぞれの契約については、こちらで書いた。

「エンジェルスなど3チームで68登板のリリーバーは、3年3000万ドルの契約を得て先発再転向も」

「エンジェルスの本塁打トップ3のうち2人は「青の球団」と契約。ドジャー・ブルーとロイヤル・ブルー」

「ここ2年続けて防御率4.80以上のジオリトが2年3850万ドルの契約を得る。今年の被本塁打は41本」

「2度のウェーバー移籍を経て、昨年チーム最多の20ホールドを挙げた左腕がエンジェルスへ戻る」

 彼らに続き、グリチックも、新たな契約を手にしたようだ。ESPNのジェフ・パッサンは、グリチックとアリゾナ・ダイヤモンドバックスが2025年の相互オプションを含む1年200万ドルの契約で合意、と報じている。2024年の年俸が150万ドル、2025年のオプションは年俸600万ドル(解約金50万ドル)。パフォーマンス・ボーナス(出来高)もあるという。

 グリチックが確実に得ることができるのは、150万ドル(2024年)と50万ドル(解約金)を合計した200万ドルだ。ちなみに、相互オプションは、グリチックとダイヤモンドバックスの両者が行使した場合に有効となる。

 ダイヤモンドバックスには、グリチック以外に4人の外野手がいる。センターとライトは、アレック・トーマスコービン・キャロル。レフトは、ルルデス・グリエルJr.ジョク・ピーダーソンが守り、もう一方はDHとして出場するだろう。

 ただ、トーマス、キャロル、ピーダーソンは、左打者だ。右打者のグリチックは、過去2シーズンとも、左投手に対してOPS.925以上を記録している。2シーズンに記録したホームランの本数は、対右が16本、対左は19本。打数は、646と294だ。打数/本塁打は、対右が41.8打数/本と39.0打数/本、対左は15.6打数/本と15.3打数/本と大きく違う。

 また、グリエルJr.と違い、グリチックはセンターを守ることもできる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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